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女としての自分
Hくんは、とにかく明るく、人前で話すことが得意で、お笑いのセンスもあった。自分で作詞、作曲もしていてギターでよく弾き語りをしていた。音楽が好きで、CDで部屋の中は埋め尽くされていた。
背も高くてルックスも良かった。
私も背が高いので、2人でいるとお似合いだねってよく言われた。
それまでの恋愛は、どちらかというと、好きになる方で追いかけていた。でも、Hくんは、好きな気持ちを表現し、常に一緒にいたいタイプで、それはそれで楽で心地よかったけれど、ドキドキ感は正直なかった。男としてのフェロモンが今ひとつないのも原因だったかもしれない。
ドキドキ感がないということで、それまでの恋愛では、これをいったら嫌われるんじゃないか、本当に好きなのかなとか、不安な気持ちで押しつぶされそうになることもあったし、自分をうまく表現できないことがもどかしい時もあったのに、Hくんとの付き合いでは、全くそんな感情も湧かず、言いたいこと、やりたい事を伝える表現力を身につけた。
それが、後の恋愛に役立ったのかはさておき、自分を表現する力は、身についた。例えば、カラオケ。カラオケは、正直苦手だった。でも、Hくんと歌うと、もれなく何でもハマってくれらという特典があったので、気持ち良く歌うことができて、苦手意識もなくなった。何もかも可愛いといってくれて、おならでさえ我慢するなと言われて、一回思い切ってしてみたら、喜んでくれたので、Hくんの前ではやりたい放題で腸内環境には良かったに違いない。
一緒にいて楽しいし楽だったけど、身体の関係はなくなっていった。
それまでは、自分で言うのも恥ずかしいけれど、どこがミステリアスで、女としてのフェロモンは持ち合わせていたつもりだった。
常に、セックスに対して臨戦体制がある自分と、セックスはないけれど、男女関係なくワイワイ楽しむ自分。どちらも自分だけど、どちらがが好きかといったら、前者だったのかもしれない。
学校を卒業するまでは、同じ目標を持ち協力しあった。卒業後私は国公立系の大きめの病院に就職になった。そこでは、それまでと違う出会いがあった。
私にとっては刺激的な毎日。Hくんにとってはいつもの日常。同棲し、数年たち24歳の頃結婚の話も出ていた。ただ、常にこのままでいいのかと言う思いが胸の中にあった。
お互いの家族にも会っていたし、流れ的にはそんな話にもなる。どこか、何かが違うと思いながら結婚話が進んでいった。