クヴェヴリは洗うのが1番大変![ジョージア修行記🇬🇪]
ガウマルジョバ👋
どうも、東欧の国ジョージアで
ワイナリー修行をはじめた青木です!
今からちょうど10年前(2013年)に無形文化遺産に指定されたジョージアのワインと切っても切れない関係にあるクヴェヴリ。
過去にもクヴェヴリについて記事を書いてきましたが今回もクヴェヴリ、特に洗い方について書いていこうと思います。
どなたかクヴェヴリを洗う機会がございましたら、ぜひお役立て下さい!(ニッチな記事😂)
その機会が無い方もザーっと読み飛ばしていくと文量が結構あるのでクヴェヴリを洗うしんどさがスクロールするだけで伝わるかと思いますので気軽に読み飛ばして最後まで辿り着いてください😊
では、早速本文へ
1.壁面をザッと粗洗い
クヴェヴリの中にはワインと一緒にブドウの皮や茎、種(ジョージア語でチャチャ)などが一緒に入っていることが多いです。
冬が明け、少しあったかくなるとそのチャチャとワインを分けるオリ引きという作業をします。基本冬を越すと、発酵が落ち着いてチャチャは下に沈むのでオリ引きのしやすいシーズンに入ります。
そこを逃して夏になると、液体の温度が上がり、また発酵が始まってしまい沈んでいたものが再び液体内で舞い上がってしまうので、その時期は逃せません!
ワインとチャチャをクヴェヴリの中から取り出した後は、壁面にチャチャやワインなどが残っています。
それを全部掻き出すためにクヴェヴリの中に入り頭にライト、左手にホース、右手にブラシを持って水を流しながらブラシで擦り、底に溜めていきます。
全面のチャチャを底に流し終えたら、その溜まった水をバケツで汲み出していきます。
15Lくらいのバケツを持ち上げて、上で待機している人に渡すので結構な体力を使います。足場も平面ではないので、ここが大変ポイント①ですね😅
絵だと正確には伝えられませんが、2本足で底に立つと手桶ですくいづらくなり、バケツの置き場所もないので、上の図のような姿勢を取らなければいけません。
これがお尻へのダメージとなり、筋肉痛を呼び起こします😂
また発酵は糖分をアルコールと二酸化炭素にします。つまり発酵していたモノが入った入れ物の中には二酸化炭素の濃度が高く息がキツイです、、、
最悪、窒息死してしまうので、ここは気をつけなければなりません。
2.力強くゴシゴシと!
ここの段階では、力が求められます。
まずクヴェヴリの底に水をバケツ1.5杯分注ぎます。その溜まった水をブラシでしっかり持ち上げて、同じところを3度横方向に力強くゴシゴシしていきます。
クヴェヴリを4面に分け、1面づつ上から下まで隙間なく擦っていきます。結構な力が必要です。
1周を終えるとバケツ1杯分だけ汲み上げ、残った水で底を擦ります。
これでようやく1セットです😅
状況にもよりますが、それを5〜6回くり返し、擦った水がある程度キレイになった段階で次のフェーズへ移ります。
3.石灰水で殺菌しながら
ここまでで結構体力を使いましたが、残り半分、頑張りましょう(?)
ここで使う石灰水は石灰石を反応させるところからスタートです。
1kgの石灰石に対して水を5L加え半日置いておき、十分に化学反応させていきます。
この時すごい熱を持つので金属製の入れ物が必須です!
その後15Lの水を追加し、かき混ぜて10分くらい時間を置いたら上澄みのみをバケツに移して準備完了です!
作った石灰水を手桶でクヴェヴリ壁面に流し掛け、2の工程を1セットだけ行い、30分置いておきます。
ちなみに、この30分でお昼ご飯を食べるのがルーティーンです😊
お腹が満たされた所で再開です!
そこに溜まった石灰水で2と同じ作業を5回ほど繰り返して次の工程へ移ります!
4.クエン酸で中和しながら
10%濃度くらいのクエン酸水で3と同じ手順を繰り返します。
5.熱いお湯、冷たい水で仕上げ
2と同じことを50℃くらいのお湯と冷たい水で3セットづつ行い、水を汲み上げたらようやく洗いはフィニッシュです!!
お疲れ様でした、、、
6.乾燥そして殺菌
長い長いクヴェヴリ内での作業はもう終わりです😅
クヴェヴリの底に溜まった汲み上げきれなかった水を木の棒にスポンジをくっつけたもので吸い上げ、水気をなるべく減らしていきます。
そして、サーキュレーターで1日程度、乾燥させた後、UVライトを照射。
小さい800Lのクヴェヴリは10分
1,500Lは15分、2,000Lは20分間ライトをクヴェヴリの中に入れておきます。
読んでるだけで疲れた方も多いのではないでしょうか、、、
実際にクヴェヴリ洗いをすると、もれなく筋肉痛に見舞われるくらいハードワークなのです。
もちろん今回ご紹介したクヴェヴリの洗い方は1例ですのでワイナリー毎に流派があると思います。
少し前はこの大変さから、全ジョージアのワイナリー数の1%くらいまでクヴェヴリを使う所は減ってしまったそうです。
しかし、地道な草の根運動によりスローフード協会やユネスコの追い風を受け、正確な数字は分かりませんがフランスやイタリアをはじめ全世界にクヴェヴリのワインづくりは広がっています。
ジョージアではクヴェヴリの形を子宮に例えていると前回の記事でお話ししましたが、クヴェヴリの中に入ると不思議と心が落ち着き、穏やかになる気がします😊
日本でもジョージアワインだけでなく、クヴェヴリを用いたワインは買えると思うので、飲む機会がありましたらクヴェヴリ洗うの大変だっただろうなぁと思いながら飲むとワインから、より人を感じ親近感のあるものになるのではないでしょうか。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
では、次回も楽しみにしててください!
დიდი მადლობა