【読書記録】二宮敦人『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』【努力と呪い】
芸術の教科は好きだった。
美術に音楽、大好きだったけれど、才能はなかった。
大好きだったけれど、上手にできなかった。
以下に気づきを箇条書きで述べる。
音楽をする、プロを目指すような人は子どもの頃から英才教育を受けている。ということは、「やりたい」「好き」といった自発的な行動ではなく、周りの大人が押しつけているのだ、好き嫌いに関わらず。
自覚する前にやらされている教育は、ある種の「呪い」のようだと感じる。強い強い思いがのった言霊を浴びせられ、練習に励む。
「自分には才能がない」と気づいてしまったとき、その「呪い」は本人をひどく蝕んでしまうのではないか。
それとは逆に生まれながらに、芸術に惹き付けられる、そういった能力もあると思う。別のルートに進もうと思っていてもどうしても戻されてしまう。その魅力に引き戻されてしまう。それも一種の「呪い」だろうか。
好きなものを「つくる」だけでなく、「つたえる」という方法もある。
「好き」という気持ちに勝る物なし。結局その気持ちがなくてはいい物はできない。継続もできない。