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喜んで捨てる。

先日、三条市のカレーラーメン発祥のお店でランチをしていた時、
「すみません、ギョーザのお金を払わなかったので・・・」
と不足分の金額を支払に戻ってきた女性がいた。

黙っていれば、ギョーザを無料で食べることもできたのに律儀にも自己申告して改めて会計をしていた。

本来、人としてあるべき行動をとった女性客の行動は素晴らしい。

またある男性客は先にテーブル席に案内されたものの、店が混んできたらカウンター席に移ることを自ら申し出た。

そのようなことが自然にできる人も素晴らしいが、顧客との信頼関係を構築できているお店の賜物だろう。

まさに僕が考える「神様のようなお客様」である。

たとえ自分が損をすること(女性客の場合は自分の利益になることを放棄すること)を社会に還元すると思えばよい。

奪い合えば足らぬ、分け合えば余る。

僕の地元、長岡市に伝わる十分杯の思想を思い起こした。
十分杯とはサイホンの原理を応用した、からくり酒器で液体を8分目を超えて注いだ瞬間、底の穴から全て流れ出てしまうものだ。

貞享4年(1687年)、長岡藩三代藩主の牧野忠辰(ただとき)は、十分杯が伝える「満つれば欠く」というメッセージに感銘を受け、自分自身の戒めにして、家臣たちに倹約の精神を説いたという。

足るを知り、贅沢をしないというのは、モノや情報に満ち溢れ日々せわしなく動き回っている現代にも通じる戒めであろう。

ちなみに件のラーメン店で提供されたラーメンは絶品で、お腹も心も満たされた。

今日も皆様にとってよい一日でありますように。


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