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大切な絵本

子どもの頃から大好きな絵本の1冊に「ぐるんぱのようちえん」という作品があります。

簡単にストーリーを紹介すると自信がなく孤独でいつもメソメソしていたゾウのぐるんぱは、仲間のゾウたちの励ましと応援によって見違えるようになり町へ働きに出掛けます。

クッキー屋さん、お皿屋さん、靴屋さん、ピアノ職人、自動車屋さんと色々な仕事を経験しますが、どこの職場でも、あまりに大きすぎる規格外のものを作るので、売り物にならないと否定され続けます。

心が折れそうになったぐるんぱですが、ある日12人も子どもがいるお母さんと偶然出会い、自分が今まで作ってきた大きなクッキー、お皿、靴、ピアノ、自動車を使って幼稚園を開きます。

子どもたちは大はしゃぎで、ぐるんぱの幼稚園で遊びます。子どもたちの笑顔に囲まれてぐるんぱは優しく微笑むのでした。

何をやっても上手くいかない、必要ないと否定され続けたぐるんぱが最後に希望を見つける、この物語のラストシーンが子どもの頃からずっと心に残っていました。

私たちは皆、きっと誰かにとって必要な存在で、その誰かに出会うまでの様々な経験や一見遠回りをしているような時間は決して無駄にはならないと思います。

仏教の言葉で天上天下唯我独尊というものがあります。天上天下にただ一人の、かけがえのない人間として、私たちの命は皆尊いということを意味しています。ただありのままの自分自身で、毎日暮らしていくだけでいい。子どもたちにとっては、ぐるんぱが、ぐるんぱにとっては子どもたちが、かけがえのない存在だったのではないのでしょうか。

ぐるんぱのようちえんは僕にとって大切なことを教えてくれた物語です。

先日、第二子が生まれた友人に「ぐるんぱのようちえん」をプレゼントしました。僕自身も誰かにとって、ぐるんぱのような存在になれるといいな。

注)この文章は、「ぐるんぱのようちえん」をまだ子どもたちに読ませたことがないお母様またはお父様に向けて書いた推薦文なので丁寧語にしました。


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竹内康司
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