自閉症児へのアプローチ、DIRフロアタイムとはなんですか?(後編)
前回、自閉症児の療法であるDIRフロアタイムの「DIR」とは何かについて書きました(詳しくは記事一番下のリンクよりどうぞ)。今回はその続きで、DIRフロアタイムとは何かについて。
ICDLのサイトから引用して詳しく内容を説明する前に、私のざっくりとした構造的な解釈を書いておきます。ここは私が混乱しやすい点でした。
まず、前回書いたようにDIRという人間の発達や学習を理解するための枠組みモデルがあり、それをベースに「こうやって子どもたちと関わると発達が促されるよ」と具体的な実践に持っていく方法を説いているのがDIRフロアタイムになります。なんとなく違いがわかって頂けたでしょうか。
それではいきましょう。
DIRフロアタイムとはなんでしょうか。ICDLのサイトから引用します。
日本語に訳すと、
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フロアタイム(DIRフロアタイム®としても知られています)は、尊重された、遊び心のある、楽しい、かつエンゲージメントを持ったプロセスを通じて、個人の発達を促進するために用いられるアプローチです。このアプローチは、人間関係と人とのつながりの力を利用して、自己調節、エンゲージメント、コミュニケーション、共有の社会的問題解決、創造的で組織的、かつ反射的な思考や推論の能力の発達を促します。これは、人間の発達のためのDIR®モデルに基づいています。
フロアタイムは、教師、作業療法士、言語療法士、メンタルヘルスの専門家、親、その他発達障害や関連するニーズを持つ個人をケアする多くの人々によって、世界中で使われています。これは、あらゆる年齢の個人、特に自閉症スペクトラムにある子どもたちに対して使用される、根拠に基づいた人間発達を促進するアプローチです。
↑↑↑↑↑(翻訳終わり)
私がいいなと思うのは、フロアタイム・プラクティショナーは相手である子どもを「尊重」していること。そしてフロアタイムは「遊び心」があって「楽しい」ことです。Respectful, playful, joyful!!
そしてこう続きます。
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自閉症などの発達上の違いを持つ子どもたちは、しばしばかなりの集中的なサポートを必要とし、自閉症の障害となる側面を克服する手助けが必要です。一人になると、彼らは通常、何かが必要な時以外は自ら交流を始めることはありません。あまりにも一人でいると、他の人たちも存在する共有された世界の喜びを発見する機会を逃してしまいます。また自閉症の子どもを助けるということは、彼らを「正常」に振る舞わせることではありません。それは彼らの成長と発達を助けることです。
↑↑↑↑↑(翻訳終わり)
学校でもよくある光景ですが、自分の中で面白い遊びがあると、外側にいる人間はなかなか一緒に遊んでもらえません。フロアタイムはそんな時でも彼らの遊びへの入り口を見つけ、一緒に遊び、繋がりを太くしていきます。
また「自閉症の子どもを助けるということは、彼らを『正常』に振る舞わせることではありません」という点はその通りで、教室でも生徒のスティミングを止めることはありません。彼らの体はそのインプットを必要としているのであって、それを私たちが止める理由はありません。
そして、
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したがって、自閉症の子どもたちは「いつでもどこでもフロアタイム」から恩恵を受けることができます。フロアタイムは家の中のどこでも、裏庭、スーパーマーケット、遊び場などで行うことができます。他の子どもたち(兄弟姉妹や同年代の友達)と一緒でも、大人だけでも行うことができます。夕食後、お風呂で、またはベッドでくつろぎながら、一日のどんな時間にでも行うことができます。車の中や、洗濯をしているとき、皿を洗っているときなど、いつでもどこでも行うことができます。美しい側面の一つは、これのほとんどが、日常の自然な環境でケアギバーと子どもと一緒に行われることです。良いフロアタイムのコーチングを親やケアギバーとして受ければ、常に家に専門家を必要とすることはありません。
↑↑↑↑↑(翻訳終わり)
フロアタイムを実践するにあたり、特別な物や環境を用意する必要がないのは嬉しいです。最初の一歩のハードルを下げてくれます。またフロアタイムのコーチングを受ければ親がフロアタイムを実践でき、セラピストに常に家に訪問してもらう必要はなくなるのもありがたいかと。やはり繋がりが強いのは親子であって理にかなっていると思うし、セラピストを随時雇う必要がなければ経済的にも嬉しいものです。
そして最後に。
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DIRフロアタイム®アプローチは、感情が心と脳の成長に不可欠であるという事実に基づいています。子どものリードに従うということは、彼らの感情に従うことを意味します。あなたの子どもにとって何が興味深いのでしょうか?彼らに喜びを与えるものは何でしょうか?それが何であれ、あなたの子どもの興味は、彼らが感じていることを理解するための手がかり、窓です。最初のステップは、あなたが密接に観察し、彼らの感情の世界に調和できるようにすることです。彼らが何に興味を持っているかを理解したら、それを使って彼らがさらに成長し、発達するのを助けることができます(詳細は「6つの機能的感情発達能力のページ」を参照してください)。あなたの子どものリードに従い、彼らの興味を理解することで、彼らが発達し成長するために最適な方法を知ることができます。
↑↑↑↑↑(翻訳終わり)
「子どものリードに従う」、これは私もコーチから繰り返し言われます。子どものリードに従うことで彼らの興味を知り、どこに彼らの世界に入るドアがあるのかを教えてもらう。ドアを見つけて彼らの世界に入れてもらい、少しでもいいので一緒に遊ぶ。それは一見遊びに見えないかもしれません。でもそこで立派なコミュニケーションの輪を作ることができ、そこから全てが始まっていきます。この一連の相互のコミュニケーションが成立するときは本当に感動します。最初にも書きましたが、まさにrespectfulで、playfulで、joyfulです。
さて、ここまではさわりです。フロアタイムは奥が深く、知れば知るほど子どもたちと遊ぶのが楽しくなってきます。毎日のシーンで「ああ、あれはこういうことだったのか!」とちょっとした謎解きのような、合点がいくことも多く出てきます。
そしてこれを書いている私もフロアタイムを学んでいる最中です。こうやってアウトプットをしながら皆さんと一緒に学んでいくのが目標です。
ここまで読んでもっと知りたいと思った方は、ぜひICDLのオンライン・コースを受けてみて下さい。DIR 101は入門コースとして親、ケアギバー、専門家、全ての人向けに作られています。英語のコースがほとんどではありますが、たまに日本語でもコースが提供されています。ICDLのサイトをチェックしてみて下さい。
前編もどうぞ!
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