数をこなすだけでは売れない。パーソルキャリアの歴代No.1セールス岩田和花が語る、未達時代の苦悩とその乗り越え方
「私の未達時代」では第一線で活躍するセールスパーソンを訪ね、失敗をしていた過去から売れるようになった現在までのストーリーを紹介していく。
今回は、パーソルキャリア株式会社で転職支援サイト「doda」法人営業の岩田和花さんを訪ねた。歴代で最もdodaを売った営業「歴代No.1セールス」の肩書きを持つ岩田さん。実は、新卒で営業職につくも、最初の2年間は全く売れず、気持ちが追い込まれた時期があった。
本記事では、そんな彼女の未達時代の苦悩と、そこから売れるまでに起こった気持ちの変化、ぶつかった壁を乗り越えた方法などを語っていただいた。
プロフィール
2016年に新卒でパーソルキャリア株式会社へ入社。転職支援サイト「doda」法人営業 。単発受注金額歴代No.1記録保持(未だ更新者なし)。「営業をより憧れられる職業へ」を本気で叶えるべく、Twitterを中心に自分なりの『営業の面白さ』について発信中。日本最大級の営業の大会第5回S1グランプリでは、準優勝を獲得。
理念の「働くを楽しもう」に共感し、パーソルキャリアに入社
——現在のお仕事について教えてください。
2016年4月に、転職サービスの「doda」をはじめとした、さまざまな人材サービスを手掛けるパーソルキャリア株式会社(旧インテリジェンス)に入社をし、転職メディア事業部でdodaの法人営業を行っています。2022年4月からは7年目に突入します。
——岩田さんはもともと営業をご希望されていたんでしょうか?
いいえ。就活時には職種は限定せず、会社を探していましたね。特に、学生時代に営業のインターンを経験したこともありませんでした。
就活では、特に会社の理念を見ていて。パーソルキャリアに入ったのは、当時、弊社が掲げていた理念「働くを楽しもう」に共感したからです。なのでこの会社に入れたら、職種はなんでも構わないと思っていました。
——新卒時代、未経験からスタートした営業。どんな営業だったんでしょうか?
入社時からIT専門の部隊に配属され、基本的にIT企業をメインでみていました。
営業では行動量だけをひたすら追っていました。それ以外の商談の質に関するフィードバックをもらっても、数からしか成果は生まれないと思っていたので、まずは数を重ねることだけは徹底。逆にそれしかできていませんでした。
——最初から売れていたんですか?
そんなことなくて。目標は達成しないのが当たり前で、達成するのは年に2回のみ。営業の同期の中でも最下位だったことが何回もありました。
とりあえず“数”をこなし、成果が出ない2年間の新人時代
——岩田さんに売れていなかった時代があるとは思っていなかったです。当時はどんな状況だったんでしょうか?
さっきも言ったように、数をこなすことだけは徹底していたので、アポにはかなり多く行っていました。しかしそれが「アポに行く」ことが目的になっていて。がむしゃらに数はこなしていましたが、アポから受注するまでのプロセスや、商談の質など全く気にしていませんでした。
例えば、片道3時間ほどかけて千葉県の僻地まで訪問したことがあります。普通だったら、事前に電話でヒアリングする時間をもらい、その場で決めるくらいの準備をしていくじゃないですか。
しかし当時の私は、何も準備もせずにパンフレットだけ持って行ったんですよ。パンフレットだけ見せて、「一応こんなサービスがありまして」と説明して、後は帰るみたいな。それで1日潰れちゃう。でもそれをやった私を褒めてくれますよねって、上司に対して思っていて、本当に質が伴わない商談を繰り返していました。
——でも新人時代って、上司から「まずは数をこなそう」と教えられますよね。
そうですね。それを信じてひたすら数打って数打って。「数をやるからこそ質が伴っていく」という上司の言葉を信じていました。
しかし、いつまで経っても受注できない。反面、上司から期待の声をかけてもらっていました。それに答えられていない自分が情けなく辛かった。どんどん精神的に弱ってしまい、2年目の終わりに会社に行けなくなりました。
——ご自身の状況にストレスを感じていらっしゃったんですか?
振り返ると、当時の私は上司にベクトルが向いていました。何とかこの上司に笑ってもらいたい、喜んでもらいたい、認めてもらいたい。そんな思いで必死に営業をしていたんです。
しかし一生それは叶わない。そんな状況で、私のモチベーションは下がっていく一方で、頑張りたいと思っているのにそれが果たせないもどかしさもあり、潰れてしまいました。
解はお客様が持っている。マインドを変え徐々に売れるように
——2年目の終わりに精神的にも苦しい時期を経験。そこからどのように行動し、壁を乗り越えていったのでしょうか?
4ヶ月間会社に行けなくなった際に考えていたのが、「何で受注ができないんだろう」「何でアポがとれないんだろう」ということでした。それらを問い続けたときに、ああわかんないやって思って。
じゃあ自分に解がないんだったらどうしたらいいか。その解はお客様に聞かないとわからないんじゃないか、「どうしたら受注ができますか」ってお客様に聞きに行けばいいんではないか、そう気づいたんです。
そこからは、分からないことがあれば何でも、とりあえずお客様に聞きに行こうと思って。「受注」しか見えていなかったので、商談に行くのも怖くなくなりました。
——具体的にお客様にどのように聞いていたんですか?
例えば、お客様に断られた際には「何故、弊社を選んでいただけないのでしょうか」。話を聞いてくれない際には「何故、検討していただけないのでしょうか」と聞いていました。
受注するためだったら、このお客様に切られても大丈夫というマインド。聞いて怒られても、もしかしたら次のお客様は教えてくれるかもしれない。そうしたら受注できるかもしれないということを考えながらやっていました。
——実際に、怒られました?
怒られなかったですね。聞き方は確かに重要ですが「何でですか」と聞くと、意外と答えてくれるんですよ。「この部分がネックになっている」「費用対効果が悪い」「採用できるイメージが湧かない」など。そこで分からないことはどんどん掘り下げて聞いていたので、自ずとヒアリング力も上がりました。
——解はお客様が持っている。それに気づけたことで、ぶつかった壁を乗り越えられた。
重ねるうちに、失注してしまう理由がどんどん分かるようになって。ヒアリングの時にこれは聞かなきゃいけないんだとか、これは事前に伝えておかなきゃいけないんだとか。ようやく受注までのプロセスや商談の“質”が分かるようになりました。
そこからお客様からのフィードバックを反映し、商談をブラッシュアップし続ける。必要な時に必要な情報を出すようにしたら、どんどんネタ化率も上がっていき、商談実施率も上がって受注できるようになりました。
半年間でガーッと業績が上がり、そこからはずっと事業部MVPなど賞をとり続けています。2018年の10月に、大手企業専門の組織が立ち上がり、10人しか選ばれない1期メンバーとして入れてもらいました。noteでも書いているのですが、そこで単発で1.1億円の受注を成し遂げました。
1.1億円の受注を達成。ベクトルは上司ではなくお客様
——そこから今までは順調だったんでしょうか?
順調かと言われるとそうでもなくて。1.1億円を受注した際は、受注のことしか考えていなかったので、その後の運用をほぼ考えずに受注してしまっていたんです。結果、全然応募が来ない。「効果が出ていない」と、お客様から何度もお問い合わせいただいてしまいました。
そこでようやく気がついたのは、受注だけ考えていてもダメだということでした。ベクトルをお客様に向けて、私たちのサービスを使ってもらうことによって、お客さんをどう支援できるかを考えないと営業としての仕事は果たせないんだと。
入社当時から上司にベクトルが向いていた私が、1.1億円の受注をきっかけに、お客様にベクトルを向けるようになりました。
——上司から、お客様へベクトルを変える。
もちろん受注を追うことも大切です。しかし買ってくれるお客様に対して、真摯に向き合い、期待する効果が生み出せるのか、お客様の採用目標が達成できるようになるのかを考えるようになりました。
またお客さんが他に課題としていること、第三者目線でやっておいた方がいいことなども伝えるようにしました。最初は上司と一緒に伝えに行って、徐々にそういうディスカッションの場を設けてもらえるように。足元の受注だけに目が向かないようになりました。そういったところを含めて、思考は180°変わりましたね。
——岩田さんが変化したことによって、お客様の態度も変わっていったんじゃないでしょうか。
ベクトルがお客様に向き始めてから、中長期的な視点を持って話せるようになりました。そうすると、お客様もその時は「へえ」で終わったとしても、いつかそういった議題がお客様の中で出たときに、一番に私に連絡が来るようになるんです。「あの時の話なんですけど…」と。
相談ベースで連絡が来て、私個人に頼ってくださる方々がいる。困った時には岩田さんに相談しようと思ってもらえる状態が作れました。
——では最後に、そのように岩田さん自身に頼ってもらえる状態を作るにあたって、大事にしていることを教えてください。
私は、他の営業がお客様と話してることを聞いています。どういう粒度の情報なのか、どの程度の粒度の情報を持っていけばより信頼獲得できるのか、そう言ったことを観察していますね。他の営業がやってていいなって思うことは真似する。そうすれば他の営業に負けることはありません。
また商談中に大事にしているのは、相手のテンションに合わせて、話し方や相槌を変えること。同じ能力を持った人間でも、話しやすい人に行くか、話しにくい人にいくかって、絶対前者に行くじゃないですか。
これらを含めてお客様が困った時に、私に電話してもらえる体制をいかに作れるのか、それを意識してやれることが大事かなと思います。
ライター:フジカワハルカ
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