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アブストラクトゲームにおける「面白さ」とは?
この記事はアブストラクトゲーム Advent Calendar 2024の記事として書いたものです
オリジナルボードゲームの製作をしていると、時々「これって面白いんかな?」と思うことがあります。あるいはもっと本質的な「面白さってなんだろう?」と考えることがあります。
ボードゲームにおける「面白さ」ってなんでしょうか??
ひとつは、運を楽しむタイプのものがあると思います。サイコロを振って1が出た!6が出た!あるいはカードをめくってAだった!Kだった!という偶然性に一喜一憂するタイプのものです。あるいはごっこ遊びを楽しむタイプというのもありますね。あなたたちは旅する冒険者です、無人島の開拓者です、王位継承権を持つ者たちです、農家です、画商です等々・・・。あるいはワイワイコミュニケーションを楽しむタイプなどもあるでしょう。
ところが!ですよ。
アブストラクトゲームでは上記のような要素がなにひとつ入らないのです。一体アブストラクトゲームにおける「面白さ」はどこにあるのでしょう?面白くない?いやいや私はアブストラクトゲームが大好きです。一方そんな私でも「アブストラクトならなんでも好き」というワケではなく、あまり好みではないものもあります。そういった好みは一体どこから湧いてくるのでしょうか?・・・といったあたりについて少し考えてみたいと思います。
イマイチに思うアブストの例:
まず、あまり好みではないと個人的に感じる例を挙げてみます。
収束しない。泥仕合。イタチごっこ。頻繁に千日手が発生し、また発生せざるを得ない作り。どちらかがミスしないと終わらない。
圧倒的に有利な戦法(打ち筋)があり、他のやり方を試す余地が無い。展開の幅が狭い。同じ展開にしかならない。毎回同じパターンで勝敗が決まる。ワンパターン。先手必勝/後手必勝。
守る方が有利で互いにお見合い状態となり、それを打開しようと動いた方が負ける。
見通しが立たない。何を目指すべきかがわからない。勝ちに向かっているのかそうでないかもわからない。霧の中でもがいている感じ。
良い手がみつからない。良い結果が期待できる手がない。イマイチだと思う手を互いに打ち続ける。
ルールに漏れがあり、途中で続行不可となり最後までプレイできない。
遊びづらい。小さくて持ちづらい。ズレる。視認性が悪い。安っぽい。
例外処理、直感的でないルールが多く遊びづらい。
面白いと思うアブストの例:
遊びやすい。サクサクできる
さまざまな作戦が思い浮かぶ。別の作戦でやってみたくなる
前回とまったく違う展開
ダイナミックな盤面変化
奇抜な一手
逆転
接戦。刺すか刺されるか
必勝法を解明したくなる 解明できそう(けど挑戦すると意外と難しい)
研究して強くなる、今まで勝てなかった相手に勝てるようになる
目標に向かって進んでいる感じ、達成感
見た目が美しい
手にとった感触、重さ、音
たくさん挙げたのでとっ散らかってしまいましたが、ひとつ気付く点として展開の幅がどれくらいあるか?を自分はけっこう気にしてることに気がつきました。
毎回同じ展開=飽きる、つまらない / やるたびに展開が変わる=面白い!
戦法が1つしかない(できない、無駄、自明) / さまざまな戦法が有効、奇手
様々な展開がある = 研究しがいがある = 面白い!
アブストラクトゲームは、様々な装飾品を取っ払った屋台骨しかないシロモノなので本質的にどれもシンプルです。そこから無限の宇宙を想像するような展開の広さが感じられると、人はそこに学術的な何かを見い出し、惹き付けられるのかもしれません。(「人は」と大きく出てしまいましたが「少なくとも自分は」ですね)