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【読書記録7】さよならの仕方を教えて

旅と読書をこよなく愛するBrain Library七瀬 透です。

一条 岬「さよならの仕方を教えて」

切なさ溢れる恋愛小説を手がける一条 岬さんの「さよならの仕方を教えて」。
切ない恋愛小説のはずだが、序盤は作者の巧妙なトリックに踊らされる展開に・・・。
そのトリックの先に用意された切なさに、なんとも言えない気持ちを抱く恋愛小説。
青春とは、こんなにも青くて純粋なのかと思わされる作品。


生きてさえいれば世界は美しい

あらすじ

ある出来事から、あまり人と関わることをせず無気力に生きていた高校2年生の樋口悠。
ある日学校へ行くと、別の人が座っていたはずの隣の席に見知らぬ転校生、有馬帆花が座っていた。
転校生であるにも関わらず、周りから話しかけられることもなく、どこかクラスの中で浮いている彼女を不思議に感じつつも、2人は打ち解けて行く。
そんなある日、姿を消していた幼馴染の水瀬澟が姿を表す。時を同じくして、帆花は姿を消してしまった。
絶対に交わらない澟と帆花。3人の思いは交錯しつつ一つの真実に導かれて行く。
全てが明らかになった先に待ち受ける切なすぎる真実とは?!

書感

総ページ数250ページと、小説としては短い方に分類されるだろう本作。
しかしながら、序盤は巧みな文章と時間のトリックにより、不思議な感覚に襲われた。
違和感を感じながら、読み進めると、時間軸に誤差があったことに気が付く。
うまい具合にミスリードされてしまうことに脱帽した。
読み進めるごとに「こういうことだったのか!」と感嘆させられる。
そして、その感嘆の先に待ち受けるのは、若さゆえの純粋さと切なさだった。
悲しさや切なさが先行するにも関わらず、瑞々しささえ感じる恋愛小説。

恋愛小説といえど、ミステリー小説並みの伏線とトリックが隠されていて、読む価値のある一冊だった。
この年になると、ミステリーばかり読んでしまって恋愛小説に触れる機会は少なくなってしまうが、それでも楽しめる仕掛け満載で、どの世代にも読める作品です。

そして、生きていることの尊さや何気なく過ごしている日々が如何に奇跡であるかを教えてくれる小説でもあった。

生きることに疲れてしまったり、悩みや不安を抱えている人には、ぜひ読んでほしいと思う。
生きてさえいれば、いつだって世界の美しさに気付けるのだから・・・。

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