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脳の省エネに注意!認知症リスクを減らすための対策とは


脳科学ライフコーチのカルロスです。

「昨日の夕食、何食べたっけ?」
「メガネをどこかに置き忘れた…」
「あれ?今日は何曜日だっけ?」

最近、こんな経験はありませんでしたか?

“加齢”とともに、物忘れが増えたり、ふとした瞬間に記憶が曖昧になったりすることがあるかもしれません。でも、これって本当に歳のせいなのでしょうか?

実は、脳には知られざる一面があり、その働きを理解することが認知症予防の鍵となるのです。

今回は、脳科学の視点から、認知症のリスクを減らす方法についてお話ししたいと思います。


脳は「省エネ」が大好き?

まず、脳のエネルギー消費について考えてみましょう。私たちの脳は、体重のわずか2%ほどしかありませんが、全身のエネルギー消費量の約18%を占めています。つまり、脳は体の中でも特にエネルギーを必要とする器官なのです。そのため、脳はできるだけ省エネルギーで働こうとする傾向があります。

この「省エネ」が認知症の原因になっている可能性があるのです。
一体どういうことなのか、もう少し詳しく見ていきましょう。


意識しなくてもできるようになる「習慣化」の仕組み

脳が省エネを実現するための方法の一つが、習慣化です。一度学んだ行動やルーティンを習慣化することで、脳は意識せずに自動的にその行動を実行できるようになります。

例えば、歯磨きや靴ひもを結ぶといった日常的な動作は、子供の頃は一生懸命覚えたものの、今では意識しなくてもできるようになっていますよね。これは、脳が習慣化によって省エネを図っている証拠なのです。


「ぼんやり」も大切!デフォルトモードネットワークの役割

また、脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる、特定のタスクに集中していないときに活性化するネットワークがあります。

DMNは、ぼーっとしている時や、過去の出来事を思い出したり、未来の計画を立てたりする際に働きます。さらに、自分自身や他者について考えるときにもDMNが活動するのです。このDMNの存在は、脳がリラックスしながらも、エネルギー消費を抑えようとしていることの表れと言えるでしょう。


直感を信じる脳、ヒューリスティックス

脳のもう一つの省エネ戦略が、「ヒューリスティックス」です。これは、複雑な問題に直面した際に、脳が過去の経験や直感を頼りに、簡略化した答えを出す方法のことを指します。

例えば、「この人は信頼できるか」といった判断を下す際、脳は相手の表情や話し方、雰囲気など、わずかな情報からパッと結論を出してしまうことがあります。人間の「直感力」は、80%ほどの確率で正解することも分かってきており、かなり精度が高いと言えます。

これは、一つ一つ論理的に考えていては時間とエネルギーを消費してしまうため、脳が効率を優先した結果なのです。


脳には情報のフィルタリング機能がある?

さらに、脳は私たちに必要のない情報を自動的にフィルタリングすることで、無駄なエネルギー消費を防いでいます。

例えば、カフェで友人との会話に集中しているとき、周囲の雑音はほとんど聞こえていない(意識されていない)と思います。これは雑音が脳によって遮断され、会話の内容だけが処理されているということです。脳が限られたリソースを有効活用するための知恵と言えるでしょう。

意識とは、そのテーマにスポットライトを当てることだと言われていますので、個人的には「フィルタリング」というより「フォーカシング」という言葉の方が相応しいように思います。
しかし、膨大な情報の中で必要情報のみを脳に取り入れると考えると、やはり「フィルタリング」という表現の方がマッチしているのかもしれません。


メンタルモデルという財産

さらに脳には、「メンタルモデル」と呼ばれる、世界の理解や物事の捉え方の枠組みがあります。これは、私たちが経験を積み重ねる中で徐々に形成され、新しい状況に直面した際の判断を助ける強力なツールとなります。

つまり、脳は過去の知識を活用することで、新しい情報を効率的に処理しているのです。年齢を重ねるほど、このメンタルモデルは洗練され、より頼れる存在になっていきます。


メンタルモデルのアップデートが必要な理由

しかし、1つだけ注意したことがあります。時代とともに社会が変化するうちに、昔ながらのメンタルモデルが通用しなくなることもあるのです。

例えば、テクノロジーの進歩により、仕事の進め方が大きく変化した場合。古いメンタルモデルに固執していては、新しい状況に適応できなくなってしまうかもしれません。だからこそ、私たちは常に新しい知識を取り入れ、メンタルモデルをアップデートしていく必要があるのです。


脳を活性化させて認知症を予防しよう!

さて、ここまで脳の省エネ志向について見てきましたが、実はこの特性が認知症のリスクを高める可能性があります。脳が常に省エネモードだと、脳の細胞が活性化されにくくなり、認知機能の低下につながってしまうのです。

そこで重要なのが、脳に適度な刺激を与え続けること。ですから、常に好奇心を持って新しいことにチャレンジし、脳を活性化させましょう。高齢になっても、学び続ける姿勢が認知症予防の鍵となります。

また、柔軟な思考を心がけることも大切です。固定観念にとらわれず、物事を多角的に見ることで、メンタルモデルをアップデートすることができます。日々の生活の中で、「これって本当にそうだろうか?」と自問自答してみるのも良いかもしれませんね。

脳は、私たちの人生を豊かにしてくれる大切な存在です。
その特性を理解し、上手に付き合っていくことで、いつまでも健康で若々しい人生を送っていきましょう!