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ぐるっと北海道-公共交通機関で巡る北海道の旅-
バスと鉄道だけでオホーツク、日本海、太平洋沿岸を駆ける-
観光に行きたい都道府県ランキングでは決まってトップを競う北海道。道内にはいくつもの観光地がありますので、どこへ行っても楽しいのですが、札幌などの大都市を除けば、基本的に駅から遠かったり、そもそも鉄道路線が走っていない地域も多い北海道では、その移動手段はレンタカーという方も多いと思います。私もこれまで何十回と渡道していますが、特に本数の少ないローカル線が多い北海道では、やはりレンタカーは便利です。
そんな中、昨年10月、私は鉄道のみを使って、千歳から釧路、根室、網走、旭川、札幌と巡る旅行をしました。
その旅が思いのほか面白く、また、長距離を自身が運転する必要もなくて、身体的負担も軽いことから、再び、公共交通機関のみを使って北海道を回れないかと計画するようになりました。思えば、北海道はたしかに多くのローカル線が廃止となり、鉄道だけで北海道を巡るにはなかなか難しい状況にある一方、都市間バスや鉄道廃止の代替としての長距離路線バスがかなり充実しています。それを使いながら、北海道をぐるっと回れないだろうかと考えてみたのです。
そこで計画した旅程は、ほとんどをバスで、一部鉄道を使いつつ、オホーツク、日本海、太平洋沿岸を巡る旅。
少し長い旅行記になっていますので、ごゆっくりお楽しみください。
1日目:紋別へ
初日はある意味、序章のようなもの。目的地はオホーツク海沿岸の都市・紋別ですが、夕方に旭川駅を出る都市間バスに乗ればいいので、それまでは少し寄り道して旭川へと向かうことにします。
バス1本目(新千歳空港1127→道南バス→1235苫小牧駅前)
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まず乗車したのは、新千歳空港から苫小牧駅を直接結ぶ道南バス。苫小牧へは、JR千歳線を利用して、南千歳乗換で行ってもよいのですが、ちょうどよく苫小牧駅行の路線バスがありましたので、それを利用することにしました。新千歳空港から乗り込んだのは7名でしたが、苫小牧市内に入るとバスはぐるぐると市内を巡り、結構な頻度で乗り降りがあります。市民の足として機能しているのがわかります。
苫小牧到着は12時半過ぎ。王子製紙の企業城下町として栄えた苫小牧ですがいまや市の中心は東側の港湾地区やイオンモールがある辺りとなっており、駅前は寂れていました。
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鉄道1本目(苫小牧1322→室蘭本線・1469D→1450岩見沢)
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苫小牧からは室蘭本線に乗って、岩見沢を目指します。
室蘭本線は長万部から東室蘭を通って苫小牧までの区間は、特急北斗・すずらんも走るJR北海道を代表する大幹線ですが、苫小牧から先、追分・栗山経由で岩見沢へと向かう区間は、札幌への旅客流動から切り離されて、閑散線区となっています。
苫小牧発は13時22分。その前の岩見沢行は8時半過ぎで、何と5時間ぶりの列車です。車両はJR北海道専用のキハ150形。H100形(通称デクモ)の投入により活躍の場を急速に狭めつつありますが、室蘭本線の同区間ではこの車両が主力車両です。
青春18きっぷシーズンではなかったので、あまり旅行者風の人は見かけませんでしたが、それでも各ボックスシートが埋まるなど、それなりの利用はあるように見えました。そう、忘れていましたが、JR北海道の一般型気動車は非冷房の車両が多いです。この車両も非冷房でして、車内はかなり暑かったです。
そしてJR北海道あるあるですが、窓が汚い。車窓を見ても、常に霞がかかったような感じ。経営状態が悪い鉄道会社ならではですが、もう少し何とかならないものでしょうか。
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鉄道2本目(岩見沢1455→ライラック21号→1555旭川)
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岩見沢到着は14時50分。岩見沢駅のホームには、かつてばんえい競馬があったことの名残りでもある「ばん馬の像」があり、多くの人がカメラを向けていました。岩見沢では、5分の接続で旭川行の特急ライラック21号に乗車します。
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この日は3連休の最終日だったこともあり、下りの特急列車はかなり空いていました。札幌-旭川間はJR北海道としても、札幌-新千歳空港間に次いでドル箱とされる重要路線です。頻繁に運転される特急列車は快調に空知平野を飛ばしていきます。15時55分、列車は定刻に旭川に到着しました。
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バス2本目(旭川駅前ターミナル1715→道北バス・特急オホーツク号→2015紋別ターミナル)
北海道では随所で走る都市間バス。札幌や旭川を拠点に、鉄道が既に廃止された街を含めて道内各地に幅広いネットワークが形成されています。引き続き道内各地で延伸を続ける地域高規格道路(いわゆる無料の高速道路)の開通も後押しして、JRの特急列車から乗客を奪い合っている間柄ですが、中心街が駅から離れていることも多い道内の各都市で、ダイレクトに中心街を経由できるのも、都市間バスの強みといってもいいかも知れません。
そんな都市間バスの中で、今回乗車するのは旭川から紋別を結ぶ特急オホーツク号。同名の特急列車がありますが、それは札幌から旭川を経由し、石北本線を通って網走までを結ぶもの。このバスは国鉄名寄本線が廃止されたオホーツク海の拠点都市・紋別までを結ぶ特急バスです。紋別方面へは、道央道の比布ジャンクションから旭川紋別道という名称の地域高規格道路が、現在遠軽まで開通していますが、このバスは、上川までは下道を走り、そこから浮島ICまで1区間だけ地域高規格道路を走って、すぐに下道に降りて滝上町を経由して紋別までを結んでいます。
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旭川駅から乗車したのは5名程度、その後、何人か乗り込んできて、途中の滝上で2名下車。紋別まで乗り続けたのは7~8名ほどでしたでしょうか。
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今日の宿泊は紋別バスターミナルのすぐ隣にあるホテルオホーツクパレス。ホテル内のレストランでちょっと奮発してお刺身御膳をいただきました。
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2日目:オホーツク海を北上
緯度の高い北海道は夜が明けるのも早いです。泊まった部屋が東の海を望めるところでしたので、ちょっと頑張って早起き。4時過ぎには朝日を望むことができました。
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バス3本目(紋別ターミナル659→北紋バス・雄武線→813雄武)
この日の旅程は紋別から路線バスを乗り継いでオホーツク海をひたすら北上します。まず乗車するのは紋別6時59分発の北紋バス・雄武線。実はこの紋別6時59分発のバスに乗ると、路線バスを乗り継いで稚内まで行くことができるのです。
この雄武線は、かつての名寄本線の紋別-興部間および興浜南線の興部-雄武間の廃止代替路線です。車内は2名の高校生が乗っていました。このバスは紋別高校始発ですので、紋別高校の学生ではないようです。その後も紋別市内のあちこちのバス停で高校生が乗ってきます。最終的には10人以上になったでしょうか。彼らはみんな、興部高校前で降りていきました。興部高校の学生さんたちだったんですね。このバスは雄武高校行ですが、そういえば最後まで雄武高校の学生さんを見ることはありませんでした。
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8時過ぎにバスは雄武に到着。このバスは雄武高校入口まで行きますが、私は道の駅が併設されている雄武バス停で下車。この道の駅、見上げると何やら展望室のようなものがあります。出入りは自由とのことでしたので、ちょっと行ってみましたが、雄武港を望む見事な景色でした。
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バス4本目(雄武840→宗谷バス・音標雄武線→950枝幸ターミナル)
さて、次のバスは20分ちょっとの接続で枝幸行のバスに乗り込みます。なんと、この区間は1日2本だけ。8時40分発を逃すと次は17時40分までバスがありません。まさに紋別からの乗り継ぎを意識したかのような時刻設定。この雄武-北見枝幸間は興浜線の未成区間ですが、オホーツク地区と宗谷地区の境でもあり、あまり需要がないようです。
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やって来た宗谷バスの車両は東京の東急バスにそっくりの塗装。しかも中は後部座席が電車のロングシートで、なかなかバスでは見ない座席配置となっていました。これはこれで車窓を見るには面白い車両でした。1日わずか2本のバスですが、乗客は本当に数人。やはり旅客需要は少ないようです。
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9時50分に3人くらいの乗客を乗せて枝幸に到着。次の乗り継ぎである浜頓別行はわずか5分後の発車です。バスターミナル周辺をちょっとだけ撮って、すぐにバスが来ます。
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バス5本目(枝幸ターミナル955→宗谷バス・浜頓別線→1040浜頓別ターミナル)
慌ただしく乗り込んだバスは白地に赤のストライプの宗谷バス旧塗装。この方が断然宗谷バスらしい塗色です。ここからは同じ宗谷管内ということもあってか、最初から5名ほどの乗客がおり、その後も随所で乗り降りがありました。
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引き続きバスはオホーツク海沿いを快走。1時間もかからず、10時40分に浜頓別に到着しました。
さて、次の稚内方面行はと時刻表を見ると、おっと約3時間後の13時35分発です。ちょうどお昼時ですし、どこかでお昼でも食べようと思いますが、浜頓別バスターミナルに併設されている道の駅北オホーツクはまとんべつにはレストランのようなものがありません。調べてみると歩いて15分ほどのクッチャロ湖畔に浜頓別温泉ウイングという施設があり、そこで日帰り入浴とお昼を食べることができるとのこと。この日の気温は30度を超え、遮るものがない日向の道を汗だくになりながら15分歩いて温泉施設に到着。とろみのある温泉と浜頓別産のソバを使ったざるそばを食し、再びバスターミナルへと戻ってきました。
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バス6本目(浜頓別ターミナル1335→宗谷バス・天北宗谷岬線→1618稚内駅前バスターミナル)
次に乗り込むのは宗谷バスの天北宗谷岬線です。
かつての天北線の廃止代替バスとして運行を開始しましたが、乗客減に悩み、宗谷岬を経由する運行形態となり、さらに昨年、音威子府から浜頓別間が廃止、デマンドバス化されました。現在はこの浜頓別から宗谷岬を経由して稚内までのバスが残っていますが、朝8時台のバスの後は、今回乗車する13時35分発が最終。1日2本だけが運行されている形となります(途中の鬼志別ターミナルから区間便が2本追加)。
浜頓別始発時の乗客は何と私1名でしたが、途中の猿払や鬼志別で何名かが乗り込んできました。ホタテで有名な猿払村。途中の道沿いでは大量に積み上げられたホタテの貝殻を見ることもできました。
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そしてこのバスは宗谷岬を通ります。ここで降りてしまうと後続の稚内行バスがないので降りられないのですが、バスの中から宗谷岬のモニュメントを撮ることができました。
そしてびっくりしたのが宗谷岬バス停から乗り込む観光客の多いこと多いこと。それまで5名くらいしか乗客がいなかったのに外国人観光客含めて50名近く乗車したでしょうか。当然、座席はすべて埋まり、立ち客も出る始末。こんな調子なら、稚内-宗谷岬の区間便の増発も検討した方がいいような気がします。
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すし詰めのバスはそこから1時間ほど走って16時過ぎに、ついに最北の街・稚内に到着しました。
稚内に来るのは人生2度目です。駅前の「日本最北端の線路」は某鉄道系YouTuberがよくロケをしているところですね。
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さて、稚内に夕方に到着しましたので、ここで宿泊してもよいのですが、どうにも稚内駅周辺のホテルはサフィールホテルにしろ、ドーミーインにしろ値段が高め。翌日の旅程上も、稚内を早朝に出ないといけないこともあり、今日の宿泊地は稚内から少し離れた幌延にしています。
ここまでずっと路線バスを乗り継いで紋別から稚内まで来たのですが、あいにく、稚内から幌延まではバスがありません(正確には豊富までバスがありません)。そのため、ここからは宗谷本線で幌延へ向かうことにします。
鉄道3本目(稚内1744→特急宗谷→1839幌延)
乗車するのは特急宗谷号札幌行。JR北海道が開発した観光用車両「はまなす」編成が充当されていました。幌延まではおよそ1時間。途中、南稚内-抜海間は、天気がよければ海の向こうに利尻岳を望めるのですが、あいにく今日は雲が多く、霞みがちで、夕陽こそきれいでしたが見えませんでした。
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この日の宿泊は駅前にある「民宿旅館サロベツ」です。朝食付を予約しましたので、明日朝のバスまでゆっくり過ごすことにします。
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3日目:日本海沿いを南下、そして日高まで激走
3日目の朝、今日も空は白っぽいですが、日差しはあります。
民宿旅館サロベツは、普段は工事関係者の人たちがよく泊まるお宿のようで朝食は6時からとかなり早くから食べられます。1階の食堂へ行くと、いかにもといった和朝食が並べられていました。ごはんにお味噌汁、サケの切り身、生卵、お野菜などなど。ボリューム満点ですが、なんだか健康になったかのような錯覚すら感じる美味しい朝ごはんでございました。
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バス7本目(幌延駅705→沿岸バス・12幌延留萌線→904沿岸バス本社ターミナル)
この日、最初のバスは日本海沿いを走る沿岸バスです。沿岸バスはこのバス停の図柄でもわかるように、二次元キャラクターで推しているユニークなバス会社で、「萌えっ子フリーきっぷ」なる乗り放題の乗車券も販売しています。
本当はこの後の7時50分発のバスで行こうと思ったのですが、朝ごはんも早めにいただいて時間もありましたので、そのひとつ前のバスに乗り、途中にある沿岸バスの本社所在地である羽幌で降りてみることにしました。
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この日はかなり空は白っぽかったのですが、それでも海は青々としていました。北海道の日本海沿岸を走る国道232号線は通称「オロロンライン」と呼ばれ、その絶景がウリとなっていますが、道中、道路から少し離れたところに築堤らしき構築物が見え、川を渡るところでは立派なコンクリート橋も見えます。これはどうやら、1987年まで走っていた国鉄羽幌線の遺構のようでして、37年も前に廃止された鉄道路線がまだこうして残っていることに驚きました。
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日本海の青い海や、羽幌線の遺構を楽しみながら、バスは2時間ほど走って羽幌町の中心街にある沿岸バス本社ターミナルに到着しました。来てみてビックリ。これだけ「萌え」を前面に押し出している会社なのに、壮絶なまでの古い建物が出迎えてくれました。これはこれで個人的には「萌え」ます。
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次の留萌行は45分後。トイレに行ったり、飲み物を調達したりした後、バスターミナルの周辺を少し歩いてみます。ここ羽幌は、かつて炭鉱で栄えた街で、閉山によって人口は急減しているものの、それでもこのエリアでは比較的人口が多く、商店街のような建物も多く賑わっています。
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お散歩から戻ってくると札幌行の高速バス・特急はぼろ号が本社ターミナルに入線していました。古めかしいターミナルの建物と、新しめの高速バス車両がちょっとミスマッチですね。
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バス8本目(沿岸バス本社ターミナル949→沿岸バス・32豊富幌延線→1114留萌駅前)
やがてその高速バスの横に、幌延を7時50分に出た留萌行のバスがやって来ました。私はこちらに乗り込みます。乗り込んだのは数人。札幌行の高速バスは20名近くの乗客が乗り込んでいましたので、やはり札幌へと向かう需要は大きいようです。
バスは引き続きオロロンラインをゆったりと走ります。日本海は穏やかな表情ですが、冬場は凄いのでしょうね。1時間半ほど走って留萌駅前に到着しました。
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この留萌駅には、2023年4月1日まで留萌本線が走ってきていました。廃止から1年以上が経ちますが、重厚な留萌駅舎はまだ健在です。
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さて、11時を過ぎましたので、そろそろお昼時。留萌駅前には美味しいラーメン屋さん「海栄」さんがあるので楽しみにしていたのですが、何と、今日は水曜日。定休日! おー、残念。
そういえば、以前、テレビ番組「鉄道ひとり旅」でダーリンハニー吉川さんが留萌駅前にある駅前自由市場で海鮮丼をゲットしていたことを思い出し、行ってみたところ、何と最後の一個を買うことができました。ウニがたんまりと載った海鮮丼。2,000円ですが、その価値を何倍も上回る美味さ。これはたまりません。
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バス9本目(留萌ターミナル1220→北海道中央バス・高速るもい号→1522札幌駅前)
さて、今日は朝から日本海沿いを南下してきましたが、ここからは少し海沿いから離れて、一気に札幌を目指します。本当は、留萌から増毛、雄冬、浜益、厚田と日本海沿いを抜けていく特急ましけ号というバスがあるのですが月水金日の留萌7時15分発の1本しか走っておらず、今回の旅では利用できません。そのため、仕方なく、高速バスで札幌へと向かい、そこから一気に太平洋岸の日高地方を目指すことにしたのです。
留萌駅からほど近いところにある中央バス留萌ターミナルから、高速るもい号に乗り込みます。留萌から乗ったのは10名ほどでしたが、途中の滝川あたりから多くの乗客が乗ってきて、ほぼ満席で札幌に向かいました。途中では留萌本線の遺構が随所にあり、見たところ、一部の踏切等を除いて線路もまだ剝がされていないようでした。
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15時半前に札幌に到着。札幌駅前のバスターミナルがあったエスタは建替工事のため閉鎖されているので、現在、バスは札幌駅前のあちこちに分かれています。降車専用のバス停は札幌駅から1ブロック離れたところにありました。そこから少し歩いて札幌駅とJRタワーを望みますが、札幌滞在はわずか1時間ほどです。最近の私の北海道旅行では、札幌は単なる乗換拠点みたいな扱いになっちゃっていますね。
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バス10本目(札幌駅前1650→道南バス・高速ペガサス号→2032日高振興局前)
さて、ここからは浦河行の道南バス・高速ペガサス号に乗車します。これに乗ると、この日のうちに太平洋岸の浦河まで行けるのです。恐るべし、北海道の都市間バス。
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バスは夕方のラッシュで込み合う札幌市内の道路を抜けて、大谷地から高速道路へ。ウトウトしている間に、バスはいつの間にか千歳を抜けて日高道に入り、やがて鵡川ICで降りて、そこからは国道235号、通称「優駿浪漫街道」をひた走ります。曇りがちで、だんだんと薄暗くなってきてはいるのですが、太平洋を望みながら快走。
このエリアには日高本線が走っていましたが、2015年に高波被害で厚賀-大狩部間の路盤が崩壊。紆余曲折を経て、結局復旧されずに2021年3月限りで廃止されました。不通になってから9年近くが経過しますが、路盤が崩壊した区間以外ではまだまだ線路や橋りょうがそのままになっていました。もう列車が来ない、でもまだ線路がある、その情景は何とも寂しいものがあります。
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さて、バスは快調に飛ばします。夜のとばりが落ち始め、車通りも少ないからか、予定到着時刻よりもかなり速いペースでバスは進んでいきました。結果、今日の宿泊先の最寄りのバス停である日高振興局前には定刻よりも30分以上早く、20時過ぎには到着しました。
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本日宿泊するのはホテル浦河イン。30分早着したこともあって、ホテル併設のレストランのラストオーダーに間に合いました。頼んだのはトンカツ定食です。このボリュームで何と1,200円。いやはや素晴らしいです。
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4日目:念願の襟裳岬、そして帰京
翌日、天気は薄曇り。時折り日が差しますが、雲の方が優勢です。それでも気温は高く、北海道では暑い方とのこと。
ホテルの近くに、浦河駅の遺構があるとのことで、ちょっと歩いてみました。線路も駅舎もそのまま。跨線橋は中に入れないように封鎖されてこそいましたが、今にも列車がやって来そうな雰囲気すらあります。
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バス11本目(浦河町役場824→JR北海道バス・日勝線→900様似)
本日初めてのバスに乗車します。ここからはJR北海道バス。様似営業所行のバスに乗り込み、かつての日高本線の終点・様似を目指します。様似まではそれほど離れておらず、30分ほど。ずっと太平洋が広がる車窓をぼんやり眺めつつ進みますが、様似町内に入ると、急にローソク岩や親子岩、そしてエンルム岬など、ごつごつとした岩場が広がるようになりました。
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様似はかつての日高本線の終点。一度、リゾート列車に乗って様似まで列車で来たことがありますが、当時の駅舎が廃止後もそのまま残っていました。車止めも線路もほぼそのまま。次のバスまで1時間ほどあるので、5分少し歩いて海岸へ。エンルム岬を遠望したりして時間をつぶしました。
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バス12本目(様似1010→JR北海道バス・日勝線→1105えりも岬)
1時間ほど待って、ついにえりも岬を経由するバスに乗車します。実はこのバスがえりも岬まで入る今日最初のバス。それまでにも何本か出ているのですが、いずれもえりも岬まで回り込まずに途中をショートカットしてしまうので、このバスを狙って乗ったわけです。
このエリアは日高昆布が名産。海岸部の随所で昆布を干す光景を見ることができました。かつては日高本線の線路端でも昆布を干していて、それを写真に撮った思い出があります。
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さて、様似からは1時間も経たずにえりも岬に到着。次の広尾行は1時間ちょっとありますので、襟裳岬を見に行きます。あいにくの曇り空で、かつ海霧が発生して、岩場はうっすらとしか見えませんでしたが、それでも雄大な光景に息を吞みました。襟裳岬は風速10m以上の風が吹く日が1年の3分の1以上を占めるそうなのですが、今日は風も弱く、曇りがちながら蒸し暑くて、地元の人も「今日は珍しい」と仰っていました。
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さて、次のバスは12時過ぎ。それまで今や、襟裳岬では唯一となったお土産屋さん兼食堂でお昼をいただくことにします。注文したのはえりも岬名物ラーメンの塩。出てきてビックリ。何とカニの足がドデンと載っています。大迫力のラーメンを頬張りました。
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バス13本目(えりも岬1218→JR北海道バス・日勝線→1321広尾)
絶景の襟裳岬に、迫力満点のラーメンも食し、12時18分発の広尾行のバスに乗り込みます。ちなみに、えりも岬から広尾方面へのバスはわずか4本。しかも広尾まで直接行けるのはこの12時台のバスが最初。実際、このエリアは人口希薄地帯で、かつ日高振興局と十勝総合振興局の境界部でもあるので、旅客需要はほとんどありません。
そして、このえりもから広尾へと抜ける国道336号線は難工事で知られた区間。その建設費用は黄金を敷き詰められるほどだったと言われ「黄金道路」の愛称がついています。日高山脈が海岸部にまで迫り多くのトンネルや覆道で結んでいきますが、海岸線ギリギリを走る区間も多く、たしかにその難工事ぶりがよくわかるものでした。しかも海霧が深く立ち込め、幻想的というか、秘境感たっぷりな車窓を楽しみました。
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浦河から延々と走ってきたJR北海道バス・日勝線はここ広尾が終点。ここからはかつて国鉄広尾線が帯広までを走っていました。日高本線の様似からえりもを通って、広尾までを結ぶ計画もありましたが実現せず、1987年に日高本線よりも一足早く廃止。その日高本線も鵡川から先が廃止され、いまや日高地方と十勝地方はバスでしか行けない区間となりました。
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バス14本目(広尾1427→十勝バス・広尾線→1646帯広駅バスターミナル)
この広尾バス停、下に隠れた西2条1丁目の表記が見えてしまってますね。古いバス停を持ってきたのでしょうか。
さて、国鉄広尾線の廃止代替バスでもある十勝バス・広尾線に乗車します。ここからは太平洋岸を離れ、十勝平野を北上します。2日目からずっとオホーツク海、日本海、太平洋と望んできましたが、ここからは内陸へ。十勝平野らしい丘陵上の畑が広がる中、バスは更別農業高校前や中札内のあたりから多くの高校生や用務客が乗り込んで、帯広に近づく頃には立ち客も出るくらいの利用率でした。
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バス15本目(アパホテル帯広駅前1725→北海道拓殖バス・エアポートシャトル→1808とかち帯広空港)
さて、今回の旅、最後のバスは帯広空港へのシャトルバスです。帯広駅バスターミナルの道路一つ隔てたところからバスに乗ります。乗客は10人くらいでした。先ほど乗ってきた十勝バス・広尾線と同じようなルートで一度南下し、幸福駅の近くから帯広空港方面へと曲がっていきます。
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帯広空港には18時過ぎに到着。19時過ぎの飛行機に悠々と間に合いました。帯広空港のレストランで十勝名物の豚丼をいただいて、帰路につきました。
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むすびに
こうして、3泊4日、バスと鉄道を乗り継いで、公共交通機関だけでオホーツク海、日本海、太平洋沿いを巡る旅を終えました。道中、利用客がほとんどいない路線もあり、本数が少ない区間もあり、数年後に同じようなルート取りで辿れるかは正直わかりません。
しかし、鉄道が走っていないエリアは個人的に縁遠かった北海道で、かつての国鉄路線廃止代替バスも使いながら、こうして海沿いをゆったり巡ることができたのは大変貴重な経験となりました。この3泊4日という行程を何度も計画するのは厳しいかも知れませんが、今後も公共交通機関を使った旅を続けていきたいと思います。
(掲載写真はすべて筆者撮影。Google Pixel 7aで撮影)