010 幸せのありか_少欲知足
2021.12.27発行
幸せのありか、形
年末になると、色々な場面で今年1年を振り返る機会が多くあります。
年始にはあれこれ考えて将来を見越した目標を打ち立てても、いざ振り返ってみると、月日と共に目の前の仕事や雑務にいつも時間が追われている感覚があり、充実感や幸福感が得られず、年始に立てた目標を半分も達成できていない!という方も多いかもしれません。
ですが、年始に立てた目標を「半分は達成できた!」と表現することも出来ます。
明日があること、新しい年を迎えること、家族と共に過ごせることなど、当たり前が当たり前ではない、と気づかされるときに、感謝の思いが湧いてくるものですね。
幸せの形には、自分が欲しいものを手に入れたり、自分がしたいことを1つずつ叶えていったりする「自ら掴んでいく」幸せと、今ある物を受け止め、それに満たされていく、というような「今に満足する」幸せがあります。
〈少欲知足〉=欲を無くすこと?
身の回りのモノを限りなく減らし「最小限のモノ」だけで暮らす、ミニマリストと呼ばれるライフスタイルが若い世代を中心に、共感を呼んでいますね。
このミニマリストという価値観を説明する際に、〈少欲知足〉という言葉がよく使われます。
みなさんは、この言葉を聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?
「欲を少なくして、現状に満足する」「モノの所有を最小限にして、今あるモノを大切にする」
というような感じでしょうか。これも先ほどお話した幸せの形の1つではあります。
ですが、欲というものを全く無くしてしまったら、社会は機能しません。
そして、「人の為に行動したい!」という大切な欲、エネルギーも否定する事になってしまいます。
一口に欲と言っても色々な種類があり、自己中心的な欲も利他的な欲も全て〈欲〉と表現されますが、
実は〈少欲知足〉という言葉には補足が必要です。
「欲を滅す」という言葉の「欲」とは、「悪い欲、自己中心的な渇望」であり、
「滅す」と使われる「滅」の原語は「制御する」「コントロールする」といった意味があります。
つまり〈少欲知足〉を正しく解釈すれば
「悪い欲を限りなく制御し、利他的な良い方向に向ける事で、心が満たされる事を知る」となります。
全ての欲を無くすのではなく、そのエネルギーを人の為や社会の幸せの方向へコントロールしていくと、結果的には自分も満たされた気持ちになりますよ、というのが〈少欲知足〉なのです。
3 Good Things(スリーグッドシングス)
しっかり〈少欲知足〉するには、自分を客観視する習慣がとても大切です。
そこで、とても簡単!すぐできる「スゴい方法」をご紹介します。
「人々がどうしたらもっと幸せになれるか」を研究する「ポジティブ心理学」の創始者の一人として知られる、ペンシルバニア大学のセリグマン教授らが提唱した「3 Good Things(スリーグッドシングス)」がその方法で、「毎晩寝る前に良いことを3つ書くことを1週間継続するだけで、その後、半年間にわたって、幸福度が向上し、うつの症状が減った、という結果が出た」というものです。
「毎晩寝る前にその日にあった良かったことを3つ書く」
それだけで幸福度が上がるなら、やらない手はありません。
良かったことを3つも書くなんて難しいと思うかもしれませんが、書く内容は本当に些細なことで良いのです。例えば、「良い天気だった」「仕事で良いアイデアが出た」「初めて食べたお菓子が美味しかった」などなど。出来れば3つ目の例のように、自分にとっての新しい経験を書くとより効果的です。
スリーグッドシングスの効果は研究で証明されていますが、なぜ幸福度が上がるのでしょう?
1.日常の中の良かったことに気付けるようになる
ポジティブなことを探す脳の回路が出来上がり、日常の中の良かったことに気付けるようになります。
2.ネガティブなことに注目できなくなる
人は、ポジティブなことに注目するのと同時にネガティブなことに注目できないからです。
また、冒頭の「半分しか出来なかった」のネガティブ思考を「半分も出来た!」のポジティブ思考に変換するクセが付きます。
3.行動力が上がる
新しい行動をしたときに良い体験ができる!という経験を繰り返すと、行動することに前向きになり、少しずつ行動力が上がります。
このスリーグッドシングスにはスマホのアプリがあるのですが、出来れば「書く」ことをしてください。文字に起こすことで、脳内の整理がつきやすいからです。
・幸福度を上げたい
・ネガティブ思考を克服したい
・行動力を上げたい方は、ぜひ実践してみてください。
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