なんでもないことを幸せと呼ぼう。
深夜、枕元で着信音が響く。
誰だかは大体予想がつく。
予感は的中。すぐ電話にでて、誘い文句の前に「飲みでしょ?行くっ!」と応えてうきうきしながら軽く身支度を整える。
エントランスを出て、大好きな人たちが覗く車に乗る。いつも通りの音楽に揺られながらたわいもない話をして、いつものコンビニに車を停める。
お決まりの6本セットのビールと、
あとはそれぞれ好きなものをカゴに。
コンビニにいる時間さえ楽しい。
友人宅に着き、ぐだぐだしながらベランダで煙草を一服。夜風が気持ちいい。
それぞれスマホをいじったり、目が合ったらクスッと笑ったりなんかして。葉っぱの擦れる音がくすぐったい。雲の奥に見える月光だっていつもよりきれいに感じる。
あえて冷凍庫に入れておいたキンキンに冷えたビールで乾杯。
中学時代のださすぎた髪型を笑ったり、
喧嘩したときの本音を語ったり。
数え切れないほどの時間を一緒過ごしてるのに、話題は延々に尽きない。
テーブルに適当に置かれたビール。
乱雑に開けられたカシューナッツの袋。
散らばった割り箸に、
似たような透明のケースを付けたiPhone。
どれが誰のかわからなくなって喧嘩するのも定番。どうでもいいことで笑い合うのってなんでこんなに楽しいんだろう。
中学のときは成人してこうしてお酒を飲むのが待ち遠しかったけど、気が付いたらこれが日常になって、今も変わらず同じ顔が揃う。
お酒が回ってたのしくなって、中学生に戻ったみたいにくっついて馬鹿をしたり、時にはだらしない姿を見せ合ってさ。
お昼頃に起きて、ぐちゃぐちゃの姿で食べる遅い朝ごはんはいつもより身体に染みる。
お洒落なお店で飲む高いお酒もいいけれど、
やっぱりあなたたちとここで飲む発泡酒がいちばんおいしい。
なんでもないことが、いちばんの幸せ。