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生命体と量子力学

生命体の不可思議を量子力学で説明する。
(タイトル画は、生命のダイナミズムを表現した動画のひとコマ)
 
 福岡伸一先生(分子生物学)が現在、生物学の知見のみでは説明が難しいことが、量子力学の知見を応用すれば説明がつくのではないかとおっしゃっています。(シンクロニシティ――ポール・ハルパーン著、に対する頭脳明晰な洞察推薦文で)
 
 推薦文の概要
 私たちの身体はたった一個の受精卵が2、4、8、16、32と分裂してできた、およそ37兆個もの細胞の集合体である。細胞が分裂する際DNAは半保存的複製と言うしくみで倍加する。
 
 DNAの二重らせん構造のうち、一本はもとの細胞由来の鎖であり、他の一本はその写し鏡として新たに合成されたものである。つまり、これはもともとワンペアのスピンが、二つに分配されたものに等しい。もし分裂して二つの細胞に分配されたDNAのペアの電子の状態に量子論的なもつれ(下記参照)が保存されているとしたら、二つに分かれた細胞はたとえ離ればなれになったとしても、なんらかの遠隔作用によって関係性――ある種のシンクロニシティ(下記参照)――を保ち得るかもしれない。
 
 身体のうち最も複雑な細胞のネットワークは、ニューロン(神経細胞)の編み目によって構成される脳である。一義的にはニューロン同士はシナプスと言う連結構造によって互いに物理的に接続されていて、この接続された回路に電気信号が流れることによって、脳の活動が生じるとされる。しかし脳全体を見てみると、脳は脳波という同調運動を常に行っており、離れた部位にあるニューロンも同調して活動することで、複雑な神経活動や身体活動が実現されている。脳内には遠隔的な ”シンクロニシティ” が常に生じていると言うことだ。
 (これは以前の福岡先生自著本の中で少し触れていらっしゃったことですが、人間の脳もそれぞれ自立的に動いている他の臓器も他の部分も不思議とシンクロ(同期)している。これはどう言うことかまだ説明がつかない。また別のところでは、時間の概念は無いものとして良い、旨の話がありました。)
 
 また、ムクドリは数千羽、数万羽という群れを作って大空を群舞する。その動きは自由自在に離合集散を繰り返しつつ、一糸乱れぬフォーメイションで、ある秩序を保ちながら急旋回、方向転換、降下上昇の舞を行う。それはまるで群れ全体として一つの集合的な意識をもった生命体のような動きである。これはひょっとすると、量子コンパスのようなしくみを使った、”量子論的なシンクロニシティ” かも知れない。
 
 最後に、生物学から離れる話ですが、桁数の多い数が素数かどうかを判定するには、従来の計算機では膨大な計算時間を要するが量子コンピューターを使えば、大幅に計算時間を短縮できる。そうなれば容易には解けなかった素数の積による暗号なども解読されてしまう事になり、暗号資産やブロックチェーンといった情報セキュリティも脅かされる事になる。
 推薦文の概要は以上です。
 そして”いまだに少年”としてはただただ感銘しただけで、なにか追加する能力はありません。
     終わり
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シンクロニシティ (ウィキペディア)
ユングが提唱した概念で「意味のある偶然の一致」を指し、日本語では主に「共時性」と訳され、他にも「同時性」もしくは「同時発生」と訳される場合もある。例えば、虫の知らせのようなもので因果関係がない2つの事象が、類似性と近接性を持つこと。ユングはこれを「非因果的連関の原理」と呼んだ。
 
量子もつれ(日本大百科全書)
量子多体系において、2個以上の量子が古典力学では説明できない相関をもつこと、また、それにかかわる現象をいう。
 
アインシュタイン‐ポドルスキー‐ローゼンのEPRパラドックスで提起された以下の問題から考察された。
一つの粒子が反対方向のスピンをもつ二つの粒子Aと粒子Bに分裂した場合を考え、それらが十分離れたところで片側の粒子Aのスピンの向きを測定すると、測定していないほうの粒子Bのスピンの状態が粒子Aのスピンの状態の測定と同時に判明する。
 
そしてこのことは情報が瞬時に(超光速で)伝達されることを意味し、特殊相対性理論に反する、というものである。しかし、上述の実験を精密に行った結果、超光速で情報を伝達しているわけではないが、量子力学の予測どおりの結果になり、複数の量子が関係する系では古典力学では説明できない相関、つまり量子もつれがあることが判明した。

上は、動的平衡のアニメーションです。枠内クリックで開きます


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