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組織のなかで幸福に働くためのヒント

国際幸福デー(International day of Happiness)」をご存知でしょうか。2012年に国連総会で決議された記念日で、世界中の人々の幸福を願い、幸せについて考える日です。
デロイト トーマツ グループでは「国際幸福デー」に連動した形で「国際幸福Week」を設けているそうです。国際幸福Weekの一環として企画された社内向けの対談イベントに、Box Japan の安達がゲストとして登壇することとなり、私も聴講者として参加させていただきました。
対談のお相手はデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社でDigital Governance シニアヴァイスプレジデントを務める出口 朋子さん。そして、対談のテーマは 「等身大の「わたし」が伝えたい、リーダーとして大事にしていること」。人生で多くの時間を占める仕事において、幸せに働くためのヒントとなる言葉をたくさん教えていただいたので、noteのコンテンツとして紹介したいと思います。

(執筆:note編集部 Misato)



(敬称略)

― ロールモデルの存在について


安達
若い頃はロールモデルを考えた時もありましたが、実は、今はあまり信じていません。たとえばロールモデルが10歳年上の人だとすると、その人が今の自分と同じ年だった時って、10年時代が違ったわけですよね。10年前の振る舞いをなぞらえていたら、時代遅れになる気がするんです。
今の時代を生きている僕が何をモデルにするか・・・価値観も背景も、いろいろなことが違う中で、特定の人を追わないようにしています。
その代わりに、いろんな人のいい言葉や振る舞いなどをつまみ食いして取り入れます。その方が僕には向いています。
 
出口
これまで反面教師みたいな方も、参考にしたいなと思う方もたくさん出会ってきて、それも自分の上(上司ですね)だけではなく横も下も含めて全部、いいなと思った人を取り入れてきました。ロールモデルは私の中ではバーチャルな存在と言いますか、常にアップデートされていく架空の人物がイメージに近いかなと思います。
最近「不適切にも程がある」というドラマが流行っていますが、昔の人が今の時代に来たらとんでもないことになることもあるので、そういう意味でも常にアップデートが必要かなと思います。

― 成長のためのアンラーニング


安達
自分より10歳年上の方から学ぶことももちろんありますが、時代の中心にいる若い人たちからどうやって何を学べるんだろうと考えることも僕は多いです。きれいごとではなく、真剣に。なぜならば、あと5年後、10年後、時代の中心にいるのは絶対に彼ら彼女らですから。彼らから学んで、仲良くした方が自分にとっても得だと思っているんです。
人間、なかなか過去の経験によらない物事の考え方って難しいと思うんですよ。僕もそれを100%取っ払うことはできていないですが、できていない自分を認識して、できるだけアンラーンに意識を向けることが重要ではないかと考えています。


出口
日本の社会では年齢や上下関係などが強く意識されている部分はあると思いますが、そういったプロフィール的なものを意識せずに話すこと、“出会うすべての人から何かを学ぶ”という姿勢で人と向き合うようにしています。この人は年下だから多分経験が不足しているだろうといったバイアスをかけずに、いつも接するようにしています。


安達
違和感を感じた時に相手がおかしいと思ってしまうと、自分の幅を広げる余地が止まってしまうので、 まずは自分の伸びしろかもしれないと捉えて、なぜ相手がそういうこと言い出すんだろうということを一旦知るというスタンスでいると、新しい発見が見えてきて、自分の成長にもなるし、相手を理解することにもなるかなと思います。全ての人から学べるっていう考え方にはとても共感します。

― リーダーとして大事にしていること


出口
「利他主義」
リーダーは自分の利益を最初に追求、たとえば売り上げのためとか、自分の昇進のためとか、評価のためみたいなメリットを突き出してしまうと、リーダーとして破綻すると思っていて。「クライアントの課題はなんだろう」「チームメンバーが今困っていることはなんだろう」など、他者が今何に困っていて、どういったことを問題視しているのか、それを解決することが最終的には自分のメリットを満たすことになると信じているので、そこから利他主義ということをリーダーとしてすごく意識しています。


安達
「共感」
共感には2つの方向があると思っています。自分が相手に共感できるかと、相手に共感してもらえるかですね。チームとして仕事をするときに、この共感度合いが低いとやらされ仕事になってしまいます
今やろうとしていることが社会的に意味があるかとか、成長のために必要だとか、何かしらの形で共感さえ得られてしまえば、あとはみんな自分ごととして取り組めると思います。 チームをサポートするためにも、自分自身が共感することをすごく大切にしています。
 

― 人間と人間のコミュニケーション


安達
「ザッソウ」という書籍を読んだことがあります。その本には、雑談と相談のどちらも重要ということが書かれています。つまり、雑談ができる関係性があって、その上に相談を乗せるから相談のハードルが低いと。僕はこの考えにすごく共感しています。なので、相談しやすい環境を作るのは、マネージャーとして大事だと思っています。

出口
雑談って、何かトピックを見つけて、今日はこれを聞くぞ!みたいな感じで臨むものではなくて、「 今日何したの」とか「週末どこに行ったの」とか、相手に興味をもって会話をするように心がけています。あまりにもフレンドリーに踏み込みすぎるのは良くないですが、その人がどこまで話したいか、距離感を見極めます。その時のバロメーターは、まず私が開示するところから始めます。自分の話したことに相手が興味をもったら、じゃあその話題について話そうと、そういう感じで会話を進めます。

安達
やっぱり自己開示は大事ですよね。相手が自己開示をすると、話しやすくなりますもんね。

― 社員の幸福・成長と会社の成長の関係性



安達
社員の幸福と会社の成長は両立したいと思っています。会社組織は、単なる集団ではなくチームだと思うんです。私の中で集団とチームの違いは、集団はただ単にそこに集まっているだけなのに対し、共通の目的に対して取り組むのがチームだと思っています。会社組織がチームである以上、共通の目的が必要で“売り上げ”はその1つというわけです。
高い成果を上げることは、 自分たちの幸せを得るためにもこだわり続けたいですね。一方で、ギスギスした環境の中で仕事をして、幸福感を得られるとは僕は思っていません。1人でできることが限られる中で、みんなで楽しく、共通の目的に対していいコミュニケーション、いいチームワークで仕事ができれば、売り上げ達成に近づいていくのではないかなと思います。

出口
私も理想としては社員の幸福と会社の成長の2つはトレードオフの関係にあってはならないと思っていて、どちらかを優先したらもう一方が阻害されてしまうことがないようにする必要があると思います。利他主義にも関わるかもしれませんが、みんなが気持ちよくパフォーマンスできるような環境を作ることが、おのずと売り上げにもつながっていくと信じています。クライアントに必要な課題解決のアプローチやサービスを提供することが、クライアントの幸せ、ひいてはそれが私たちの売り上げにつながってくると思うので。目先の目標として数字はわかりやすく、目標にしやすいですが、その数字を追うことよりも、よりのびのびとパフォーマンスする、もしくはよりクライアントの課題を解決するために何が必要かを目指すことこそが、売り上げとウェルビーングの達成に寄与すると思います。

安達
過去の自分の経験上、成果が上がっていない組織に居続けると、自分の成長が鈍化してしまうことがあります。 ピカピカ光っている組織で仕事をし続けると、自分のキャリアも磨かれていくと思うんです。今いる組織が成果を上げるために自分が頑張るのは、結果的に自分に返ってくるので、そういう部分もちゃんと伝えられたり、共感を得られたりするように対話ができるといいのかな、なんて思いながら、出口さんのお話を聞いていました。


“組織もキャリアも変えていけるのは他でもない私から”というメッセージが存分に散りばめられた対談でした。小さなことからでもまず自分が変えていこう、という気持ちをもって取り組むだけでも、道が開けるかもしれません。“全ての人から学ぶ”ことの大事さを忘れずに、自身や周りの幸福について意識を向けていこうと思いました。
 

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