息子は危険

　息子、10日ぶりの保育園。しかし、保育園で過ごした時間を覚えていたらしい。「大泣きせず、離乳食も全部食べた」と妻から聞いた。ただ、保育士さんに抱っこして貰わないと、「すぐにぐずる」のは変わってないらしい。

　仕事から帰ったら、息子はいつも通りに満面の笑みで「抱っこして!!」とバンザイで迎えてくれた。その可愛らしい姿を見ると、胸の奥から温泉のように温かい感情がコポコポ、コポコポ湧き上がってくる。

　息子が生まれるまで、子供が好きではなかった。子供は、我がままに「構って!!」と自分のこと以外の事情をガン無視して、無制限に他人の時間を奪う。構って貰わないと、理屈なんて関係なく泣いて抗議する。

　僕は、自分の時間が奪われるのが我慢ならない。だから、子供が好きではなかったし、できるだけ距離を置くようにしていた。
　しかし、満面の笑みで「抱っこして!!」とバンザイする息子を見ると、胸の奥から温泉のようにコポコポ、コポコポと湧き上がってくる温かい感情が、問答無用で「その他の感情」を頭の外へ押し流していく。

　更に抱っこしようものなら、温かい感情が湧き出る勢いは、コポポポポポ!!と増し、あっという間に体中を温かい感情でいっぱいにしてしまう。

　それでも、抱っこし続けたら器である体が水風船のようにパシャッ!!と割れて、息子への温かい感情以外は全てどうでもよくなってしまうんじゃないかと思う。

　息子は危険。