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山口県3大詩人
中原中也と種田山頭火を紹介したが、2人とも山口県人である。山口県人には優れた詩人が多いのだろうか。福岡といえば北原白秋くらいしか思いつかない。他県と比べたことはないので、はっきりはわからないが、他にも、まどみちおや、金子みすゞなどがいる。みな故人である。
まどみちおは、童謡等で有名で、娘が小さい頃、まどみちおの詩を写したのを見て、「この子は天才かもしれん」と思ったことがあった。娘が作ったのだと勘違いしてしまったのだ。まどみちおの詩とわかり、ガッカリしたものである。
はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ
さて金子みすゞである。中原中也と種田山頭火と並び、山口県3大詩人の1人である。僕が勝手にそうつけたのである。3人とも個性的な詩人であるし(山頭火の場合は俳人と呼ぶべきか?)時代もほぼ同時期だ。そして3人ともなんだか不幸な人生を歩んでいる。中也とみすゞは若くして死んだ。中也は神経衰弱から結核になって30歳で亡くなったが、みすゞは家庭内の不幸から服毒自殺を図って死んだ。享年26である。そのため未発表作品が多く、死後、評価されることになった。山頭火も50歳の頃、神経衰弱から自殺未遂を起こしたことがある。
金子みすゞは東日本大震災のおりに、TVCMが自主規制を行ったさい、ACジャパンのCMでやたらと「こだまでしょうか」や「みんなちがって、みんないい」が流れていたのを覚えている方も多いだろう。おかげで、その年の新語・流行語大賞のトップ10に「こだまでしょうか」が入賞している。それでかなり金子みすゞはメジャーになった。
心を優しくしてくれる優れた作品が多い。と同時に「大漁」のように光と闇を歌った詩もある。
金子みすゞは長門市仙崎に記念館があり、中原中也は湯田温泉に記念館があり、山頭火は防府にある。それぞれドライブかたがた寄って見られてはいかがでしょうか。
大漁
朝焼小焼だ
大漁だ。
大羽鰮(おおばいわし)の
大漁だ。
浜はまつりの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮(いわし)のとむらい
するだろう。