山登り
子供がまだ幼稚園生の頃、夏休みに小文字山→妙見山→足立山→戸ノ上山ルートで登山を試みた。ちなみに場所は北九州市小倉である。
これらの山は知る人ぞ知る、結構険しい道のりで有名で、エベレスト登山なんかする人が予行演習で登ったりする山である。もっとも後でしったことだが。
小文字山までならそれほどでもない。子供も幼稚園の体操教室で何度も登っている。だからその続きを進んで行こうじゃないかという安易な気持ちで作戦を決行したのであった。
大谷池までバスで行く。家から30分ほどだ。そこからがスタートラインだ。さっきもいったように小文字山までは斜面は急だが、楽に登れた。まあ始めなので体力も十分にあった。
登りついた先は絶景であった。小倉の町が一望できる。まるで空から地上を見下ろしているかのようだ。すばらしい眺めであった。少し歩くと展望所があり、そこで昼食を食べる。
続いて妙見山に向かう。結構なだらかな道である。しばらくすると、妙見山山頂の妙見宮上宮につく。コンクリートでできた神社は、まるでトーチカ(戦争の時に使うコンクリート製の防御建築物)のようであった。お詣りをして足立山に向かう。妙見宮は周知の如く和気清麻呂 を祀っている。
それから先が、急勾配の登ったり降りたりの険しい道であった。ロープや鎖のテスリが張ってあり、それを掴んで進まないと危険な道であった。幼稚園児がよく頑張ったと思う。
やっと平坦な道になったところで、最後まで行くことを諦める。矢印の板標識があり、それを見ると、この場所を下山すれば、街に出られそうだったので、そのルートを行くことにした。それが間違いであった。
道なき道で、下り坂だけなのだが、蜘蛛の巣はいたるところで張ってあり、イノシシが出てきても不思議ではないような道であったのだ。
私は先頭に立って木の枝で蜘蛛の巣を払いながら後ろの妻と子を確認しつつ前に進む。途中崖みたいなところがあって、子供が泣きだしそうになったが、無事渡り終える。子供には大した冒険である。私自身もイノシシが出てくる可能性があるので、用心しながら前に進んだ。
やっと麓に降りてきてみると、何やら気味が悪い(失礼)建物が見えてきた。何かのパワースポットであるかのようにその建物はあった。いくつもの灯籠に火が灯っていた。看板があった。清正公神社とある。果たして加藤清正を祀っている神社であった。
そこを下ると、大翔館高校(以前の大里高校)にいきついた。やっと街に出た。汗びっしょりのボロボロの状態で、高校を通り過ぎ、バス停まで歩いた。バスに乗り無事家についた。
後年、途中で諦めたことに後悔していた自分は、再チャレンジを試みる。今度は逆側、戸ノ上山から攻めていく。
前回と同じメンバーだが、子供は小学生になっていた。いきなり急な斜面を登っていったが、大したことはなかった。心地よい山登りであった。なぜかあっという間に頂上に着いた。ちかくの戸ノ上神社上宮にてお詣りをする。大きな蛇が上宮隣の小屋の屋根にいた。神の使いではないかと思うくらいグッドタイミングな登場であった。
そこから大台ヶ原というところまで進む。ここは周りが木で覆われていなくて、広い野原になっている。おまけに関門海峡と周防灘の両方が見えるのだ。そのためか風がものすごく強かった。そこからまっすぐ足立山にむかって進むと、途中で草履履きのおじさんとすれ違った。どうやら楽にここまで登れるルートがあったようだ。
前回苦戦した道を制覇し、足立山山頂を制覇すると、妙見山はすぐであった。逆ルートのほうがだいぶ楽だった。ここまでくれば、もう満足なので、妙見宮上宮から山を降りていった。
降りた先は妙見宮の裏道であった。ちなみに妙見宮は和気清麻呂の故事に倣い狛犬の代わりにイノシシを置いている。
その妙見宮をお詣りしながら、達成感を感じ、帰路についた。