宝くじは買わない

　仕事を辞めたくて仕方なかった頃、ロトばかり買っていた。カネさえあれば、仕事が辞められる、と思ったからだ。
　RCサクセションのこの歌を聴くと1970年なので、どうやら1等賞金400万円らしい。途中法律等が変わり1等賞金が一気に爆上がりしたが、当時は400万円でもすごい大金だったようだ。もっとも今でも400万円は大金ではあるが、当時の僕が会社を辞めるには到底足りない金額ではあった。
　当時会社は体制が代わり、僕ら古参で使いものにならない者は排除される動きにあった。毎月毎月人事異動があり、古い人が左遷されたり、降格されたりした。そして辞めて行く人も次々と現れた。そして僕の番が来て、降格になった。
　会社を辞めようとしても50歳で再就職なぞそうそうない。ましてや降格されたとはいえ再就職するよりは給料はいい。結局僕は会社に残った。
　結果、バセドウ病になり、うつ病になった。会社を辞めた。宝くじは買わなくなった。傷病手当と就業不能保険と退職金が手に入ったからである。57歳の時であった。
　現在もうつ病で月に1回病院に行っている。
　宝くじは買わない～だって僕は～おカネで買えないものをもらったんだ♬
　・・・それがうつ病とはね。