夜行列車と戯れ
目的地まで随分かかる。長いこと列車に乗っているな。夜空の模様も変わり映えがしないね。
長い夜をやり過ごす手札も尽きて来た頃だ。
次は何の遊びをしよう?
カードを変えて苦しいのにしようか。
痛いのがいい、熱いのがいい、突き刺すのがいい、どれにする?
これに興味があるな。火の着いた先を肌に押し当てるの。見てて。僕が見てるならきっと怖くないから。こんなお遊びも楽しいから。
いいよ。やってごらん。一本貸して、火をつけるから。…ほら、できるかい?
…………熱、痛い。
それはそうだよ。肌を焼いているのと同じようなものだ。もうこれで満足しただろう。
ねぇ、僕もやってよ。
どうして。
同じ感覚を同じだけ感じて生きていたいから。
真っ当なことを言うね。仕方ないな。
僕が手にしたライカに火がついた。
その先は橙色に灯り、僕と同じ場所の肌を焼いた。
おそらく鏡に映ったように生き続ける僕らだ。
まだ列車は目的地に着かない。