自衛官と花粉症:陸海空で異なる悩み
花粉症は日本人の30%が持っていると言われる。
そのアレルゲン(花粉)によって症状が起こる時期に差はあるが、誰しもが鼻水や目の痒みなどの不快な症状に悩まされているだろう。
この花粉症の悩みは自衛官も抱えている。
どれだけ体を鍛えようがアレルギーからは逃れられないんだ。
だけど自衛官も陸海空で花粉症の悩み方は異なっていることがある。
花粉症の症状の悩みすら違う各自衛隊を、それぞれ見ていこう。
『あなたの花粉症は何処から??』
花粉症の一番の被害者。陸上自衛隊
花粉症を一番憎んでいる自衛隊と言えば間違いなく陸上自衛隊だろう。
その患者数が最も多いというのもあるが、陸上自衛隊が主に戦う戦場には花粉が大量に飛んでいるからだ。
花粉には鍛え上げた筋肉も、最新の戦車も通用しない。
この小さな敵は演習場の至るとこに生えた木からドローンのように陸自隊員に襲いかかる。
患者曰く「ガスマスクが欲しくてたまらなくなる」くらい辛いようだ。
持って行ったテッシュはすぐに底をつき、トイレットペーパーで鼻をかむようになり鼻は真っ赤になる。
目は涙が流れ出し、擦った瞼が赤く腫れる。
体中のあらゆる汁が溢れ出すような辛さがある。
ベテラン隊員もこの辛さは全く慣れないと言っており、花粉症の時期の訓練は憂鬱な表情で受診する隊員が多かった。
人によっては催涙ガスより苦しいらしい。
これは花粉症を大袈裟に誇張している訳ではなく、催涙ガスを浴びすぎて慣れた隊員が存在しているだけだ。
一般人は催涙ガスの方が遥かに苦しいぞ(私も経験者だ)
受診した彼らには花粉症の治療薬である抗ヒスタミン薬を処方していた。
これは花粉症の原因であるアレルギー反応を抑える効果があり、飲めば症状がすぐ軽くなるいわば特効薬だ。(ただし切れたら症状が再燃する)
また鼻詰まりが酷い患者には抗ロイコトリエン拮抗薬という飲み薬とステロイドの点鼻薬を処方する。
鼻詰まりが酷いと夜間眠れなくなる患者も多いので、たかが鼻詰まりとバカにはできないんだ。
また目の痒みに対しては飲み薬だけでは効果がない。
そのため抗ヒスタミンの目薬も合わせて処方する。
ただ汚い手で目薬を刺さないように指導が必要だ。特に陸自には。
これらの治療で花粉症はだいぶマシになる。
それでも酷い患者には「舌下免疫療法」と言ってアレルゲンに体を慣らす治療もある。時間はかかるけど。
まとめると陸上自衛隊の花粉症は数も被害も大きいが、医療である程度対処が可能だ。
ただ医療が使えない隊員もいる。
飲める薬が限られている:航空自衛隊(と陸海のパイロット)
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