nurebairo.
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先月の振り返り。
3月最後に使用したのは、「濡羽色」(ぬればいろ)の名のインクでした。
潤いのあるところには、美しい深みが静かにある
ということをこの色に教わりました。
インクの色は筆記といえば、のスタンダードな黒色。
ただし、それは一見すればの話。
ボトルの中のインクとガラスの境目から透けて見えるのは、黒なんだけど一言では言い表せないミステリアスが漂っています。
紙に書くと、濃さを感じる部分は黒色そのままに
書き進めていくと、その生まれる濃淡の向こうに浮かび上がってきたかすかな色の気配。
さらに水筆でインクをぼかすと現れるのは、黒の中に隠れていたかのような
淡さの中に青みを感じる灰色でした。
古くから黒く艶やかな女性の髪を表現する色の名前として用いられてきた、烏(からす)の羽のような艶やかな黒色。
私は時々、黒がその闇の中に青や緑の雰囲気を漂わせることを知っている。というと大げさですが
これは健康な黒髪にツヤを感じる時に起こる光の干渉によるものだそう。潤いの元となる水分と油分が黒の上に他の色を浮かび上がらせるというしくみ。
一見するとわからない、でもしばらくすると確かに感じられる。
満ちたところに光が射すことで立ち現れる秘めた色は、
まるでそのものが持つ魅力を知る過程のよう。
さまざまな一面を持ち合わせる色の魅力を、濡羽色に教わりました。
そんな風に魅力的な人になれたら素敵だなと思わせてくれる、
強さと豊かさを感じるインクでした。
他のお話も、また。
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