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ぼうぼう日誌:第一話 序章『放置庭の道』
序章『放置庭の道』
親戚の叔母が大病のために引っ越してから一年以上は経ったろうか。彼女の家には庭があった。かつて夫と二人で手入れをし草木を植えた庭だが、夫は数年前に亡くなっていた。この叔父は人見知りで潔癖症。しかし、食べ終えたアボカドの種を庭で育てようとするような隠れた茶目っ気も持っていた。叔父の植えた二個のアボガドは芽を出し、今年、十五年目を迎え三メートル程に育っていた。
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叔母は自身の病気のこともありその庭付きの家を引っ越すことになったのだが、夫との思い出のためだろうか、彼女はその家を処分しなかった。時々暇を見つけては通っていた。とはいえ老齢の彼女が月に一度見回るぐらいでは収まりのつかないのが植物だ。彼女は2022年の夏に知人を介して植木屋さんを手配した。草花や木々を剪定してもらい庭をさっぱりとしたかったのだ。薔薇は自由奔放に伸び、他の木を支えにして二階のベランダまでとどかんとしていた。かつて鉢植えだった漆も根から肥大して底を突き破り、人がその下を通れるほどの背丈となっていた。ところが、この庭師のために大変なことになった。かつての庭は姿を消した。その顛末は次回にするが、このノートでは荒廃した庭を復活させるべく取り組んだ日々を日誌形式でお届けしていく予定。