金沢の銘菓柴舟のこと
友人から、金沢の銘菓 柴舟小出を頂きました。
「金沢では有名な生姜のおせんべいだよ。」
の口上とともに手渡された包み。
水に浮かぶ柴舟が描かれた赤い化粧箱のふたをあけると、
楚々とした包みが並んでいました。
そのひとつ開けてみると、中に個包装の小出煎餅が4枚入っていました。
包みの面にはこんな句が詠まれています。
柴舟の 立枝も春や 朝かすみ 希因
そり返った小判型の煎餅は、表面が白く、
割って、ひとかけらをそっと口に含むと、甘くとけていきます。
ぴりっと辛い生姜の風味があとに残ります。
「なんということのないお煎餅だな。」と
初めて食べた時はそう思いました。
それから数日、このお菓子とともにほっと一息。
そんな日が続きました。
この煎餅を手に取るたび、友人のお顔と、手渡しされた時に添えられた言葉を思い返します。
そうこうしているうちに、このピリリとした生姜と甘いお砂糖の味に慣れ親しんできて、この煎餅がいとおしくなってきました。
そして、今では、すっかり この柴舟小出のファンになりました。
添えられた栞には、銘菓柴舟について こんなふうに書かれておりました。
からりと乾いた木の葉色落葉の色艶柴舟は木の葉になぞらえたせんべいに見事な白砂糖の化粧引、口にふくむと強い生姜の味が花のようにひろがって砂糖ととけ合いそして霧散する。反りを打たせたかたちもよく近頃好きな菓子5指のうち掛紙も逸品。
文・汀女
こんな文章で表現できたらすてきですね。
銘菓柴舟は、加賀名物として長年にわたり多くの人に愛されているそうです。
ほどよい反りかげんの小判型に、うっすらと雪をはいたような白砂糖の化粧引き。 生姜の風味がピリッときいた金沢のお菓子です。
辛さや風味を損なわないよう、そのつどしぼった生姜汁を砂糖とていねいにすりあわせた生姜蜜。 生姜が持つ辛みと、その奥にあるまろやかさを引き出した生姜すり蜜を湯煎で約80度に温めながら、いまも刷毛で一枚一枚、熟練した職人が塗り仕上げます。(柴舟小出 商品説明から引用しました)