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16の思いも天にのぼる⑤大輔(5)
それから一年後、大輔は就職活動をしていた。
受けても受けても、落ちる入社試験に嫌気がさしていると、もう一人、自分と同じ顔をしながら進路指導室から出てきた女子がいた。
それは、昔好きでいじめていた子だった。
大輔の心臓は高鳴った。大輔は、まだその子に、恋をしていたのだった。
大輔は、今度はいじめる方法ではなく明るく、その子に言った。
「俺十連敗中。」
すると、その子の表情が少し明るくなった。
「何か、あったら何でも言えよ。ちなみに、俺面接は受けまくってプロだから、何でも聞いて。」
そう言って大輔は、不器用な笑顔を浮かべた。
「お前なら大丈夫。」
そしてにっこりほほ笑みかけた。
「俺、お前のいいところたくさん知っているから、何でも聞けよ。」
大輔は、そう言った後恥ずかしくなって、すぐ背を向けた。
すると背後から、信じられない答えが返ってきた。
「じゃぁ、今日、今日教えて。一緒に御飯でも食べながら。」
「も、もちろん。」
大輔は、平静を装って答えた。
大輔は、後悔しないように自分に素直に生きることに決めた。
そして、今その第一歩を踏み出した。