美しすぎる異種格闘技HiGH&LOWTHE戦国感想レポ(No.3の美学)

BGM:ハイグラ&ナレーター立木文彦で何でもハイローにできると思うなよ!??!?!?と思うけど実際それで冠婚葬祭一切合切何でもかんでもハイローになっちまうんだなこれが。親の顔よりみた琥珀さんのギラついた笑みからのタイトルロゴがどーん!!!歳なのかな開始30分でもう胃もたれしてるけど……。

ザ戦、「注文通りかつ嬉しいサプライズもある舞台」だった


ん……?カウントダウン……?

舞台って、開幕前カウントダウンあるもんだっけ……!?!?皆さんを「アガ」らせずにはいられないのLDHカルチャーすぎて笑うって!!!しかし今日は観劇に来ているのでバウンスしたりプチョヘンザしたりするわけにはいかず、絶対にアガってはいけないLDHライブ24時ここに開幕。

開幕ノンストップでいつものパチンコ大当たりのごとき音&光&劇物並みの視覚情報の濁流に飲み込まれた結果アドレナリンスパイク(≠血糖値スパイク)が発生し静かなドラマパートが来るとど〜にもウトウトしちゃうとこまでしっかりばっちりハイローのそれ。いや、断じてドラマパートがつまらんということではない。自分の軟弱な肉体がハイローの引き起こすアドレナリンスパイクに勝ててないだけなんです、これは……。

ハイローの十八番、唐揚げカレーラーメン的な濃厚なビジュアルが舞台上に見事に再現されていることに度肝を抜かれた。なんなんだよあの金色の人力ドラゴンは!!!「(さまざまな要素が既に大渋滞しているステージに)金色の人力ドラゴン出しましょう!」「おお!」「いいね!」なんてやりとりが企画会議にあったと思うだけで心は強くなれる……。同じ楽曲をクドいくらい何度も使うところもまたハイロー的だった。「おほほwwまたINFERNO来たwwまたNO FEAR NO MORE来たwwwいや〜やっぱドーベルさん最高すな〜〜www」ってこっちも曲が好きなので何回同じ曲が流れても否応なしにテンションがあがってしまう!!!

また、ビジュアル面や音楽面に留まらず、ドラマ面でもハイローらしさが炸裂していた。No.1とNo.2の関係性をはじめとする、男同士の湿度高めの感情のやりとり。カゲモリ様と呪いの舞踊のシーンにあるようなおどろおどろしさや、ゲンブの辛い過去。こういうカラっとしたお祭り騒ぎの派手さとは対照的なじめっとした影のあるドラマもまた、ハイローが我々のハートを鷲掴みにしている理由のひとつよね〜。

てな具合にハイローファンとしてはアガりまくったけども、宝塚ファンの方々は見たいものを見ることができたのだろうか。宝塚素人の自分としては、宝塚に期待する要素を期待通りに味わうことができて楽しかった。女性によって演じられる惚れ惚れするような男性、細部にまで気遣いの行き届いた美しい所作、胸が締め付けられるような切ないラブロマンス。役者の方々が体現する宝塚の美が、場の空気をがらりと変える様は見事だった。タカラジェンヌ、結界とか張れちゃう系の能力者ですか?彼女たちは歩き方ひとつとっても他の登場人物と際立った違いがあり、歌い方や踊り方などどこをとっても彼女たちの生きている世界の文化を感じることができた。

とはいえ、全部が期待通り=予想通りだったらつまらない。盛りだくさんのザ戦はそういうワガママな観客の希望にもお応えしてくれる。舞台上のダンス表現はとても新鮮だったし、タカラジェンヌがお笑いシーンをやるというのは自分にとっては新鮮なことだった。そして、リキマル&ユウスイが宝塚系でありながらも違ったタイプの美男子であることも自分にとっては大きな発見だった。そういう具合に、誰にとっても自分の中にある思い込みをいい意味で覆してくれる瞬間がある舞台だったのではないかと思う。各々、自分が見たいものを見ることができただけでなく、そういう嬉しいサプライズに出会うことができたというところも、この舞台の総合的な満足度の高さと続編制作決定につながっているのではないだろうか。

一方、よーわからん(こら!!!!!)ところもないわけではないがそれもまぁ〜いつもの味わいだよね!「それって漢字でどう書くんだ?どう言う意味?」というキーワードがバンバン飛び出すしストーリー上もっと無駄を省き要約することができた部分ももしかしたらあったのかもしれない……が、この無駄を省きなんでもわかりやすく要約しようとする時代においてすでにド派手な衣装で刀を振り回す奴らで大渋滞しているステージに金色の人力ドラゴンを放つなどという無駄を愛する姿勢(金色の人力ドラゴンは無駄じゃねえ!!!)に「魂」を感じてしまう。むちゃくちゃではあるけど、一本筋は通っているんだ!!魂!!!!!

味をまとめる調味料、いやカレールーだな、ハイローは。ハイローとはカレーみたいなもので、むちゃくちゃに何もかもをハイローにまとめあげる。

そのほか、しみじみと考えたこととしては……。宝塚の人たちが他の男性の役者と共にかっこいい男天下一武道会に参加することによって、男らしさという装いについて考えざるを得なかったし、そりゃハイローシリーズあんだけ男ばっかおったらゲイカップルももうちょいぼちぼちいる可能性あるだろうし、ハイローっていろんな男同士の関係性の形を丹念に描いてきたわけだから今回そこにまた新たな関係性が表現されたんだな〜などと思いつつ……。

この戦乱の世、殴っても殴っても起き上がるムテキ琥珀さんみたいな人はいないし、車両に耐性ある九十九さんみたいな人もいないんだなぁ。やられたらふつーに死ぬ。「生きろてめぇら」っていうセリフを考えると、思うのは、ハヤト・カイ・テットウのHKTの3人のことだ。

命のやりとりがある舞台設定になると、DTCポジションの3人組がものすごくいい人生に見えてくる。3枚目がすごくいい人生に見える。激動の時代に振り回されながらも、いっしょにバカやれる友達がいて、かっこいい見せ場もある。そして最初は敵同士だった別の国の奴ともちゃっかり仲良くなってたりする。No.1やNo.2のキャラクターと比べれば「弱い」「情けない」「馬鹿」「臆病」な三枚目なのかもしれないが、No.1なんてもう見るからにストレスで長生きせんしNo.2は3分の2の確率で死ぬ。だったら、No.3としていい感じに生きてぇな戦国時代。No.3という生き方の魅力を一番強烈に感じた。大変な人生、弱くても情けなくても臆病でもやるときゃやってあとは変なことして笑って生きたいな〜なんて自分の三下魂がチロチロ燃え上がる作品だった。

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