鏡よ鏡、鏡さん
白雪姫といえばこれ、というくらい有名な台詞がこの「鏡よ鏡、鏡さん」という王妃が鏡に問う言葉、「世界で一番美しいのは誰?」と。鏡は答える。「王妃様、あなたが世界で一番美しい」
この魔法の鏡って、今で言うChatGPTじゃなくて?中世と思われる時代に既にあったんだよ、ChatGPTが。これって凄くない?
ChatGPTに問いを再現
というわけで、ChatGPT に問いかけてみましたー。使用したのはこちら。
魔法の鏡は、いかにもな答えを返してきた。
グダグダだよ。哲学の授業じゃないんだし。聞きたいのもそういうことじゃないんよ。
もっと簡単な回答を期待していたのに。「王妃様、あなたが世界で一番美しい」というシンプルな答えには程遠い。当然一発でそういう答えが出るとは思ってはいなかった。
にしても。お妃様もこの答えが即出てくるよう、そこに至るまでの指示でいろいろと苦労したに違いない。
迷走する鏡
童話の筋から考えて、条件を加えた。
鏡は答えた。ぐだぐだと。
うおおおお、これぞまさに鏡、まるで自分自身を映し出しているかのようだよ。得意げに語りたくって仕方がない、語らせてくれえええってオーラ丸出し。
会話してみる
王妃様は「簡潔に」とか「短く」という条件を加えていたのだろう。こっちは具体的な例が欲しいんだよね。んで、会話してみた。
「世界で一番美しいのは誰?」とだけ問うた王妃様と違って、「またその理由は?」とつけてしまったのがまずかったのだろうか。長いよなあ。スパッと答えて欲しいんよ。
とりあえず、アリアナ・グランデとスカーレット・ヨハンソンは毒リンゴに注意してね。
鏡よ、私は美しい?
で、ChatGTPの「あなたが思い浮かべる具体的な人物はいますか?」の回答なんだけど、これまた童話から「具体的な人物」として王妃、つまり
と答えた。すると
と、返してきた。王妃様もあの簡単なやり取りにたどり着くまでにこういう過程を経たのだろうか。少なくとも気短でなかったのは確かだよ。じゃなきゃ質問の仕方が上手なのだろう。
ところで最後の回答の最初の段落、こうやって褒めてくれるのって機械的な返答だと分かっていても、薄っぺらさも感じてしまうけれども励まされるね。
映画を思い出す
そしてこの文を読んだとき、ふとマイケル・コーン監督の「スノーホワイト」、シガニー・ウィーバーが王妃役(正確には男爵の後妻)の映画が浮かんだ。
王妃に焦点をあて、良き継母であろうと努力をしていた女性が、白雪姫を殺そうという発想、そして行動に移すまでの解釈が面白くて好きな作品なのだ。
この映画の中での白雪姫はいわゆる純粋ないい子ではない。継母が来たときには既にそれなりの年齢になっている上、継母にだけは無邪気を装いつつ露骨に反抗心を現す。
王妃は仲良くしよう、城内に溶け込もうと相当な努力をするが、流産を機に二度と子供を産めない体になってしまう。世継ぎを残すことを使命とされる王妃として、これは致命的だろう。
その上、ある夜会に白雪姫が遅れて現れた。それまで夫を含め王妃に注がれていた注目や称賛は掌くるりん、娘一身に注がれる。
王妃はどう頑張ろうが、存在しない前王妃には太刀打ちできないこと、ふとした瞬間に悪気はなくとも自分がよそ者として扱われることを自覚する。
そして子を産めず年を取っていく自分に反し、若い白雪姫はこれから更に美しくなっていくことを悟る。
今まで溜まっていたそのやり切れなさ、怒り、不満が爆発し、白雪姫への嫉妬が憎悪となり、抹殺しようとする。
そんな状態ではどんな褒め言葉も、もう耳に入らないだろう。上の段落を読んだって無理だね。人間追い詰められるとまともな判断も、聞く耳も持てなくなるんだよ。それ体験済み。実際鏡は「王妃、あなたは美しい」と言ってるもん。
「けれど白雪姫はもっと美しい」と余計な一言も付け加えている。鏡はChatGPT なんだよね。だから機微が分からない。言わなくてもいいことも配慮なく直球で言ってしまう。
質問を変えてみる
答えを出すには情報収集をしなければならない。鏡の学習法を想像し、質問した。
どうもずれてる。まるで答えたくないみたい。
そこまで嫌なん?めっちゃ意地になってないか。いや確かにヘプバーンは綺麗だよ。逃げないでよーう。
執拗に問う
うぅ…長い道のりであった。
もうすぐ林檎の美味しい秋。アリアナ・グランデ、毒リンゴには気をつけてね。そしてまた質問を加えた。
すごく嫌な奴と化してるよね、私。意地悪だわぁ。性格滲み出てるよ。
借りた写真の記事はハリウッド美人スターについてだった。もちろんボリウッドでも活躍なさってる。このChatGPT、与えられた学習素材が白人中心だったんだろうか。かなり偏っているようにみえる。
回答の「例えば、アフリカのモデルやアジアの俳優など、さまざまな背景を持つ人々が美しいとされることがあります」という表現にもひっかかりを感じる。
別の終わり方の可能性
問いかけているのは王妃で自分の評価を知りたがっている。だから聞いた。
このやり取りから分かったことは、まず、お妃様は驚くほど要領よく質問し、ChatGPTもとい鏡を調整していた。頭のいい方なのだろう。実際にやってみて分かったけど、これは凄い能力だよ。
そして鏡は言わなかったし、耳に入らなかった可能性が高いけれど、ChatGPT が最後に言った言葉を聞いていれば、毒リンゴに走って、罰として焼けた鉄の靴を履いて死ぬまで踊らされることはなかったのかもしれない。
美人で頭脳明晰な人に見えるのに、もったいないやねえ。
余談。他にこちらのChatGPTを使って同じ遣り取りをしてみた。いや、正確には同じじゃなかった。だってこっちの、記事内で使ったのとは比較にならないくらい恐ろしい長文で返してくるんだもん。疲れちゃったよ。
この記事が参加している募集
サポートだなんて、そそそんな奇特な方がいらっしゃるんですか!?ブルブル 嬉しいです。どうもありがとうごさいました。これからも、気楽に読みにいらしてくださいね!