ネガティブな感情と闘いながらの起業準備!!遂にMVP完成間近!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学18か月目
本記事「TOEIC250点日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記」では、アントレプレナーシップ(起業家教育)の分野で世界No.1のバブソン大学にて、MBA生としてのキャリアをスタートさせた及川さんに密着し、バブソン大学でどのようなことに挑戦するのかや、そのプロセスで直面する課題・困難にどう立ち向かうのか、そこから得た学び等を追っています。
今回のインタビューは、本シリーズの第13弾となっております。バックナンバーはこちらをご覧ください!
第1弾:TOEIC250点!? 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学1か月目
第2弾:「英語上手」ではなく「コミュニケーション上手」を目指せ! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学2か月目
第3弾:大ピンチ!学費が600万円も足りない⁉でもリスクがあるから面白い! 日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学3か月目第4弾:想定内の人生なんてもったいない!環境を変える秘訣は「アウトプット」にある! 留学4か月目
第5弾:髪の伸びとビジネスの伸びは比例する?!1学期乗り越えた日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学5か月目
第6弾:波乱のコンサルティングプロジェクトと自らの起業に邁進!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学6か月目
第7弾:ビジネスパートナーとの起業挑戦の軌跡に迫る!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学7か月目
第8弾: 誘惑のない(?)ボストンで究める険しき起業の道!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学8か月目
第9弾: 1年目修了総集編!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学11か月目
第10弾: 一時帰国で過ごした鍛錬の夏休み!2年目へ突入した日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学13か月目
第11弾:「不安はない」臨戦態勢を整え臨むラストイヤー!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学14か月目
第12弾:新たなチーム、マーケット、ビジネスアイデア…起業準備に進展あり?!日本人MBA生のアメリカ留学奮闘記 留学15か月目
シリーズ第13弾の今回は、卒業を目前に控えた及川さんから、現在の状況やビジネスの進捗、それから現在の心境について伺っていきます!
まず、及川さんの現在の学校の状況を教えてください。
及川:
今期は4ヶ月で、前半と後半で2か月ごとに分かれています。今ちょうどセメスターの前半にあたる2か月間が終わったところで、来週から後半が始まるところです。
今季のセメスターはどのような授業を選択しているのですか?
及川:
営業のバックグラウンドとは一切関係がない科目を選択しています。一つは、「マシンラーニング&ビジネスメソッド」という授業です。これは、”R”と呼ばれるプログラミング言語を使い、会社のマネジメントで得られたデータを解析し、そこから得られた示唆をビジネスにどう活用していくかということを学んでいます。もう一つは、「エコノミックファイナンスフォーカスティング」という授業を選択しています。これもデータ解析の授業なんですが、マシンラーニングとは違うソフトウェアの”Eview12”と呼ばれるものを使い、データの分析だけでなく、ビジュアライゼーションもこのソフトウェア上でやっています。これらの科目は、卒業後に与えられる1年間のOPTに対して、プラス2年間の延長ができるSTEMを申請する上で必要な科目なので、選択しています。
ですが、今までやっていなかった分野ということもあって、中間テストが散々な結果だったので、後半はもっと頑張らないといけないなと思っています。なかなかしんどいですね。次のテストで何点取ったら卒業できるのかっていう計算をしたのは大学ぶりです(笑)。ただ、今までの学期に比べて科目数は1科目少ないので、時間的には余裕がある状態です。
自身の興味とは別に、STEMを申請するために選択する必要があった授業であったりとか、そういった新しい分野を学ぶという経験はいかがでしたか?
及川:
手元にある知識に加えて、新しく学ぶことで新しい世界観が広がると思うし、インスピレーションにも繋がってくるので、そういう意味で能動的にしろ受動的にしろ、学び直すとか学べる機会がある場合は積極的に自分の中に吸収していくべきだなと、思いました。
学びたいけど結果が伴わなかった今回の経験を踏まえて、今後もその同じ分野を学び続けたい気持ちはありますか?
及川:
正直、この分野が好きという訳ではないんですが、やらないといけないことだなっていう感覚はありますね。僕が今取り組んでいるビジネスがデータ解析系なので、Co-Founderと話す上で、僕が概念を知ってた方がよりスムーズに進むことがあると感じてます。なので、やらなきゃいけないことだなと感じてます。
及川さんの前半のセメスターはそのような動きだったんですね。続いて、前回のインタビュー時から2か月が経ちましたが、ビジネスの方の動きはどうですか?
及川:
そうですね。前回のインタビュー時は、日本ではなくやっぱりアメリカで挑戦すべきだと決意したタイミングだったと思います。この2か月間で、アメリカで自分たちがどういうビジネススキルセットを活かしてビジネスを展開していくかの解像度が各段に上がりましたね。ピッチデックやビジネスサマリーも2か月前より顧客定義が明確になりました。プロダクトの定義やマーケットのサイズ感、競合数も含めてですね。アメリカで20人ぐらいにインタビューしたことが解像度を上げることに繋がりました。
実際にインタビューをしてみて、インタビューを行うことはビジネスの立ち上げにどのように通じるものがあると感じますか?
及川:
マクロではなくミクロを知るということだと思います。起業は0から1を作る作業から始まるので、統計データやネットの情報のような俯瞰で得た情報ではなく、個人がどう思っているかのインタビューが大事だと思っています。インターネット上でこのサービスがいいって言われていても、目の前のお客さんはどういうサービスを使っていて、そのサービスに対する満足度とかはインタビューをすることで見えた部分です。お客さんが口にすることは、ネット上の情報とマッチしていないことも多いんです。
インターネット上の情報はあくまで統計値なので、実際にインタビューしてみると、「セールスフォースを使ってみたけど駄目だったからハブスポットにした」、「ハブスポットも駄目だったから今はスプレッドシートを使っている」、「いいって聞いて使ってみたけど、電話番号もEメールアドレスも間違っているから実はアポロっていうスタートアップのソフトを使ってるんだよね」という声が聞かれたり、リアルとネット上の情報が全然違うことを体感しました。今、僕たちは資本力(リソース)がない中でビジネスを始めようとしているので、ニッチなターゲットから強い支持をもらうために、ネットでは得られない情報を得るためにインタビューを繰り返し行っています。
インタビューを通じて解像度が上がったということですが、プロダクト開発の方はいかがですか?
及川:
そうですね。インタビューを通じて作ったものもありますし、ある程度自分たちの仮説を大事にしながら進めているものもあります。プロダクト開発としては、MVP(Minimum Viable Product)というお客様に最低限の機能を備えたプロダクトの開発が卒業するまでに終わるかなという時間軸です。あと1か月か2か月程度でMVPの開発が終わるので、MVPを提供するために、自分たちの製品が役に立つのかなという部分を試すようなインタビュー(コンセプトテスト)にしています。
MVPを卒業までに完成させるというところで、今動かれているんですね。今は以前とは別のパートナーと起業準備をしていると伺っていますが、メンバー変更をしたことで起きた結果やそこからの学びは何かありましたか?
及川:
結果としては、お客さんからのインタビューを通じて聞かれた、「こういうことができた方がいいよね」という声が、実際に形となるスピードが速くなったと思います。コンセプトに対して、実際にこういうテクノロジーを使えばいいよねというところがかなり早く進んでいきます。本当に感謝しかないです。
一方で、以前のパートナーと組んでいた時は、市場の捉え方や、プロダクトのコンセプト、市場にプロダクトを入れるときにどういう戦略をとるかということを2人で話していたのですが、そういうビジネスサイドの部分を今は一人で担っているので、思うようにタスクが減っていかないことが頻発しています(笑)。
ビジネスサイドを担っている及川さんと、エンジニアサイドを担っているビジネスパートナーとの関係は、補完関係にあると思いますか?
及川:
補完関係になっていると思います。ビジネスパートナーも僕自身もMBAを学んでいるんですけど、持っているスキルセットは全く違うので。あとは、担っている部分が違うので、タスクの持ち方もはっきりしていますね。
例えば、ビジネスパートナーはプロダクトを作ること、その開発を進めていくことが仕事で、物を販売していくこととか、アメリカでどういうタイムラインで自分たちのビジネスを進めていくのかを逆算したり、そのためにはチームのブランディングとしてどのアクセラレーションプログラムに受かってた方がいいとか、どういうリソースを取っていこうかと考えるのは僕の仕事です。
なので、責任の所在がすごいはっきりしているチームで、スキルセットの面で補完関係にあると思います。
ビジネスパートナーと補完関係にあるということで、改めて及川さんの持っている強みが活かせている実感はありますか?
及川:
そこは今の自分の一番の悩みのポイントでもあって、そうならないといけないのに、そうなれていない自分がいるというか。僕の仕事って、関係性を築くとか、販売するとか、伝えるとかそういうことなので、うまく相手に伝えるお喋り屋さんなんですよね。それは自分でも強みだなって夏休みのインターンや、今回の一時帰国中にプロダクトを販売する経験を通じて、実感しました。人と比べたときに一番ではないかもしれないけど、楽しいな、得意だなと。でもそれをアメリカではまだまだ全然やれてない。アメリカでは喋るのは好きではない人間になっちゃうので(笑)すごい悩みであり、成長過程としてやっていかないといけないなっていうのがあります。Co-Founderがすごい優秀でプロダクトが作れるようになったので、プロダクトの販売やお客様の声をプロダクト作りにより反映していくためにはもっと自分の仕事をするべきなんですが、30分話す準備と、その後の疲れとか、全然あかんかったという自責の念が出てくるので、そこを考えると全然進んでいかないし、しんどいところですね。
そのしんどさを感じているところが今の悩みとおっしゃっていますが、これまでの留学生活の中でどの部分が解決策となり得ると感じますか?
及川:
正直、どうなんだろう。アメリカで現地の人にインタビューできているのは授業のおかげなのかなとは思っています。そもそも英語で誰かとコミュニケーションを取ることすらできなかったので。流暢に喋らないとコミュニケーションをとっちゃいけないって思ってたものが、流暢でなくてもコミュニケーションが取れるし、そうあるべきだと思うように変わりました。
それでもコミュニケーションを取りきれないときは、まずちゃんと相手の言ってることを理解しにいかないといけないし、自分の言ってることをちゃんと伝える努力をしないといけないということを去年の夏のインターンシップだったり、秋学期で学びました。そこから半年経って、現地の人にインタビューぐらいはできるようになってきました。この変化は、授業のおかげというよりは、バブソンに来たおかげでこういう状況になれている、こういう状況を作れているとも感じます。
ここからインタビュー上手になっていくことに授業が活きてくるのかどうなのか、まだわからないですけど、これから「Sales In Action」という新しい授業が始まるので、そこで得られる知見や生まれるスキルセットは、今のビジネスアイディアにもダイレクトに活きてくると思っているので、今よりも話しやすくなるかもしれないですね。
そういう意味では、春学期の授業の中で唯一の楽しみでもあります。
最後に、卒業を2か月後に控えていますが、入学してからのこれまでを振り返ると、今の心情の上がり下がりはどのような状況でしょうか?
及川:
上がり下がりで答えるのは難しくて、やってやるんだっていうよりはもうあと2ヶ月で卒業するから、やらなきゃやばい!という感じです。
さっきのビジネスの話にも繋がるんですが、僕たちのチームってプロダクトは作れるんです。プロダクトが作れたら、それが売れていくかどうか、自分たちの生活費が稼げるかどうか、世の中にインパクトがあるかどうかって、正直ビジネスサイドの僕にかかっていると考えています。ビジネスサイドは僕が担当しているので、セールスなのかマーケティングなのか、投資家を見つけてくるとか、このプロダクトが卒業後ローンチしてうまく走れなかったときの責任って僕にあるなっていう感覚があります。だから焦りももちろんありますし、僕もCo-Founderも私費で留学に来ているので、基本的に生活費に余裕はないんです。というか、全くないんです。稼がないとお金がない状況に卒業後はなるので、お金が生めるんだろうか、お金がビジネス上は生めなかったとしても、それに興味を持ってお金を投資してくれる人が現れるんだろうかとか、そういった焦りがあります。
これからのことが、こんなに何も決まっていないことって今までなかったんです。例えば大学生の時は卒業前に就職先が決まっていたし、就職してからは明日何をするかは全部会社から決められていました。例えばどこで、そして何を着ていくかまで。1年間のスケジュールどころか、30年40年のスケジュールが決まっていた中で、MBA受験しようかなということで受験を始めて、会社を辞める前にはバブソンに行くことは決まっていました。なので、こんなにも、自由にどうぞみたいな感じは初めてで、なんか自由の裏側に怖さがあります。これで稼げなかったら、そこで僕の人生はシンプルに終了っていう、、、それはそれで面白いと思うんですけど、怖さと焦りと不安があります。
ネガティブな感情がうごめいてる中で、それをどのように解決していこうと考えていますか?
及川:
やっぱり達成可能な小さいゴールをちゃんと作るということだと思うんですよね。漠然と2か月後どうなるかとか、1年後どうなっているかって考えても、ずっと不安なんですよ。例えば一旦遠い未来を見るのをやめて、まず卒業することに頭をちゃんと切り替えられたりとか、1週間後にアプリケーションを出すことなど、自分の努力次第で達成可能な短期のゴールをちゃんと作って、日々達成するという当たり前を作っていくっていうことはすごい大事かなと思います。空き時間があると不安な気持ちってどんどん増殖していって、結局解決はできないなと。達成可能な、もしくは達成しなきゃいけないゴールを短期に置いて、それに向かっていくことがいいのかなと。その中でも、そのゴールがちゃんと将来何かに繋がってるものであればですが。MBAの受験も結構似たような感じだったと今振り返ると思います。僕は、最初始めたときTOEIC250点でTOEFLは16点しかなくて、合格するまで何年かかるのかみたいな感じでしたけど、リーディングのパッセージを10個読むとか、単語を何個覚えるみたいな、達成可能な目標を短期で置いていくことで、不安や心配とかを忙しさで埋めていくっていうことをやってたのかなと思います。
ありがとうございます。今のその感情が次のインタビュー時にどのように変化しているのかも含めて、次回の最後のインタビューを楽しみにしています。
如何だったでしょうか。本シリーズは次回が最終更新予定ですので、次回の記事もお楽しみに!
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