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女性経営者リーダー育成プロジェクト

⚫️女性活躍の課題感

・地方創生と同様、各論、そして極地戦になっていないか?

日本再生などの大きな文脈で語られない不思議。

・女性同士の連帯が、男性陣の協力を排除していないか?

・ジェンダーフリーを前提としていながら、女性ならではの強みを訴える。
・女性の数の問題に注力しすぎている

・女性同士の連帯が男性陣の協力を排除していないか、またジェンダーフリーを前提としているにもかかわらず、女性ならではの強みを訴えるという問題については、非常に複雑なテーマです。以下、このテーマについて深掘りします。

1. 女性同士の連帯が男性の協力を排除するリスク

女性同士の連帯や女性を支援するネットワークは、女性の社会的地位を向上させるために不可欠なものとして多くの場面で重要視されています。しかし、この連帯が結果として男性の協力を排除することがあるという指摘があります。

議論の背景:多くの女性リーダー育成プログラムやネットワークが、女性同士の連携を促進し、女性の成功をサポートしています。しかし、こうした動きが男性陣を疎外するかのような印象を与える場合があります。実際、ジェンダー平等の実現は女性だけの問題ではなく、男性を含めた社会全体の課題であるため、男性の協力が不可欠です。

具体例:例えば、女性限定の研修プログラムやネットワーキングイベントでは、男性がその場に参加できないことで、「女性だけの問題」として扱われる危険性があります。このアプローチが進みすぎると、男性がジェンダー平等に向けた取り組みに参画する機会を奪い、結果的に社会全体での変革が遅れる可能性があるのです。

2. 女性ならではの強みを訴える矛盾

ジェンダーフリーを前提としながら、「女性ならではの強み」を強調することは、時に矛盾をはらんでいます。ジェンダーフリーとは、性別による役割分担や能力の違いを前提にしない考え方です。しかし、同時に「女性だからこそできること」「女性ならではのリーダーシップ」といった主張がなされることも少なくありません。

議論のポイント:女性の強みを強調することは、特定の性別に固有の役割や能力があるという固定観念を強化する可能性があります。たとえば、「女性は感情的なケアが得意」「女性は調和を大切にする」といったステレオタイプを根拠に、リーダーシップのスタイルを評価することは、性別による枠組みを維持してしまう結果につながります 。

一方での利点:もちろん、こうした女性ならではの特性を強調することにはポジティブな側面もあります。女性がこれまで社会で十分に評価されてこなかった側面を見直し、多様なリーダーシップスタイルを認めるという意味では、一種の「強み」としての再評価ともいえます。

3. 数の問題に注力しすぎるリスク

「女性管理職の割合」や「女性の役員登用数」といった数値目標が掲げられることは、女性の社会進出を促進するために有効な手段ですが、これが過度に強調されると、根本的な問題解決には繋がらないことがあります。

具体的な問題点:数値目標を設定することで、女性の登用が一時的に進むことがありますが、それが「数を満たすための施策」に終わる場合、女性が本来持つ能力やリーダーシップが十分に評価されないまま形式的に昇進させられることが懸念されます。さらに、目標達成後にリーダーシップポジションから外されるケースもあり、女性が本当に組織内で活躍できる環境が整っているとは言えません 。

4. 今後のアプローチ

今後、女性活躍を進める際には、以下の点に注力する必要があります。

• 包括的なアプローチの推進:女性だけの問題として扱うのではなく、男性も含めた全員がジェンダー平等に向けた取り組みに参加できるような環境を作ることが重要です。たとえば、男性も育児休暇を取得しやすくする制度を拡充することで、職場のジェンダー役割分担を緩和することができます。
• 個々の強みを生かすリーダーシップの多様性:性別にとらわれず、個々の能力や特性に基づいたリーダーシップスタイルが評価されるべきです。女性ならではの強みというステレオタイプではなく、誰でもその能力に応じてリーダーとしての役割を果たせる環境を整える必要があります。
• 数値目標を超えた本質的な変革:数値だけに注力するのではなく、組織文化や意識の改革を進めることで、持続可能なジェンダー平等を実現することが求められます。

結論

「女性同士の連帯」が男性の協力を排除する危険性や、ジェンダーフリーを前提にしながらも「女性ならではの強み」を訴える矛盾、そして数の問題に過度に注力することが抱えるリスクについては、ジェンダー平等を実現するための重要な課題です。これらの課題に向き合い、全員が参加できる包括的なアプローチが今後の成功の鍵となるでしょう。


⚫️「女性活躍」運動論

この言葉には、どうしても違和感を感じていました。ダイバーシティ推進室長としてその活動の中心にいた頃、世間ではこの言葉が大々的に使われ、真っ盛りでしたが、ずっと心の中では「これでいいのか?」という疑問が拭えなかったのです。

一番の違和感は、すでに子供たちはジェンダーフリーという考え方を自然に受け入れているのに、大人たちは「女性」を特別な保護対象のように扱っている点です。まるで女性だけが弱い存在であるかのように見せてしまっている。これは本質的な平等とはかけ離れているように思います。保護対象生物として扱われることで、逆に女性の能力や可能性が十分に評価されていないのではないでしょうか。

また、政府や企業が掲げる数値目標が、どこか魂がないものに見えることも問題です。もちろん、女性の管理職や役員の割合を増やす目標は重要です。しかし、その数字を追うあまり、実際の取り組みが形骸化し、真の意味でのダイバーシティ推進が進んでいないように感じるのです。特に、「女性活躍」というテーマが、女性たちが女性だけで取り組んでいるかのように見えてしまうのも違和感の一つです。ジェンダー平等は社会全体の問題であり、男性を含む全員が参加すべき課題です。

企業も政府も、数値に縛られるだけでなく、もっと本質的な意識改革が必要だと感じています。

⚫️「女性活躍」という言葉について議論

まずその目的と背景を明確にする必要があります。女性の社会進出を促すための政策や企業の取り組みが、ジェンダー平等の実現を目指していることは確かですが、その実効性や本質に対しては疑問の声も少なくありません。以下、具体的な議論を展開していきます。

1. 数値目標とその限界

多くの政府や企業が「女性管理職30%」や「女性役員の増加」といった数値目標を掲げて取り組んでいます。これにより、ある程度の進展は見られるものの、こうした目標が逆に「数値を達成するための施策」に偏ってしまい、本質的な改革が進んでいないという批判があります。

具体例:例えば、企業の中には単に数字を達成するために、一定期間だけ女性を管理職に昇進させるケースもあります。しかし、このような取り組みでは女性のリーダーシップが本当に評価されているわけではなく、数値を達成した後に役職から外されることも少なくありません。このような形では、女性が本当の意味でリーダーとして活躍する機会が奪われ、表面的な「女性活躍」になってしまっています  。

2. ジェンダー固定観念と保護主義

「女性活躍」という言葉が持つ問題の一つは、女性が特別な「保護対象」として扱われてしまうことです。これは、女性が「支援されるべき弱者」として位置づけられることで、逆にジェンダーに対する固定観念を強化してしまう恐れがあります。

議論の要点:女性の能力や役割を評価する際に、特別な基準を設けることは一見公正に見えますが、実際には「男性とは違う存在として扱う」という無意識のバイアスを助長することになります。これはジェンダー平等の本質に反する行動であり、女性がその力を十分に発揮できない環境を作り出してしまいます。特に、ダイバーシティ推進を掲げている企業において、こうした保護主義的アプローチが見られることは少なくありません 。

3. 子どもたちのジェンダーフリー意識とのギャップ

現代の子どもたちは、性別にとらわれない価値観を自然に受け入れつつあります。ジェンダーフリーな考え方が若い世代に浸透している一方で、社会や職場のジェンダー役割に固執する大人たちとの間に大きなギャップが生まれているのです。

議論の具体例:若い世代は、性別に関係なく個々の能力を評価し、自由にキャリアを選択しようとしています。しかし、職場では依然として「女性は特定の役割に適している」「女性のリーダーシップは特別な支援が必要」という古い考え方が根強く残っています。これは、女性が管理職に就くことに対するハードルが依然として高いことを示しています。このギャップを埋めるためには、教育や職場環境の根本的な改革が必要です 。

4. ジェンダー平等は社会全体の問題

女性活躍を「女性だけの問題」として扱うことも問題の一つです。ジェンダー平等は社会全体で取り組むべき課題であり、男性を含めた全員が参加することが必要です。

議論のポイント:例えば、職場での育児休暇や柔軟な働き方に関する政策が「女性のための制度」として導入されることがありますが、これが逆に男性が積極的に育児や家庭に参加することを阻害する場合があります。ジェンダー平等を実現するためには、男性も含めた全員が公平なチャンスを持ち、両性がバランスよく仕事と家庭を両立できる環境を整えることが求められています。

5. 結論と提言

「女性活躍」という言葉には一見前向きな意味合いがありますが、その裏には多くの課題が隠れています。数値目標や表面的な施策に終わることなく、真にジェンダー平等を目指すためには、以下のような具体的な提言が必要です。

• 数値目標に頼らない施策の推進:数値に縛られることなく、職場全体の意識改革を促進し、全ての社員が公平に評価される仕組みを整える。
• ジェンダーフリー教育の拡充:若い世代のジェンダーフリーな価値観を尊重し、教育現場でもこれを取り入れた教育を行うことで、将来のリーダーシップ層に多様な価値観を根付かせる。
• 包括的なジェンダー政策の実施:女性だけでなく、男性や非二元的な性を含めた全ての人々が平等に働ける環境を整え、社会全体でジェンダー平等を推進する。

これらの視点をもって「女性活躍」を再考し、真に持続可能なジェンダー平等社会を実現するための具体的な行動が求められています。

⚫️日本における女性経営者のリーダー育成プロジェクト

様々な取り組みが進行中です。特に注目されるプログラムとして、以下のプロジェクトがあります。

1. 京都大学の「女性エグゼクティブ・リーダー育成プログラム (WEL)
京都大学経営管理大学院では、女性経営者の育成を目的とした6ヶ月間のプログラムを実施しています。このプログラムでは、経営戦略やリーダーシップ、ガバナンスなどトップマネジメントに必要なスキルを習得し、ネットワーキングやメンタリングを通じて、女性リーダーとしての能力向上を図ります 。
2. 東京都の「女性リーダー育成・企業交流会プログラム」
東京都では、女性リーダー育成を目的とした全4回のプログラムを開催しており、都内の企業に在籍するリーダーを目指す女性を対象としています。このプログラムでは、マネジメントスキルやリーダーシップを学び、企業間のネットワーキングやワークショップを通じて、キャリアアップの機会を提供しています 。
3. EY Japanの「女性起業家支援アクセラレータープログラム」
EY Japanでは、女性起業家や経営者を支援するアクセラレータープログラムを開催しており、特にスタートアップの成長支援を目的としています。このプログラムでは、財務や経営に関する実践的な知識を提供し、事業拡大に向けたサポートを行っています 。

これらのプログラムは、女性経営者のリーダーシップスキルを強化し、ジェンダーの壁を超えて活躍するための重要なステップとなっています。



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