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『ノルウェイの森』読んだ

私は村上春樹の長編を読んだことがない。短編はいくつか読んだ。

かつて柄谷行人が、村上龍は圧倒的な身体性の中に意味の萌芽を見出すのに対して、村上春樹は自身の感性の繊細さを誇示すると論じていた。言うなれば、春樹は川端康成の後継者であると。

であるなら村上春樹がノーベル文学賞の候補に上がるのは自然なことと思われた。

とはいうものの、なんでか食わず嫌いしていた。しかし日本を代表する作家の長編小説を全く読まずに死んでしまうのもどうかと思って、とりあえず『ノルウェイの森』を手に取ってみたのだ。

読んでみて、他者がいないとすぐに気がついた。柄谷行人が言ってたのはこういうことだったんだね。

村上龍の言葉でいえば、外部がない。

他者がいないというのは不適切かもしれない。他者との距離感が絶妙なのだ。だから疲れているときには心地よい。これが沢山の人に読まれるのは当然だなと思った。

食わず嫌いしてたことを悔いた。もう少し村上春樹、読んでみよう。


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はむっち@ケンブリッジ英検
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