平野啓一郎『私とは何か――「個人」から「分人」へ』読んだ
読んでみた。
人間は色々なペルソナを持っているんだというわりと当たり前のことが欠いてある。Individualとはそれ以上分割できないという意味だが、まあそんなわけはないよね。
ただ一貫した主体というものを想定しないと、責任の所在が不明確となり社会が成り立たない。だから私は自分を複数の人格というよりも、複数のレイヤーからなっており、相手によってどの層まで見せるか変えているだけ、、、というふうに捉えている。
とはいえ、著者は相手が自分に見せている顔が全てではないと考えると対人関係が上手くいくんじゃないかと言っていて、それはそうだなあと思ったのだ。恋人を独占したいような人にとっては納得しにくい考え方だろうけどね。
そして分人というコンセプトを極限まで追求したのが『ある男』という小説だったわけである。
なのでこの小説あるいは映画化に何かしら感じるところがあった人は、本書を読む価値があるかもしれないと思うのであった。
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