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文藝春秋3月号と砂川文次『ブラックボックス』

文藝春秋の最新号をお買い上げした。

なんでかというと、池上彰さんが、拙訳書『自由の国と感染症』の書評を書いてくださったからである。

まったくありがたいことである。

しかしそんなに大々的に宣伝したわけでもないのに、こういうタイムリーな書籍を拾うことのできる池上さんの感性には舌を巻くほかない。きっと多忙だろうにアンテナ高すぎ。さすがテレビで様々なことを的確に論評できるだけのことはあるなあと思ってのである。


ところでこの号は芥川賞の発表もしていた。選評を読んでいると、受賞作の『ブラックボックス』の他には、九段理江『Schoolgirl』の評価が高かったので、これもなにかの縁ということでお買い上げした。

楽しみである。


受賞作『ブラックボックス』は全文掲載されていたので読んでみた。

前半はメッセンジャーとして代わり映えしない日々を送る描写。いつまでも続けられる保証のない職業だが、あんまり将来のことを考えない人向けの仕事なので、先が見えない感じが重くのしかかる。

後半は唐突に刑務所での代わり映えしない日々。

だけどやがて小さな差異が日々ある。それは前の日とか当日朝にも予想しえないものだ。というようなことに気がつくのであった。

短気な主人公の心理描写にページが割かれていて、なんとも乾いた心持ちになる。

『苦役列車』とか『コンビニ人間』もそんな感じだったような。今どきの小説ってそういうのが流行りなのだろうか。あるいは芥川賞の傾向がそんななのだろうか。

しかし、サッカーとかApex Legendsの合間に小説を読むのはなんとも贅沢な気分になれるのでいいね。

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はむっち@ケンブリッジ英検
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