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御田寺圭『ただしさに殺されないために』読んだ

白饅頭こと御田寺圭さんの新著読んだので所感を。


約5年前、かわいそうランキングなる概念で社会に殴り込みをかけた著者なのだが、根本のところは大きく変わっていないように思う。

そのころ私は、馬喰町の貸会議室で、著者らが主催したイベントに参加した。

そのとき、私たちは快適な生活を維持するためにかわいそうランキングの低い人々を召喚したのだ、という著者の発言に感銘を受けた。つまり私やあなたも共犯者なのだ。

その後に前著の『矛盾社会序説』が発売になった。

前著と新作『ただしさに殺されないために』で主題は大きく変わっていないが、解像度がより上がったぶん、絶望が深くなっている。

つまり我らの快適さのため序列の低いびとびとが必要とされる、という事象は想像以上に日常生活に浸透しているのだ。

私は著者の日記をほぼ毎日読んでいるので、この「縦の旅行」の深さに慣れてしまっているのだが、前著と比べてみるとやはり大きな隔たりがある。

ただし理解が深まることは幸せなこととは限らない。気の毒なひとびとの存在を知るだけでなく、自分の生活の心地良さが彼ら無くして成り立たないことを知ることになるからだ。

そんなことを知らずに幸せに暮らすのもいいだろう。だが赤い薬を飲む覚悟がある人は、ぜひ本書を手に取ってほしいと思う。

以下、チラ裏です。

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156字
今まで200円くらいで販売していた記事を50本程度収録する予定。

新反動主義、加速主義(右も左も)を背景とした記事を書いていきます。

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