見出し画像

『Go Wild 野生の体を取り戻せ!』とりもどせるかどうかわからないけど面白かった

久しぶりに意識高いシリーズ。

意識高い本には進化心理学や進化生物学に傾倒したものが多いがこれもそんな一冊である。しかし進化とつく話はえてしていけない方向にいきがちである。本書も例外ではなかった。

とりあえずは、人類は農業革命以前はどんな生活をしていたかということから考察を進めていくスタイルである。

狩猟採集社会では人類は走りまくっていたのである。我々の肉体は裸足で野山を駆け回るようにできているのだ。靴を履いて歩き回る、あるいはじっと坐っているのは本当によろしくない。

こういう観点から、最近の裸足っぽい靴や、足袋っぽいランニングシューズが流行っているわけである。知らなかった。

また旧石器時代は糖質をほとんどとっていなかったらしい。ケトジェニックダイエットとかファスティングダイエット的なことをすると最初はしんどいけどすぐに慣れるのは、それが本来のあり方だからかもしれない。知らんけど。

クロスフィットも野山を駆け回るのに動きが近いからやってみるとよいらしい。仲間とコミュニケーションを取りながらやれば、さらに旧石器時代っぽくてよいとのことだ。

もちろんマインドフルネスもいい。たしかに現代人いらんこと考えすぎやろって思うことが多い。雑念を減らすためにも瞑想は非常に良い。本当です。

もう一つ興味深かったのはバイオフィリアという考え方である。簡単に言うと、人間は自然が好きってことである。自然と触れ合うといろいろ捗るというわけだ。

そしてオキシトシンである。

しかしオキシトシンの話が始まったかと思ったら、急に政治的に正しくない展開になって驚いた。オキシトシンは共感、親密性にかかわるホルモンである。それがどうしたことか、プレイリーハタネズミ( prairie vole)はモノガミーだが子供の半分は違う父親の遺伝子をもっているとか言い出したのである。ややポルナレフになるところである。

プレイリーハタネズミの行動は人間と似ているが、この托卵は違うというのである。しかし夫婦が共同して遺伝子を残せるならいいじゃないか、なんせ少なくとも半分は自分の子供なのだから、とも言っている。

ここで私は太古の人類に想いを馳せた。当時は一夫一婦制ではなかっただろう。あるいは一夫一婦制だったかもしれないが、托卵が横行していたのではないか。

野生に戻るといったいどうなるのだろう。多くのオスは生殖にかかわることなく死んでいくのだろうか。それならオスとメスが同じ数だけ生まれてくるのは極めて残酷なことではないか。アリのような社会性動物だっている、生殖にかかわらない働き蟻はメスである。生殖にかかわらない個体が多数いてもその遺伝子は十分繁栄しているではないか。

現実にはイスラム教の国でなくとも、時間差一夫多妻、婚外子などの形で実質的なポリガミーが進行中である。

これは野生に回帰しているのか。あるいは文明がエピジェネティックな影響を与えたのか。そもそも政治的に正しいのか私にはわからないが、みなの自由な選択の結果としてそうなっているなら大変ポリコレであるといえるかもしれない。

わからないけど、間食にカントリーマアムを食べるのはやめようと思った。


いいなと思ったら応援しよう!

はむっち@ケンブリッジ英検
サポートは執筆活動に使わせていただきます。