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反反ワクチン者はなぜ激昂しがちなのか
昨日のニー仏さんのnoteで、すでにワクチンを接種し、反ワクチンではない立場から、反反ワクチン主義者に言及されていた。
反反ワクチン主義者とは、ワクチン接種後に重篤な有害事象が発生したとき、マスコミ等がワクチンとの因果関係がある可能性を示唆しただけで吹き上がってしまう人々のことであり、私の観測範囲では主に医師であるように思われる。
なぜ彼らはそんなに簡単に激昂してしまうのか?これはヒトパピローマウイルス、略してHPVに対するワクチンの経緯を知らないと理解できない。
詳細はこの記事に書いたので繰り返さないが、簡単に言うと、HPVは主に子宮頸癌などの発癌に強く関連するウイルスであり、性的接触を始めるまでにワクチンを接種すれば高い確率で防げることがずいぶん前から知られている。子宮頸癌は30代40代の女性を中心に日本だけで年間に約3000人が亡くなる疾患である。ワクチンが普及している諸外国では罹患率は限りなくゼロに近づいていくと予想されている。日本ではメディアが根拠の極めて薄い反対論にのっかってしまったという非常に残念な事情があって、厚生労働省は接種の積極勧奨を何年も前に止めてしまっており、接種率は数%程度に低迷している。諸外国との差は10年か20年であからさまになるだろうが、この責任は誰も取らないであろう。
この経緯には多くの医療関係者が心を痛めていたり、怒りを覚えているので、ワクチンについての正確性を欠く報道には怒髪天を衝いてしまうのである。
HPVワクチンの経緯については私だって腸が煮えくり返る想いである。怒りで我を失いかねないので、あまり言及しないようにしてるけどね。もちろん、「産む機械が減って国力が損なわれる」という保守おじさん的思想からではけっしてない(私はリベラルである)。若い女性の命が失われる、あるいは治癒したとしても子宮全摘や放射線照射が必要になるわけで、非常に哀しいことであると言わざるをえないからである。私の脳もかわいそうランキングに支配されているのかもしれない。
ちなみにHPVワクチンの安全性は統計学的にも明らかである。時間のある方は、「名古屋スタディ」で検索してみてほしい。
安全なワクチンであるにもかかわらず色々な騒ぎに巻き込まれて現在は積極勧奨が中止されているのは先に述べた通り。三原じゅん子議員や、産婦人科医。小児科医らが一生懸命再開するよう訴えかけているが、まだ再開されそうにない。
このように本邦ではワクチンは面倒なものになってしまい、製薬会社はワクチンに消極的になってしまったものと思われる。コロナワクチンにおいて米英に遅れを取る要因にもなっただろう。
アメリカのメガファーマはさらにすごいワクチンを開発中であるというから、これからもひたすら朝貢することになるのだろう。
とまあこんな事情である。HPVに比べると、コロナのワクチンはわりとどうでもいいと私は思っているので、コロナについては私は反反ワクチン的言説はあまりしないけどね。
ちなみに、医師でも反反ワクチン的言説を冷ややかな目で見ている人はけっこういることは指摘しておきたい。
ところで上掲のニー仏さんの記事の一番面白いところはワクチンそのものの話ではない。コロナワクチンをめぐる急激な世相の変化である。興味を持った方はぜひ読んでみていただきたい。
それにインスパイアされて思いついたことを最後に記しておく。
皆さんはもう忘れてしまっているかもしれないが、ついこないだまではワクチン慎重論が主流であった。
ところがいつのまにか接種するのが当たり前になってしまい、今や接種率は供給元のアメリカを追い越してしまった。
良くも悪くも変わり身が早い。
アメリカはそうではない。アメリカの反ワクチン主義者は日本のそれとは大きく性質が異なっている。彼らは世相の変化などでけっして説得されない。
身近な人が亡くなっても接種しない。接種しない自由のほうを重んじるからだ。こういう人たちがいるから、アメリカは感染症のコントロールという点では常に劣等生だった。CDCがあろうがなかろうが関係ない。
しかし、そういう人々の存在を許容することと、アメリカがスーパーパワーでありつづけてきたこと、画期的な企業が次々と誕生すること、今回はmRNAによる超安全かつ効果的なワクチンを実用化したこと、これらは同じコインの裏表であると思えてならないのである。
ワクチンを接種するリスク、あるいは接種しないリスクを自らの判断で引き受ける国民を相手にしているから、企業は斬新なサービスを打ち出せるのではないか。
ワクチンがある程度普及したアメリカはもうどんどん日常に復帰しつつある。その一方、日本はアメリカ以上に普及しつつあるのにこの体たらくである。
これ以上書くと出羽守になってしまいそうなので、今日はこれくらいにしておこう。
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