【断酒】ラストダンスはあなたと…
本日2024/09/30 12:00をもって、わたくしぼす子はアルコールとの別れを告げた。
γ-GTPとやらが600を超えていて、いつも穏やかなかかりつけ医が、
「その若さでこんな数値なら、今すぐお酒やめるか入院かどっちかだよ!」
とガチめのトーンで怒っていた。
γ-GTPは肝機能の状態を表す代表的なもので、ネットで調べたら、「普通に生きてたら500超えることはない」とか出てくる。
どうやら私は普通に生きてなかったらしい。
昔は「ぼす子ちゃんっていくら飲んでも顔に出ないね」と言われていたのに、今では顔周り通り越して指先まで真っ赤になる。
年々酔っ払い方もヤバくなる。記憶が飛ぶのは日常茶飯事だし、感情のアップダウン、特にダウンの方が凄まじく、いつ気まぐれに窓からぴょーんとしちゃってもおかしくなかった。
あと、一番怖かったのは、「アルコールをやめると肝臓の数値はいずれ正常値に戻る。でも、過剰なアルコールによって脳が委縮してしまったら、その脳は二度と戻らない」ということだった。
「若い時から飲酒していると、脳へのダメージも大きくなる」というのも、断酒の後押しをした要因の一つだ。
人のせいにするわけじゃないが、私が高校生の頃は、未成年でも居酒屋に紛れ込めたし、「ビール一杯ぐらい飲んだうちに入らないって」と軽率に勧めてくる大人も大勢いた。
バイト先の人とは仲良くしていたかったので、歓送迎会はもちろん、出来る限り飲み会に紛れ込んだ。
だから私は今39歳だが、飲酒歴は23年ぐらいになる。
身体のどこに悪影響が出ていてもおかしくはない年数だ。
でも、23年もの間、嬉しい時も悲しい時もムカつく時も面白い時も一緒にいた。まさに「病める時も健やかなる時も」だ。
お前のせいで病んだし、あなたのおかげで健やかでもあった。
お前のせいで失った人や物もあるけど、あなたのおかげで出会えた人や物もある。
「ロクでもないけど、悪い人ではなかった彼氏」とやらと別れた後、散々愚痴や文句言ったかと思えば「でもさぁ…こんなこともあったんだよね…」と良かった時のことを思い出し、そして泣き始め、「やっぱり別れなきゃよかったかなぁ」とか言い出す女をアホほど見て来たが、今日からは気持ちに寄り添ってあげられそうだ。
「アンタ、そうやって最近までズルズルしてて、やっと別れたのに何言ってんの?」とキレ気味に説教してしまって大変申し訳なかった。
良い部分もなければ、ぐだぐだと関係を先延ばしにしたりしないよね…。
しかし、命に係わるとなると話は別だ。
健康と寿命だけはお金では買えないのだ。
そしてだいたい「もっと早く改善してれば…」と思う時には手遅れなことが多い。脳が委縮して元に戻らないのなんて、まさにいい例だ。
そう考えると、「怒られるのがめっちゃ苦手」な、このオブラートよりも脆いメンタルも、時には役に立つ。
「あのやさしいせんせーに怒らりた…」と大層ショックを受けた私は、その日から缶ビール1~2本しか飲めなくなった。週4~6で飲んでいたのに、週1~2くらいしか飲みたいと思わなくなった。
お酒が視界に入るたびに先生の怒気をはらんだ声が聞こえてくる。
打たれ弱くて、ダメージをどこまでも引きずる性格なのが、こんな形で功を奏することもあるのかと自分でもビックリだ。
入院しろと言われても入院するお金もないし、このまま未練タラタラで「節酒」にしても先生の顔と声がチラついて楽しく飲めない。身体も明らかにSOSの声を上げている。
ここら辺が潮時だ、と覚悟が決まった。
先生は今すぐやめろと言っていたが、私だって伊達に23年酒クズをやっていない。断酒するにあたっては、個人の意志ももちろん重要だが、周りの理解と協力が不可欠なことを痛感していた。
そこで、アルコールモンスターみたいなウチの母と姉、「アラサーの壁」を共に超えてずっと一緒に飲み続けてくれたA子、どこに出しても恥ずかしい酒クズのB男、酒クズな上にウサギちゃん並に寂しいと死んじゃうC男、計5人と最終決戦をすることにした。
まず、母。全盛期は毎日7Lくらいビールを飲み、70歳を過ぎた今でも6缶パックではなく、24本入りの箱で買うレジェンド系モンスター。
私はあの頃の母の飲み方を見ていて、「私もあの血を受け継いでいるのか」と思っていた。
何せウチは母方のDNAがめちゃんこ強い。
その証拠に、姉。「あんた、ビールだとすぐ酔ってるけど、何なら酔わないの?」と聞いてきた異世界系モンスター。お姉さま、得意不得意はあっても、酔わないアルコールなんてこっちの世界には無いんですの……。
「お酒どれぐらい飲めるの?」と聞かれると、飲もうと思えばいくらでも飲めるから「分からない」としか答えられないほどの酒豪。
この二人を見ていたので、私もきっとそれなりの肝臓を持っているのだろうと信じてやまなかった。
しかし私はどうやら、文字通り「肝心なところだけ」父親のDNAを受け継いでしまったらしい。こんなに文字通りなことあるだろうか、いやない。
母に「γ-GTPが600超えて、もうお酒飲むなって医者に言われたんだ」って言ったら、
「はぁ?ww あんた、それしか飲めないのに?www」
と、まさかの「雑魚扱い」をされた。
母として、娘を労わるどころか、小馬鹿にしてくる始末だった。
姉に至っては「ようやく休ませてもらえるんだね…。今までよく頑張ったね」と、私の肝臓に同情していた。姉としては「そんな雑魚肝臓なのに酒飲まれて可哀相」だったらしい。
A子とB男とは同日対決になったが、二人は「共に前線で戦っていた戦友が、戦場を去る」かのように惜しんでくれて、「寂しくなるなぁ」と何度も言ってくれた。
モンスター二人に雑魚扱いされた後だから、余計に沁みた。
私も含めてお互いがお互いに色んな迷惑をかけあったが、お金の使い方も飲みっぷりも、酒の失敗談のほとんどを笑い話にしてくれる寛容さも、とても気が合う貴重な飲み友達だった。
C男は遠方に住んでるのでWEB飲みになったが、寂しがり屋さんぶりを遺憾なく発揮してくれて「これが最後なんて信じてない」「5年後でも10年後でもいいからまた飲もう」と言っていた。近所に住んでたら危険だが、まあ遠方だし、年に1回くらいしか会わないし、「酒解禁まだ?そろそろいいんじゃない?」とか言ってくるタイプではないのでまあ大丈夫だろう。
そうして迎えた9/30。
何があっても9/30で終わりと決めていた。
ここまでお読みいただいた方の中には、「あれ?あの人が出てきてなくない?」とお気づきになられた方もいらっしゃるかもしれない。
ご安心を。
ラストダンスはもちろん、この方。
きゃーーーーー!!!ラーメン先生ーーー!!
大好きなラーメン屋で、ラーメンをすすり、合間にクイッとやって、スープまで飲み干し、そして口に残った塩味を最後のビールで流し込んでフィニッシュ。
飲んだくれが幾度となく天へ召されそうになったこの至福の時間。
最高に美味しいメロディでのラストダンス。
もう、思い残すことはない。
え?あ?旦那氏? なんか向かいに座ってラーメン食べてた。
これにて、私の飲酒生活は幕を閉じる。
一応自力で頑張ってみるつもりだが、キツそうだったら断酒会的なものに参加してみようかなとも考えている。
(あれって自発的に行っていいものなのかな?医者に勧められた人とかだけだったりする?)
肝臓だけではなく精神疾患も抱えている身なので、そっち方面にも何か改善が見られたらいいな。
精神疾患に関して書いてるのはこちら↓
多分この記事の続きは、
【断酒中】ADHD/双極性障害ぼす子の実験記②
になる予定だ。
もし私と同じように「お酒やめなきゃ…」と思っている人で、断酒した後の話も気になるようだったら、またそのうちフラっと見に来ていただいて、【断酒中】とついてる記事を目印にしてもらえたらと思う。
それじゃあ、今日はこの辺で。
またねー!