マルクス主義と現象学 チャン・ドゥック・ターオ
チャン・ドゥック・ターオ(1917-1993, Trần Đức Thảo, 日本ではチャン・デュク・タオと表記されることが多い)はおそらくアジア人として唯一、ポストモダン以前の西洋哲学史に多少ともその痕跡をしるしたベトナムの哲学者。彼がフランスに滞在していた第二次世界大戦直後、現象学とマルクス主義哲学を、単に表面的になぞるのでなく、その現象学に内在する論理に沿うように結び付けようという彼の試みはサルトル、メルローポンティらが華々しく活躍していたフランスの哲学界でも大きな注目