【やられたら】 マンチェスター・シティ1-3リヴァプール 【やり返せる人達】 レビュー
スタメンとフォーメーション
昨季のイングランド内のリーグ王者とカップ王者で戦うコミュニティシールド。日本でいう富士ゼロックス・富士フィルム的な試合に当たるものである。
昨季のイングランドではリーグはマンチェスターシティ、カップは2つともリヴァプールと、この2クラブがトロフィーを分かちあい、カップ戦ではいずれも準優勝に終わったチェルシーと、「2強+チェルシー+CL争い」という上位の構図となった。
というわけで今宵のカードはシティとリヴァプール。
昨季の対戦成績はリーグは2戦とも2-2のドロー、FAカップ準決勝で当たり3-2でリヴァプールが勝利という結果に終わった。
そんなカードも「ポジショナルプレーのシティ、ストーミングのリヴァプール」というこれまでの構図から昨季、特にリーグを占う超大一番となった4/10のゲームでは多少の変化が見て取れた。
リヴァプールがボールを握る。シティがカウンターを打つ。互いのストロングを互いがチームに組み入れ、これまでとは違うアプローチを持って、一段上のステージに行こうとする。
それを実行し、さらにハイレベルで行いあったこの対戦は、間違いなく昨季のベストマッチであり、近年のフットボール史に残るカードとなった。
この対戦を経た今季の対戦も、間違いなくトップクラスのものになるだろう。
シティのスタメンは昨季から変わった箇所は何と言ってもCFに入るアーリング・ホーラン。この夏ドルトムントから6000万ユーロで父親も所属したシティへと移籍した。それ以外のメンバーは基本変わらず、ラポルテがベンチ外のため、アケが出場している以外は文句ないメンバーだろう。
ベンチにはリーベルから加入したWGアルバレスが入った。
スタメンはペップお馴染み[4-3-3]。
リヴァプールに関してはスタメンは昨季から変わった箇所は特になし。
GKはアリソンがベンチ外、第二GKケレハーも6月の代表期間で負傷し、この試合は第3GKのベテラン・アドリアンが務める。
夏の移籍関連でのトピックは攻撃陣。
約7年チームを支えたマネがバイエルンへと移籍したが、ベンフィカから有望株ダーウィン・ヌニェスを最大1億ユーロとなる移籍金で加入。
こちらもシステムはクロップお馴染み[4-3-3]。
リヴァプールのボール保持、チアゴの活用
序盤はシティ保持、といういつものシティの試合展開ではなく、リヴァプールがある程度のボールを保持を行い、半々くらいの支配率となった。
2分リヴァプール・サラーに決定機、7分シティ・KDBに決定機と、互いにチャンスを作りあった。
シティがいつもの6割強のボールを握る展開にできなかったのはプレッシングの問題が大きかった。
リヴァプールは序盤・4,8分とゴールキックにおいてアドリアンからCBへの繋ぎを行なった。捨て球やセカンドボールからの回収勝負ではなく、保持の中からの攻撃実行の意図はゴールキックから読み取れた。
これはシティの最前線が新加入のホーランというところで、プレスの連動面でネックがあるというのは一要素として大きかっただろう。
リヴァプールのビルドアップはCBで付けたところから、大外でSB→同レーンでWGと非常にシンプルな前進だった。
11分が最たる例。ウォーカーのオフサイドによるリスタートからの繋ぎである。
ファンダイクが受けたところにKDBが背後のチアゴを切りながらプレス。
ファンダイクは左SBロバートソンに付け、そのまま縦のディアスへ。ディアスが一枚、二枚と剥がし、空いたスペースのチアゴへ。
自身にプレスがかかり空いたファビーニョ、そしてまた空いたスペースにディアス、そして逆サイドへフリーのサラーへと、非常に綺麗な前進を形とした。
リヴァプールは去年終盤くらいからこのチアゴ-ファビーニョの同列での組み立てをよくやるようになったが、チアゴの展開力・反対サイドに待つサラー+TAAを相手SBのマッチアップを考えれば間違いなく相手の脅威である。
シティのプレッシングも決して遅くはなかったが、チアゴの僅かな動きによるマークのズレ、ディアスのキープ力により遅れを取りボールを奪えなかった。
結果この攻撃は最後繋がらなかったが、リヴァプールの左で作り右に展開する形は先制点にも活かされることとなった。
シティのWGの守備とリヴァプールのSBの奇襲
シティもシティで、リヴァプールの中央を止める為WGが幅を狭めマークに行ったり、Bシウバが下がりKDBが前に出る[4-4-2]でSBを止めに行ったりと様々形を変えるがなかなかこれというのが見つかってこない。
ホーランの立ち位置もどのコースを封じるの?的な迷いを感じるシーンが多く目立った。
やはりCBからの最初の球出しでコースが封じられないのが厳しい。KDB・グリリッシュ・ホーランのプレスはリヴァプールの前・中盤3枚とは大きく異なるものだった。
そんなこんなでリヴァプールがシティ陣地に入る形が多く目立つ前半となった。
リヴァプールは押し込んだら基本SBが上がり[2-3-5]の形。シティは非保持の陣形に前述の[4-4-2]で組んだがこれがマフレズとグリリッシュの守備の粗さを浮き彫りにする形になった。
13分のTAA→ロバートソンのリヴァプールお得意SB→SBのフィニッシュのシーン。
ファンダイクが持ったところでKDBが一列前に出て、4-4-2を作るが2-3-5の相手に対しこれだと中盤の数が1枚余る。
マフレズはチアゴに付き、中盤のパスコースは絞ったが、ファンダイクからディアスへのミドルパス。ウォーカーとの競り合いだが、後ろにはロバートソンもいる為2vs1を作られる。
ミドルパスが流れたところで結局ロバートソンに繋がり、マフレズも戻るが、逆に今度はハーフスペースでチアゴが空き、また先ほどのケース同様右サイド・サラーへと展開された。
20分、リヴァプールの先制点のシーンも13分と非常に似た形だった。
TAA→ディアスと右から左へ振り、ディアスがハーフスペースのチアゴへ。
ここもマフレズがボールウォッチャーでプレスが遅れ圧が掛からず簡単に展開される。
ここで一番不味かったのは逆サイドのマーク番グリリッシュとベルナルドが完全にボールウォッチャーになったことである。
背後のサラーに全く気付かず、焦り、対応した時にはTAAに出されシュートを振り抜かれ、最後はアケにリフレクトもありゴールへ吸い込まれた。
リヴァプールの左(ディアス+ロバートソン+チアゴ)右(サラー+TAA)に手を焼くシティ。
攻撃は攻撃でベルナルドが降りた[4-2-3-1]での前進というのが、この試合のメインの試みだったのだろうが、リヴァプールの前+中盤の計6枚のプレスを前になかなか自分たちの前3枚まで持っていけない。
結局GKエデルソンからのやり直しになる。これまでの対リヴァプールだと、「結局エデルソン」というところからもSBにつけ前進していく形が多かったが、この日はエデルソンからのキックもズレるシーンが目立ち、切り口が見出せないまま前半は1-0のリヴァプールリードで終わった。
残りの1/3、やり返すシティ
後半も立ち上がり10分はリヴァプールペース変わらずという感じだった。
そんな中シティの交代カードは58分、WGの2枚だった。マフレズ→アルバレス、グリリッシュ→フォーデン。リヴァプールも60分に入るタイミングで予定していたであろう交代、フィルミーノ→ヌニェス。
このあたりから、前半のエデルソン→Bシウバという組み立てのスタートを減らし、ロドリのサリーダだったりからスタートし始めた。
それも完全に展開できていたとは到底言い難いが、なんとかキープ→ファールという、アメフトのような前進を行うシティであった。
シティのこの60分以降の攻めというのは前半のリヴァプールを模範したかのような形だった。
60,62分というのはまさにであり、左でフォーデン+KDB +カンセロで作り、ロバートソンの背後でウォーカーorアルバレス、というチアゴ→サラーでやられた形のお返しにも感じた。リヴァプールはSBが上がる分の背後というのはどのチームも狙い目の訳だが、シティは押し込んだ状態でその狙い目を突きに行った。
69分、シティの同点ゴールも狙い目から生まれたゴールだった。
ピッチ中央でBシウバからロバートソンの背後を狙ったアルバレスへミドルパス。アルバレスが頭で落とし、ホーラン→KDBと繋ぎ、今度は相手右SB・TAAの裏に走ったフォーデンへ。フォーデンのシュートはアドリアンに弾かれたが、こぼれ球をアルバレスが詰めて同点。ペップの投入時の指示は非常にシンプルなものだっただろうが、投入した2枚が見事に狙いを遂行しゴールに繋げて見せた。
シティは右から左でもこの狙い目を突きに行った。
79分、フォーデンがTAAに代わり投入されたミルナーを内でピン止めし、大外でカンセロにスペースを空け、KDBに代わり入ったギュンドアンがパスしたが、これがミルナーにカットされる。
奪った流れからカウンターに展じ、サラーのクロスに合わせたヌニェスが頭で合わせる。
シュートはRディアスの手に当たりPK。これをサラーが沈め勝ち越したリヴァプール。
その後シティも攻めるが92分。
エデルソンのクリアボールをカットしたところから新加入・Fカルバーリョ→サラーと繋ぎ、最後はまたしてもここまで上がるロバートソン。ウォーカーの背後をつき折り返しをヌニェスが頭で合わせ、3-1で勝負あり。
60分以降、やり返されたリヴァプールだったが、最後はちゃんとやり返したリヴァプール。見事コミュニティシールドを制した。
感想
ある程度手の内がもう分かる中で、リヴァプールが前半主導権を握ったのは意外な展開だった。
ホーランという間違いなくトップな選手でも、まだプレスに組み込めていないと簡単に前進するリヴァプールはボール保持・ポゼッションにおいても間違いなく優秀であるというところを見せてくれた。
シーズンに入り楽しみなのはチアゴ&ファビーニョ。昨季終盤のリヴァプールが取り入れた、チアゴのビルドアップ参加+ファビーニョの前出しは相手からすればどこまで行けばいいのか、前にきたファビーニョはどうするか。
レアル・マドリーがクロースが下がり、カゼミーロが上がるみたいなのとよく似ている。WG+SBとサイドのイメージが攻撃では強いリヴァプール。
今季は中央からの攻撃も注目である。
敗れたシティはどう感じているだろうか。
個人的には対リヴァプールにおいて左をグリリッシュ+カンセロという右利きコンビを使うのはしんどい気がしてならない。
特にグリリッシュは基本右足でのプレーの為、ファビーニョ・TAAにプレーを読まれ詰まるシーンが非常によく目立った。後半から出場し、また昨季アンフィールドのリヴァプール戦でゴールを奪ったフォーデンがリーグの対戦では起用される気が今からする。
とはいえ本番はリーグでの2試合。(CLでもあるかも)そこに向けた反省点というのはこの試合でシティは複数得られた。ペップがどう次の対戦に挑むか、もちろんクロップも。今から楽しみでしょうがない。
最後に
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