【Busiの不安を払ったのは意外な二人】レアル・ソシエダ1-4バルセロナ 戦術分析/レビュー
昨季は開幕からアトレティコ・マドリー、バルセロナがクーマン体制の中躓く一方、帰還した指揮官・アンチェロッティの下レアル・マドリーが独走しタイトルを取ったラ・リーガ。
しかし昨年のラ・リーガでのハイライトシーン・1番人々の記憶に残った試合と聞かれれば、リーグ終盤に行われた、エル・クラシコでのバルセロナの鮮やかな復活劇だろう。(↓noteあります、ぜひ)
クーマンは結局CLのベスト16にすら生き残れず解雇となり、後任を受け継いだのはレジェンド・シャビ。
就任会見で今のチームに必要なことを問われたシャビは「自分たちがバルサにいると理解すること」と答え、その後は見事立て直し、バルセロナらしいパスワークで人々を魅了しながら勝ち点を積み上げて行った。
そんな今季、チームは大型補強を敢行した。
ラングレ・ウンティティが構想外、ピケもフル稼働が難しくなる中、CBでチェルシーからクリステンセン、セビージャからクンデを獲得した。
中盤ではミランからケシエ、最前線はリーズからラフィーニャ、そして目玉はバイエルンからレヴァンドフスキ。超ビッグネームを一気に補強した。
ただ近年のバルセロナでコウチーニョ・グリーズマンが失敗したように、この難しいクラブで成功の保証はない。
シャビがいかにこの5人を組み込んでいくのか。今季の注目ポイントであり、バルサリーガ奪還のポイントだろう。
今回はそんなバルセロナの試合を見ていきたい。
スタメンとフォーメーション
この試合のホームはソシエダ。
昨季は20-21の5位から順位を一つ下げたが、3年連続シーズン勝ち越し達成と、クラブ規模を考えれば非常に良い空気で今季も挑んでいることだろう。
そんな好調なクラブもバルサは苦手らしく、この試合前まで12試合勝ちなし、ホームでも6戦勝ちなしと部が悪いらしい。
勝利した開幕戦からLSBのリコ→ムニョスのみ。この試合も日本代表・久保は最前線でのスタメン起用となった。フォーメーションは[4-3-1-2]。
一方のバルセロナ。開幕戦、ラージョに引き分けというのは誰一人満足していないだろう。マドリーに早くも遅れを取ったが、最小限でついていく為にもmust winの試合である。
荒れたラージョ戦、最後に退場したブスケツが出場停止。絶対的なアンカーを欠く中、バルサのフォーメーションは[3-4-3]。中盤の4枚は四角形で組み、アンカー位置にはデヨング・ぺドリと、本職ではない2人が務めた。
またラフィーニャが外れ、デンベレが本来のRWGに、18歳のバルデがLWGに入った。
熟すぺドリ、苦しむフレンキー
試合はキックオフから動いた。
ハイプレスを掛けるソシエダの選手を交わしたぺドリが左のバルデへ。
擬似カウンターの要領で完全に形成が入れ替わり、バルデのシュート気味のクロスをレヴァンドフスキが流しこみ、バルセロナが40秒あまりで先制に成功した。
奇襲を掛け失敗したソシエダだが、2回目は成功する。
デヨングがキープしているところに久保+Dシルバでプレスを掛け奪い、イサクへと繋がりショートカウンター完結。直ぐに1-1の同点とした。
バルセロナからすればこの試合アンカー起用された2枚、ぺドリのプレーは得点に、デヨングのプレーは失点に繋がる対象的な試合開始となった。
ソシエダの圧迫は1-1になった後も継続され、バルセロナは珍しく後ろでの繋ぎに苦労した。常に相手のプレスをいなすブスケツの不在を感じざるおえなかった。
ソシエダの中盤ダイヤモンドに苦しむバルセロナの攻めは、右でアイソレーションを作ったところからのデンベレのカットインorクロスのレヴァンドフスキ勝負だった。
バルセロナとすれば四角に組んだ中盤、フェランとガビが相手のアンカー・スビメンディの脇を突いた攻めを計算していただろう。
しかし、中盤の動きが多いバルセロナに対し、マンマークでなくパスコースの消去とゾーンで挑んだソシエダの中盤はなかなか開くことはなく、中央からの攻めはぺドリの突破くらいのものであった。
一方ソシエダの攻撃はゴールになったショートカウンター、もしくは自陣から繋いだところから、ぺドリ・デヨングの背後で待つ久保・イサク・Dシルバで作り、デンベレが戻らないバルセロナの右サイドを突きフィニッシュへと持っていくという、相手の弱点を的確に突いたものだった。
ソシエダの守備と対象的に、バルセロナの守備構築が人へのプレッシングをかける中で、前の5枚と後ろの5枚で分かれはまらなかったのも、ソシエダの攻撃が活性化した要因だろう。
結果、シュート本数こそバルセロナが8本(ソシエダ7本)と上回ったが、オンターゲットは3本(バルセロナ2本)と、ソシエダが上回り前半を終えた。
30分で十分な2人,ファティとラフィーニャ
前半からメンバーの交代は両チームなし。
シャビとしては問題であった中盤の4枚も現状のベストと思って送り込んでいるのではないだろうか。45分で交代という決断はくださなかった。
後半の開始で変化があったのはフェランの動き。
前半は後ろのペドリの動きに合わせて動き出しているケースが多かったが、立ち上がり、自らの動き出しでチームの前進を図った。
49分、53分と、フェランの動きからバルセロナが徐々に展開できるシーンが増えてきた。
それに合わせ試合も動いてきた。バルセロナは54分、エルストンドのまずいスローインを拾ったガビがシュートもレミロに阻まれる。
ソシエダも57分、Dシルバの展開から最後メリーノが放つもテアシュテーゲンがセーブ。
60分を過ぎシャビは動く。
フェランに替えてアンス・ファティ、バルデに替えてラフィーニャを投入した。ファティのポジションはそのままだったが、ラフィーニャはデンベレがLWGに回りRWGに入ることとなった。
投入した瞬間からバルセロナの流れが変わった。
63分、ラフィーニャがもらい、これまでのデンベレならドリブルを仕掛けるところをパスを選択。ガビがハーフスペースを付き、クロスからレヴァンドフスキ。
投入から5分後の65分、ゴールを生む。
レミロのロングボールをカットし、ラフィーニャが鋭いパスで中のファティへ。冷静にヒールで繋ぎ、大外で空いたデンベレが叩きこみ2-1。
その後のキックオフもラフィーニャがプレスをかけ、最後はファティがシュート。完全に流れがバルセロナにいった。
67分、久保のボールをアラウホがカットしてから左に展開。
ファティ→ラフィーニャと繋ぎ仕掛けたラフィーニャのクロス。弾き返されたボールをファティが拾い、ガビに預けたところからゴール前に走り込み、ポストプレーで最後はレヴァンドフスキ。3-1。またもラフィーニャとファティがゴールに絡んだ。
3-1以降、バルセロナはデンベレに替えてJアルバ、これによりフォーメーションが[4-3-3]となり、ボールキープを高め試合をコントロールしていった。
最後は78分。ロングボールをラフィーニャに繋ぎカットイン。クロスをレヴァンドフスキがポストワーク、最後はファティに溢れてフィニッシュ。4-1、69分にソシエダが前線3枚交代した時点で諦めムードはあったが、試合が決まった瞬間だった。
感想
ソシエダ優位の60分、しかしそれは2人の投入で全てが変わってしまった。
いい試合をしていても、差ついて敗れるというのは前回のnoteのシティ戦のウェストハムに近いものがある。決して下を向く大敗ではないはずだ。
26分の久保、43分のDシルバのビッグチャンスのいずれかが入っていればまた展開は変わっていただろう。
強いて言えばエルストンドのスローインや、失点前のレミロの無理なビルドアップなどのバタつきと、ゾーンとパスコースを切っていったアプローチから、選手の捕まえにいく動きが早くなった失点付近の守備。ここは次節以降の改善点であり教訓となっただろう。
バルセロナは苦しんだ60分から全てを変えたのはラフィーニャとファティであることに疑いの余地はないが、上でも取り上げたシーンのように、ペドリが中盤のつながりを図りに降りてきたのが功を奏していた。決して投入された2人だけの力だけではなかった。
常に中央で脅威であり続け、ボールの循環、またファティとの連携も見せたレヴァンドフスキは流石である。
ただ流石にブスケツの穴は大き過ぎた。
穴埋めの片割れ・デヨングは失点シーンだけでない厳しさがあった。19分、26分と守備の寄せの弱さ、また取り上げた49分のシャビも声をあげたパスの選択などを見ると気になる。色々な雑音がプレーに影響しているのかもしれない。そんなブスケツの不安を振り切ったのが、ポジションで全く関係のないファティとラフィーニャというのは面白いものがある。
多くの選手が入りまだ時間は必要だろう。が、選手のクオリティがその時間を早める助けになるかもしれない。
即戦力5人の補強は「今」、再びリーガと欧州の頂点を取り戻す補強なのだ。
最後に
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