【KUNがいた時のように】ウェストハム0-2マンチェスター・シティ マッチレビュー
スタメンとフォーメーション
先週のコミュニティシールドを経て開幕したプレミアリーグ。
コミュニティシールドではリヴァプールに1-3で敗れたものの、今季もリヴァプールとの"2強"という構図に変わりはないであろうマンチェスターシティ。
(コミュニティシールドのマッチレビューはこちら)
そのコミュニティシールドのレビューでも触れたが、今季はドルトムントからアーリング・ホーランが加入した。
昨季のシティであればセルヒオ・アグエロの退団があり、「誰かが取る」という通年通しての偽9番使用がベースとなっていたが、今季はアグエロがトップにいた時よりも顕著に「いかにホーランが取るか」という構成になってきそうな感じである。
シティのこの日の相手はウェストハム。
昨季の対戦は記憶に新しい。シーズン残り2節というタイミングで対戦したが、シティは勝てばほぼ優勝間違いなしという試合において、ウェストハムに苦戦を強いられ、2-2という結果に終わった。
特に苦戦したのはCFアントニオ。試合終了後、指揮官ペップ・グアルディオラが讃えたほどのパフォーマンスであった。
開幕戦という勝利が欲しいカード。シティはコミュニティシールドから最終ラインは変更なし、中盤はBシウバ→ギュンドアン、最前線は右WGマフレズ→フォーデンから2枚変更となった。システムは[4-3-3]。
その前回対戦シティを苦しめたウェストハム。
昨季はEL準決勝まで進み、惜しくも優勝したフランクフルトの前に敗れたが、ここ数年のチームの不安定感、指揮官モイーズも落ちていた評価を取り戻すチーム全体にとっていいシーズンと言える結果だっただろう。
この夏は現時点で昨季の主軸、デクラン・ライス、ボーウェンという英国人2枚をチームに留め、移籍市場ではビッグクラブも狙っていたイタリア人FW・スカマッカを獲得した。獲得枚数は少ないが、移籍が騒がれた主軸2枚を残留に持ち込めれば満足なものと言えるはずだ。
この日のスタメンは前回対戦からCBドーソンがベン・ジョンソンになったのみ。苦しめた昨季の対戦からほぼ変わらないメンバーで挑んだ。目玉補強のスカマッカはベンチから。システムも同じ[4-2-3-1]。
回帰した[2-3-5]
シティは前述の通り今年は偽9番を使わない、頂点にホーランを置いた型が中心になって行くだろう。その中でこの試合の組み立ては開始から一貫して両SBがインナーラップする[2-3-5]で組み立てた。
基本[2-3]のビルドアップの中で、CBからの配球の中でレイオフを繰り返し行い、ウェストハムのスリムな守備ブロックを動かしにいった。
この組み立ては目新しいものではなく、ペップのシティが初めてプレミアを制し、勝ち点100を超えた17-18シーズンではよく使用されていたものである。
その時を思い起こすと頂点にはアグエロがおり、SBのインナーラップに押し出されるような形でIH(ダビド・シルバとKDB)は高めの位置を取りOMFのような役を担っていた。この日のシティもその時同様、KDBとギュンドアンは高い位置を取り、ホーランの近くでプレーする役割を担うことになった。
KDB・フォーデンのいる右サイドには相手の中盤・ライスの存在があり、なかなか割れることがなかった為、左のギュンドアン・カンセロ・グリリッシュの左サイドからの展開が基本となっていった。
SBのインナーラップによりウェストハムのSH・ボーウェンはカンセロへのマークに、よってグリリッシュが脇からボールをもらい前進を繰り返した。偽SBのお手本のような形である。
ボーウェンの脇から前進をしたのはグリリッシュだけではない。
[2-3]のビルドアップに対し、前の[3-1]で位置取ったウェストハムの4枚もボールに食いつくとその後ろのライス・ソウチェクとの間が開きスペースが生まれてくる。
選手同士のローテーションの中で、中央に刺しカンセロから前進したり、ギュンドアンが下がりもらいに行ったり、はたまたグリリッシュは大外ワイドの前線にいたままギュンドアンがワイドで受けたり。
前進した後はDFの背後に走るホーランか、右に展開してKDB・フォーデンのクロスからホーランの頭を使うか。ビルドアップからホーランのフィニッシュに至るストロングポイントを活かそうという道筋は全員共有し合えていた。
シティは26分、グリリッシュから中央落ちたホーラン、押し上がったギュンドアンと繋ぎ最後はKDBがネットを揺らすがオフサイド。ギュンドアンの押し上げでゴールへ迫る。
33分、ついにゴールが生まれる。
左のグリリッシュカンセロのパス回しから中央のギュンドアンへ通し、最後はホーランへラストパス。抜け出したホーランをファビアンスキの負傷で途中から入っていたGKアレオラが倒しPKゲット。
これをホーラン自らが仕留め、シティが先制点を奪った。
シティの中央への圧縮は守備にも好材料を産んだ。
ペップの代名詞・6秒プレスはSBのインナーラップにより中央のカバーリング、また押し上げたIH・特にギュンドアンのプレスでボールを刈り取り、ホームチームは攻撃の手を封じられ、シティは8割近いポゼッションで、かつ敵陣でプレーをし続けた。
プレミア全チームへの警告弾
モイーズも手を替え品を替え抵抗する。
前半途中はアントニオを左に、ランシーニとフォルナルスを前に置いてみたり、ランシーニを左、フォルナルスを右でボーウェンを真ん中にしたり。
57分、アントニオに代わりスカマッカがデビュー、ランシーニに代えベンラーマを投入した。
ハイプレスでボールをボールを奪いゴールまで結びつけようとする。
53分、ギュンドアンのパスミスを高い位置で奪い、最後はライスがシュートを放つも、大きく枠を外した。
プレスをかける相手のスペースを伺うシティ、64分にその時がくる。
エデルソン+CBのボール回しからグリリッシュにつけ、キープしカンセロが動き空いたロドリへ。
ロドリは逆サイドハーフスペースで空いたKDBにつけハイプレスを回避し、DFライン裏動き出したホーランへラストパス、最後はアレオラの左を抜き追加点。
シティファンとしては待ち望んだ、他のチームのファンは恐れていた、KDB→ホーランが開幕戦にして形となった。
下がってボールを受け続けたグリリッシュ、時間をかけパスコースを的確に見抜きハイプレス回避において決定的な仕事を遂行してみせた。一瞬動きロドリへのパスコースを作り出したカンセロの動きも地味だが非常に効いた。
ホーランはハットトリックも狙えたが78分、同じく新加入アルバレスと交代。この日観戦に来ていた父も会場を後にした。古巣シティの勝利を確信したというのもあっただろう。
そのまま試合は2-0でシティが勝利を納めた。
感想
ウェストハムは素直にこの試合の敗戦を認めるしかないだろう。
この試合、通常のロドリ1アンカーならどうだっただろうか。ボーウェンがグリリッシュに行けたということを考えると展開はまた違ったはずだ。
ただカンセロとウォーカーという邪魔が真ん中に入ったことで真ん中に引き寄せられ、ボーウェンの脇という[3-1]ブロックの脇を突かれ続けた。
シティの[2-3]という不意打ち。指揮官モイーズも「戦術的な負け」を試合後認めた。ただこの負け方ならそこまで気を落とすこともないだろう。チームは次節昇格組・フォレスト戦に切り替えているだろう。日程が組まれた時点でこっちでの3ポイントを意識していたかもしれない。
シティは前回苦しめられたウェストハムに見事勝利を納めた。これは指揮官の技量が間違いなくものをいった。
ホーラン加入に「シティに合うのか」という声は割とあったが、この試合はその声を打ち消すのに十分なパフォーマンスだった。いうてもまだ初戦なので完全に払拭したとは言えないが。
ただ今の時点でストライカーとしての能力が備わっている男にそんな不安が必要だろうか。コミュニティシールドであったプレスの連動などは時間がかかるだろうが、オフェンス面は「合うのか」ではなく「いつ噛み合うのか」という時間の問題だろう。次戦はホームで昇格組ボーンマス。この日以上の得点をチームは望んでいるはずだ。
最後に
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