あったらいいなこんなアプリ②「安心タイムライン」前編
親友か初デートか。エミは迷っていた。
じつはこういうことだ。
サキとは中学からの親友で、別の高校になった今でも定期的に合って大好きなアニメショップを周り、お喋りする仲だ。そんなサキと日曜日に久しぶりに出かける約束をした。大好きなアニメのイベントもあるしゼッタイに行きたい。
約束をした翌日、エミはひとつ上のジュン先輩に「よかったら今度話したいんだけど」と突然声をかけられた。特に接点も無かったのでなぜ私ですか?と聞いても「いや学校じゃちょっと話しにくいんで」と日曜の待ち合わせ場所と時間だけ告げられどこかへ行ってしまったのだ。
どうしていいか迷っているうちに、木曜日になってしまった。
最終決戦は明日。教室へ押しかけていってジュン先輩に断りに行くか、サキとの約束をキャンセルするか。どっちも気まずい。サキとの約束は破りたくない。グッズも買いたい。
でもデートというものを知らないままでいいのか、という変な焦りもあり、ジュン先輩のことが頭から離れない。顔は、まあ普通だけど。私だって普通だし。なんならサキの方が色白で美人だし、あーどうしよう!
サキといつも通りの平和な土曜日を過ごすのか。
ジュン先輩と初デートとやらを体験してみるか。
時間が迫っている。
「タイムラインっ!!」
エミはスマホのアプリを立ち上げた。困った時はこのアプリで助言をもらうのだ。相談は誰でもできるが、回答者は登録時にマイナンバーで身元確認がある。誰でも回答できるSNSより安心感があり、回答者は主婦やカウンセラーが人気だ。
親に言いにくい相談や、ちょっとした学生の悩みを親身に聞いて貰えるので、親戚のお姉さんと話しているような感覚だ。
アプリの選択画面で「至急」「恋愛」「判断」というキーワードにチェックする。
エミは光る画面をじっと見つめた。
日曜日。
エミはスマホを握りしめ、待ち合わせの公園にいた。
(後半へ続きます。)
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