「やったもん勝ち...」
「客を簡単にとられるような商談してるようじゃ
まだまだ〝半人前の営業〟だな。」
〝その人〟と交した
初対面での〝あいさつ〟がこれだった。
なぜ、こんな挨拶だったかというと…
言うまでもなく…
〝その人〟の店にお客様が流れていたからだ。
〝その人〟は、あの手この手で商売の〝ジャマ〟
をしてくるライバル社の店長だった。
〝その人〟は
かなりのやり手で、誰もその人に
〝モノ言い〟すらできないほど有名な…
当時の自分からしたら雲の上というか
さらにその上の位置にいるような…
遠すぎる存在...
・客の引きこみ
・さくらを使っての来店誘導
・価格の調整
など…数え上げたらキリがないくらいに
色々なことをされてきた…
でも、なぜだろう…
不思議とたったの1度も
その人にも、その数々の行為にも…
〝腹が立つ〟という感情を抱いたことがない...
正しく言えば
そこまでの余裕がなかっただけかもしれない…
むしろ、色々エスカレートしていく中で
〝楽しさ〟を覚えていた感覚すらある
そのたびに
自分への〝ワクワク感〟が強くなり
〝モチベーション〟が上がり
外から〝自分の未熟さ〟を知らされるという
全てが〝経験であり、いい機会〟
になっていたからだと思う。
人によるだろうけど自分には
〝いい刺激〟だったんだろうなと思う。
気づけば… 自分で考える力がつき
反省を繰り返さないように〝改善〟していくスキルや
常に〝先回り〟して様々なことにアンテナを張り続け
〝リスクマネジメント〟への意識が高まった。
そして一番はこれ…
気づけば〝顧客の教育〟ができるようになっていた
〝なぜ〟
顧客が簡単に流れるのか…?
もちろん、その人の能力が長けているから。
それを言ってしまえばこの先もずっと…
いや、ちがう。
自分の顧客管理、自分の商売に対しての詰めの甘さ
自分の向き合い方の甘さ、寄り添い方の至らなさ…
自分に矢印を向けて考え出したら自分でも
ビックリするくらい次から次へと原因が溢れ出す…
そのとき、やっと…
やっと、わかった。
〝その人〟が自分に何をしていたのか…
お客様に対して〝唯一無二の存在〟になれ
〝あなただから〟という存在でいろ…
と、強く言われている気がした。
〝その人〟から
・商売とはなんなのか
・売るものはなんなのか
・優先すべきはなんなのか
・営業はお客様のなんなのか
たくさんのことを気づかせて頂き学んできた
〝あの人〟が仕掛けてきそうなコトとは…
そして〝あの人〟がみてる〝そのさき〟とは
なんなのか…
全ての物事に対し
〝なぜ〟という思考が自分で持てるようになったのは
あの人がいたからだ。
何年後か、会議の場で久々に会い
「いい営業になったな。」 と
あいさつの内容が変わった。
〝ありがとうございます!!〟
この一言しか返せなかった…
続けて…
「なんでもそうだけど人生って〝やったもん勝ち!〟
だからな。
やる側も、やられる側も。
お前は間違いなく日本で1番
〝あなたから買いたい〟を言われる営業になる。」
と言われた…
〝すごく刺さった〟 すごく深い言葉すぎて。
時が止まったような時間だった。
その頃からかな…〝やったもん勝ち!〟が
口ぐせになり、習慣になり行動力がついてきたのは…
いつからか〝当たり前の基準値〟が
人とはちがうと言われるようになっていた。
数字もはるかにぶち抜けるようになっていき
トップの座を人に譲ることはなくなっていた…
目標がなくなり、ただただ闇雲にやり続けることへの
〝空虚感〟見えないプレッシャーとの戦い
色んな壁にぶち当たるたびに、唯一相談出来る人が
〝その人〟だった。
社内の上司でも、同僚でもなく...
手の届かない神のような存在でありながら
どこか身近にも感じられる
商売がたきだった〝その人〟だった
全ては言わずに、いつもきっかけを〝形〟
として与えてくれる〝その人〟でした。
そして…
先月〝恩師(その人)〟が闘病生活の末に他界した…
あまりにも急な別れだった。
お通夜に向かう道中、恥ずかしいくらいに泣き続けた。
声を荒げて泣いたのは久しぶりだった...
いまだに仕事の中で、ことあるごとに色んな場面で
〝あの人だったら...〟
〝あの人なら絶対こう言うだろう...〟
消せない感情ばかり...
未だ受け入れられず毎日すごしてます...
唯一の恩師であり
唯一の相談者…
そして、唯一
敵うことがなかった最大の〝商売がたき〟
一気に全ての存在を失った。
今まで面と向かって言えなかった言葉…
最後に言わせてください。
「今まで、本当にありがとうございました!」
今は自分が誰かの〝その人〟になれるよう
日々、努力しております!
どうか見届けてやってください。
あの救いようのなかった小僧が…
少しは成長した姿を…
そして、これからも堂々と言い続けます!
自分に関わってくれる全ての人に伝え続けます!
〝やったもん勝ち!〟と…
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