ひきこもり(6月のメモ)

お手洗いに行くとき、自室の戸のまえで逡巡する。ペットボトルにしたことも何度か。親の目。耳。部屋から出られない。

ご飯は取りに行けないし、歯磨き粉と唾液のまざった液体を吐きに行くのもタイミングがある。水は汲めないし、冷暖房は音がするからつけられない。だから、皆が寝静まった深夜に行動することが常で、生活習慣も歪められた。

部屋は一階にある。部屋といっても、四方を薄い壁で囲まれただけの物置。居間や客室、玄関から台所までの音や光がダイレクトに届く。愚痴も溜息も舌打ちも丸聞こえ。こちらからも音や光は外に漏れる。プライバシー皆無、就寝難度の高い部屋なのだ。

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