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あなたの再放送

一万円するヘッドホンを買いました。周りの音を遮断して、自分を守りたいって気持ちが強かった。一商品に万単位つぎ込むことは滅多にない。現在使用してるイヤホンでさえ二千円、それ以前はダイソーやなんかの付属品。変な思い切り。 酒はほんとうに良くない。身を削って得た金でどうしてまた身を削る?酒は毒です。わたしが不買運動したところで、世の中には酒がないとやっていけない人間がうじゃうじゃいる。いいように操られている。酒造は到底潰せそうにない。 『lain』を視聴する旨を伝えたところ、ぜ

    • レバー

      雨が屋根瓦を叩く。アスファルトを叩く。その音がひどく懐かしく聞こえる。ぼくは何週間も同じ土のうえに寝ていた。 つよい日差しを避けるため、一度きり身体を翻しただけで、後には何もなかった。時間はいつもの通り動いていた。 『水曜、午前十時です』 留守番電話はずっとおかしなことをいっている。 溜息やおおきな咳きは、自分の存在を否定するための信号だ。

      • 幼少期

        県庁のある自然豊かな住宅街。二階建てのおおきな家の二階に、わたしたちは暮らしていた。一階にも誰かしらが住んでいたが、幼児のわたしには詳しくはわからなかった。 プラスチックでできた小さなジャングルジムのうえで、人差し指を突き上げながら踊る。カラオケセット。けむくじゃらのあし。煙。 寝室にはブラウン管テレビがあり、枕に頭を預けた状態でも快適にみることができた。ベッドの右側にはおおきな収納がある。中は青っぽく、人を隠すには打ってつけの場所だった。 青いプラスチックのドームは、

        • お酒は飲まれますか

          二回二日酔いに陥り、そのたび「もう絶対飲まないぞ」と心に誓うも、やはり手を出してしまう。安くて不味い酒をやめられない。 2019年6月7日金曜日、池袋のカプセルホテルで飲んだストロングゼロビターレモンはいい思い出だ。それを飲むに至るまでの過程が本当によかった。 その夜は下北沢GARDENで『KERBERSⅡ』というライブイベントに参加していた。三組による対バンイベントで、わたしの好きなTHE PINBALLSはその日トリを飾ることとなった。 アンコールで披露された「劇場

          10月

          スマブラ最後のスペシャル番組をみました。 最後にプレイしたのはwiiで、当時小学生のわたしは、近所の同級生の家でよく遊んでいました。マリオとポケモンが、同じ任天堂というブランドから、発売されていることを知らなかった当時のわたしには、スマブラは文字通り夢のようなゲームでした。 触らなくなって久しいですが、参戦キャラクター発表のたび、ワクワクしている自分がいました。 今回のコラボに至るまでの道のりは、わたしにはとても想像できない。 こんなにも沢山の人々を感動させられるゲー

          二週間

          「大丈夫?」 大丈夫なワケないでしょ そういってやりたい。 曲作りをする夢をみました。冥府に至る夢もみました。 覚えている限り、夢の舞台は学校が多い。 体育館に通じる通路の上。屋上と言うと違うんだけど、じっさいそんな感じのところから、下敷き~教科書ぐらいの厚さの物を持ってぴょーんと飛ぶ。上手い感じに風に吹かれて、貧乏気球といったふうに飛んでいく。 体育館でも同じような夢。緑のあみあみ(グラウンドによくある野球部のためにあるやつ)がわたしの通う体育館にはあった。せっ

          二週間

          ひきこもり(6月のメモ)

          お手洗いに行くとき、自室の戸のまえで逡巡する。ペットボトルにしたことも何度か。親の目。耳。部屋から出られない。 ご飯は取りに行けないし、歯磨き粉と唾液のまざった液体を吐きに行くのもタイミングがある。水は汲めないし、冷暖房は音がするからつけられない。だから、皆が寝静まった深夜に行動することが常で、生活習慣も歪められた。 部屋は一階にある。部屋といっても、四方を薄い壁で囲まれただけの物置。居間や客室、玄関から台所までの音や光がダイレクトに届く。愚痴も溜息も舌打ちも丸聞こえ。こ

          ひきこもり(6月のメモ)

          8月24日

          破砕ゴミの分別作業をしている。木くず土くずの山をシャベルで崩し、平らに整えてから、掃除機掛けの要領でローラーつき磁石を走らせていく。ぱつんぱつん、ばちんばちん、と釘や金属片が吸いつく。レバーを一二度ひき余分を振るい落とす。するとあらたな山ができた。赤茶けた金属の山。舞い上がる土埃を細目で眺めながら竹箒をうごかす。水分を含み重くなった黒々とした土の山。 ラジオの音声。メールを読んでるだけ。このMCはつまらない。無言の時間がつづく。頭のなかを質問がぐるぐるしている。「いま何を考

          何度目かの夏のはず

          ちぎれそう あの子と僕と 油蝉 セミの声を聞き比べてみよう、そんなラジオのワンコーナー。意識して聞くアブラゼミの鳴き声はいまにも千切れてしまいそうで、親近感があった。 わたしの日々もそんな感じだ。 いますぐに投げ出してしまえる脆さがある。 終わりのない無目的を繰り返している。 何もない。 蝉の声と柔らかい風、ラジオの決まりきった音声以外何もない。

          何度目かの夏のはず

          8月19日

          ラジオのワンコーナーで美容師になりたいという小学生の声を聞いた。自分の髪に自信がない人を救いたいとか。 彼女は「自分らしさ」というワードを使った。 瞬間、わたしはラジオの音声に集中した。 自分らしさとか、自分の個性とか、そういうものをあからさまに示さないといけない。そういう呪いをかけられていたんじゃないかとわたしは思う。 そういうものはおのずと滲み出てくるもので、意識して出す必要はないとわたしは思う。

          8月19日

          7月4日

          よくもまあこんな生活、二年も続けられたよねって、思うよ。すごい、とか、立派とか、そういうんじゃなくて、もちろん、卑下するつもりもないんだけど。でも、本当。 続けた、というよりかは、なっちゃった、っていうのが近いか。

          呼吸

          7つのアルケーも、12の文字盤も、必要なくなった 右回りの世界基準から離れた100万の"少数派" アブノーマル空間に吹く風はなし 近すぎる太陽に彼らは狂った 見間違えたぼくは涙をながした 頭上で整然と秩序を守っている 机上、手は膝に かれこれ2年経った 雨は降らない 朝と夜に境界はなく 暗闇が恐怖と苛立ちを喚起する

          お願いしますという

          いま、外に出るにはマスクが必要だと、着用を促す彼は、皆が口にする食べ物を扱う際、手を洗っていない。 至る所に置かれるようになったアルコールや除菌ジェル。いろんなヒトが同じポンプを押す。なぜそれを持参しようとしないのか。出先の感染予防対策に頼っている。ほんとうに怖いのなら、危険とおもっているのなら、あらゆる感染経路を絶とうと努めるはずだ。 一席ずつ間隔を空けるようになったが、みな同じキーボードを叩き、同じマウスを滑らせている。 あの透明の壁はどうだろう。逐一拭いたり取り替

          お願いしますという

          空の条件

          人差し指を突き立ててみせる。どんよりした曇り空。指の先を、わたしは見据える。何人かがわたしの指し示す方向に視線をむけた。それを盗み見て、わたしはほくそ笑む。 そこにはどんよりした曇り空がある。炎上する飛行機とか、地球侵略を企てたエイリアンとか、そんなものはなくて、ただ空がある。重たい雲がある。わたしたちがうまれるずっとまえから、当たり前のようにそこにある。なぜそこにあるのだろう。空は、あるのだろうか。疑うことをしらない。 空が落ちてくることはなさそうだ。きっと。20年いき

          空の条件

          5月31日月曜日

          道路脇「大型車通り抜け困難」の文字。なぜ「できません」「禁止」と書かなかったのか。理解に苦しむ。 名も知らぬ虫たちが、光を求めてあつまる。わたしに無防備な腹をみせてくれる。

          5月31日月曜日

          5月26日

          ほくろができていた。右腕に二か所、腕時計を確認するたびに視界に入る忌々しい斑点(腕時計をつけた試しはないが)。 醤油をこぼした後にできるシミ、もしくは漬け込んだチャーシューの端からまろびでたツヤツヤのかけらが、わたしの腕にこびりついている。指でなぞってみたがやはり本物だ。ほこりや毛玉の類ではなかった。 肌の白さはわたしの数少ない誇りである。最奥にはイエローが透けてみえる気もするが__。中学生の時分クラスの女子に羨ましがられたものだ。それを赤茶色の焼け焦げた色が蝕んでいく。

          5月26日