レバー

雨が屋根瓦を叩く。アスファルトを叩く。その音がひどく懐かしく聞こえる。ぼくは何週間も同じ土のうえに寝ていた。

つよい日差しを避けるため、一度きり身体を翻しただけで、後には何もなかった。時間はいつもの通り動いていた。

『水曜、午前十時です』

留守番電話はずっとおかしなことをいっている。

溜息やおおきな咳きは、自分の存在を否定するための信号だ。

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