5月26日
ほくろができていた。右腕に二か所、腕時計を確認するたびに視界に入る忌々しい斑点(腕時計をつけた試しはないが)。
醤油をこぼした後にできるシミ、もしくは漬け込んだチャーシューの端からまろびでたツヤツヤのかけらが、わたしの腕にこびりついている。指でなぞってみたがやはり本物だ。ほこりや毛玉の類ではなかった。
肌の白さはわたしの数少ない誇りである。最奥にはイエローが透けてみえる気もするが__。中学生の時分クラスの女子に羨ましがられたものだ。それを赤茶色の焼け焦げた色が蝕んでいく。これは悲劇だ。わたしはいつか、あの重く錆びついた鉛玉になってしまう。
「白」を美しいと思うのはいまも変わらない。それは裸体の白、人間の白。