名前と実態の不一致について

昔からずっと、なんとなく良いな、みたいなフンワリと好きなものの中でも
ひときわフワフワしているのが、
「実態と一致しない(ようにも思える)名前」です。
このことを何となく意識し始めた事例が、NARUTOに出てくる傀儡(くぐつ)使いの忍者カンクロウの操る傀儡(泥人形みたいなの)のネーミングです。
最初にカンクロウが同作で出てきたときに使用していた傀儡は、
カラスとクロアリという名前がついているのですが、
どちらも一見、人型のどうみてもカラスでもなければクロアリでもないのです。そして、その名前と見た目のギャップからくる違和感が何だかとてもオシャレに思えたのです。

左から カラス・サンショウウオ・カンクロウを挟んでクロアリ

別の事例でも考えてみます。
メロンパンにはメロンが入っていない、という有名な言葉遊びがります。
そもそも、メロンパンは(実際の出自は知りませんが)メロンのような見た目をしているからメロンパンであって、パンの品質的にはメロン不使用の似たような味もしない、というパン＝食べ物、食事が目的のもののネーミングが食事体験とはあまり関係のない見た目に由来しているというところがこのメロン入ってないじゃん論争の中心だと思います。
このやり方を他の食べ物に適用すると納豆なんかはネバネバ豆だったり、
サーモンとかはシマシマ魚とかになるわけでたしかによくわからない事になります。
　さらに良くわからない例が鍋です。
「この間、家に友達を呼んで鍋をした」寒い冬ではごく当たり前に聞くフレーズですが、違和感満載です。
まず、鍋(調理器具)食べてねーじゃんということと、さらに鍋を「食べる」ではなく鍋を「した」という、ネイティブ日本人でないと訳のわからないエピソードトークを何の疑問もなく受け入れるまさに実態と名前の不一致。

そもそも、鍋料理と煮物はいったい何が違うのか、
みそ汁と鍋料理は同じスープで具材を煮込んだ料理で、いったいなにが違うのか、というところですが、
　まず鍋料理と煮物は料理の提供方法に違いがあると思います。
鍋料理はそれを食べるときに進行形で煮込みながら食べる、対して煮物はすでに煮込まれたものを皿に盛りつけて提供される、という料理中/料理済かで鍋料理/煮物と区別できると思います。
　次にみそ汁と鍋ではどうでしょうか、この場合は単純に料理としての規模がまず違うと思います。鍋料理はメインで、みそ汁はスープ類に属していて、それ単体をメインすることは少ない。
　また、料理としての目的も違うように思います。鍋料理ではスープで煮込まれた具材がメインとなりますが、みそ汁ではむしろそのスープがメインで、具材はスープのための付け合わせのようになります。

この料理の中での具材とスープは、
音楽でいえばボーカルとインスト(ビート)の関係性とも似ていると思います。直前のみそ汁と鍋で考えると、
具材がメインでスープがベースの鍋料理はボーカルがメインでBGMに乗せたヒップホップなどのボーカル先行の楽曲の構造と相似性があると思います。
これでいくと、ベーシックな水炊きがあって、キムチ鍋やカレー鍋といった風に、同じような具材でスープを変えてまったく違った味わいへの可変性を考えるとこれはリミックスとも言える手法だと思います。
　対してみそ汁は味噌ベースの出汁があって、具材を工夫して趣向を変えるような鍋料理とは反対の構造性があって、これは楽曲ベースで奏者が変わることでその音楽性も変わる、というようなバンドのような構造といえると思います。

で、この長々としたプロセスを経て最初の地点に立ち返ると、
鍋がHIPHOPでみそ汁はROCKへと全く実態とは無関係な(そんな風に思える)ネーミングが誕生しているのです。

鍋がHIPHOPで、みそ汁はROCK。。
鍋にハンバーガーとか、カリフォルニアとか、マリファナとかをぶち込むと、それは2PAC鍋かもしれないし、ミートボールとかハンバーグとかBBQとかをぶち込めばMigos鍋かもしれない。。
みそ汁の出汁を僕の果汁とかで採って、具材をKANDYTOWNとか世田谷とかダウンタウン浜田とかぶち込めばOKAMOTO'Sみそ汁かもしれない。。

まあ何が言いたいとかはないけど、
僕の通った学校では「抽象化」というのを徹底して教えられたのですが、
この日記でやったことは僕のよくやる抽象化のプロセスの一種の体系化というか、この日記自体を抽象化するとまるまんま抽象化の手法としても読めるのではーということです。
抽象化のプロセスを具体的に書き出して、それを抽象化すると人に伝える手段に成り得る、みたいな仮説があったのかなかったのか、、

一見、まったく関係の無いように思える2つもしくは複数のものごとも、
抽象化によって見えていない関係性を探り当てて、あたかも もとは他人のように思えていたもの同士が何かしらの友達のように見える、ということなのかもしれませんね。

話は変わりますが、スプーンとフォークって友達なのでしょうか？
それぞれがどちらも銀色で、カトラリーという同じカテゴリーで、
でも、先端の形状は全く違う。物を食べるための道具という目的をこの道具から取り外したとき、(日道具化)この二者はまったく関係の無い二つのオブジェクトになる、みたいなね。
逆に箸とスプーンはニコイチ/単体で機能を果たす、材料も竹や木/金属、形だって全く違うけど、目的を与えると同じだし、その仲間には人間の手もレギュラーまではいかないまでも入れることはできる、
つまり、
お前はチンコだ
みたいな悪口だって思索の果てには事実になるよね。自覚しろよな。
それでもっておれはジェット機

何が？？？？

グッドアフタヌーン