イングランド3部 バーミンガム・シティの現在地
サガン鳥栖の若き才能、横山 歩夢がイングランド3部のバーミンガム・シティFCへの移籍が報じられました。この移籍は、日本サッカー界にとっても注目すべき動きですが、受け入れ先となるバーミンガム・シティFCもまた、興味深い歴史と近年の激動を経験したクラブです。
バーミンガム・シティFCは、イングランドサッカーの歴史に深く根ざしたクラブの一つです。近年では、世界的スターに成長したジュード・ベリンガムのキャリアをスタートさせた育成の場として知られています。また、日本人選手との縁も深く、昨シーズンから日本代表経験のある三好 康児が所属しているなど、日本サッカーファンにとっても馴染み深いクラブとなっています。
しかし、バーミンガム・シティFCの近年の道のりは決して平坦ではありませんでした。昨シーズン、チームは厳しい戦いを強いられ、元イングランド代表のウェイン・ルーニー氏が監督に就任するなど話題を呼びましたが、後半戦に失速。結果として、1994-95シーズン以来となる3部への降格を経験することとなりました。
バーミンガムのクラブ史
バーミンガム・シティFCは1875年に設立された歴史あるクラブで、1892年にフットボールリーグに加盟。クラブの最盛期は1950年代から60年代にかけてで、1956年にFAカップ決勝に進出し、1963年にはリーグカップを初制覇しています。
創設以来、青色がクラブの象徴的な色として定着しました。この青色は、クラブのアイデンティティを形成する重要な要素であり、ファンや選手たちにとっても特別な意味を持っています。クラブのユニフォームは常に青を基調としており、これが「Blues(ブルース)」という愛称の由来ともなっています。
2011年には2度目のリーグカップ優勝を果たしたが、同シーズンにプレミアリーグから降格して以来、チャンピオンシップ(2部)に長く留まっていました。近年は経営難や不安定な運営が続き、2009年から中国系資本による所有が始まったが、クラブの低迷が続きました。
2023年7月には新たな所有者が現れ、NFLの伝説的クォーターバックであるトム・ブレイディが少数株主として参画するなど、再建への期待が高まっていた。しかし、2023-24シーズンの不振により、29年ぶりに3部リーグへの降格が決定しました。
ジョン・ユースタス監督の戦績
ジョン・ユースタス監督は2022-23シーズン、バーミンガム・シティを17位でシーズン終了に導いた後、2023-24シーズン序盤に好調なスタート切ります。チームは5勝3分3敗と好成績を収め、昇格プレーオフ圏内の6位まで躍進。ユースタス監督は日本代表MF三好康児の活躍にも期待を寄せ、「状態が良くなっていけば彼はさらに良くなっていくはずだ」とコメントしていました。
しかし、チームの好調にもかかわらず、2023年10月にユースタス監督は突如解任され、後任にウェイン・ルーニーが就任。この人事判断は、クラブの新しい所有者によるマーケティング戦略の一環だったとされています。
ウェイン・ルーニー監督時代
ウェイン・ルーニーのバーミンガム監督就任は、クラブにとって大きな転機となるはずでした。2023年10月、チームが6位と好位置にいた時点で前監督を解任し、ルーニーを招聘。しかし、この人事は物議を醸し、元選手のクリス・サットン氏は「話題やネームバリューを考えた人事で、大きなギャンブルだ」と批判。結果は惨憺たるもので、ルーニーはわずか15試合で2勝しか挙げられず、チームを20位まで落とし込みました。わずか3カ月で解任されたルーニー、その後もチームの低迷は続き、最終的にバーミンガムは22位で3部降格を喫することとなりました。
バーミンガム主力選手
バーミンガムの現在の主な選手陣には、MFの三好康児が含まれています。三好は2023年夏にベルギーのアントワープから加入。元監督のジョン・ユースタスは三好について、「純粋なクオリティが見られる」と評価し、危険なエリアへのパス能力を高く評価していました。23-24シーズンでは、43試合に出場(うち29試合で先発)、6ゴール6アシストを記録しました。
その他の主力選手としては、ディフェンダーのリー・ブキャナンとイーサン・レアード、フォワードのタイラー・ロバーツなどが挙げられます。
この降格は、クラブにとって大きな転換点となりました。1年での2部復帰を目指し、積極的な補強に乗り出しているバーミンガム・シティFC。その中で、日本の若き才能である横山歩夢の獲得に動いたといえるでしょう。