平成3年生まれ【詩】

好きな音楽だけが詰まったメタリックiPodが
片目をつぶっても眩しくて
イヤフォンはゆる〜いYをぷらぷらしてる
右耳、左耳、ほっぺたの産毛
すきま風の口笛とレースのカーテン
よのなか全部、ぐにゃぐにゃブランコ
漕いでるうちに
隠したり
離したり
またあした
またあさってが
あると思って、とどまれない

日豊本線
田んぼの稲穂が見送ってくれた
宇多田ヒカルも椎名林檎も
あの歌をうたい続けているのに
君はトトロを諦めた
まゆげが少し細くなって
グレーのスーツが似合っていたから
私の願いはちいさいことだと
蚊取り線香で霧をつくってみたり

どこの駅に止まっても
カラオケBOXのネオン、ネオン
ってことは
会おうと思えば
いつでも会えるはず
なのに
山手線のはじっことはじ
転校生を続けてるふたり
もう少ししたら座れるのかな
まわりをきょろりと見渡して
フルーツバスケット
きみはりんごでわたしはぶどう
体育館より広い電車は
秋葉原を
通り過ぎてしまって
ほらね、って
つり革がけらけら、と