写真関係で読んだ本 忘備録01
本の概要
図説 写真小史 (ちくま学芸文庫)
ヴァルター ベンヤミン (著)
筑摩書房(1998/4/9)
284ページ
1200円+税
読むきっかけ
写真を撮っているので、歴史も勉強したいと思っていたら
最近、自分のまわりでチラホラと聞くのが“アウラ”
“アウラ”と言えばベンヤミンということで
『図説 写真小史』を読むことにしました。
アウラなら『複製技術時代の芸術作品』を読めというところですが
詳しい方にまずは『写真小史』を読んだほうがいわれたので……
大まかな内容
目次
ヴァルター・ベンヤミン 写真小史
カール・ニーレンドルフ カール・ブロースフェルト『芸術の原形』への序
カミーレ・レヒト ウジェーヌ・アジェ『写真集』への序
アルフレート・デーブリーン 顔、映像、それらの真実について(アウグスト・ザンダー『時代の顔』への序文)
本自体はベンヤミン著となっているのだが、4人の文章が掲載されていました。アウラを知りたいだけなら写真小史だけ読めばOK。ほかの3人はブロースフェルト、アジェ、ザンダーについて書いてあるので読んでも損はないかも……
気になったところ
どこがおもしろかったとか語れるほどではないので頭に残った文章を抜粋。
写真小史
進歩した光学は間もなく、暗さを完全に克服し、ものの姿を鏡のように記録する道具を手中に収めるに至った。しかし写真家たちのほうは1880年以降の時期、むしろアウラを捏造することに自分たちの使命を見ていた。そもそも明るくなったレンズが暗さを追放したことで画面からアウラが追放され、また帝国主義的な市民階級がますます墜落していったことで、現実からアウラが追放されつつあった。写真家たちはこうしたアウラを、あらゆる修整の技法を使って、あるいはとくにいわゆるゴム印画法によって捏造することを、自分たちの使命とみなした。(31~32ページ)
アウラとは何か。空間と時間の織りなす不可思議な織物である。すなわち、どれほど近くにであれ、ある遠さが一回的に表れているものである。(36ページ)
ウジェーヌ・アジェ『写真集』への序
アジェはパリを愛していたにもかかわらず、この都市に憑かれてはいなかった。ひょっとしたら、彼が愛していたのは、この都市の無数の細部だけだった。もしそうでなかったら、建築物や風景を撮る名人でもあった彼が、街の堂々たる景観やいわゆるシンボル的建築物を、ほとんどつねに素通りすることはありえなかっただろう。そうした景観や建築物は、アジェに舞台の書き割りや背景を思い出させたのかもしれない。書き割りや背景には、うんざりしていたのだ。(154~155ページ)